宣伝
クレアはすうっと息を吸ってから、大声で叫んだ。
「さぁてお立ち会い!本日開店した花屋だよ!色とりどりの花が目白押し!買わなくっていいよ!冷やかしでもいいからぜひ見に来てちょうだい!」
クレアは水魔法を発動し、手から水の粒を発生させた。水の粒は空中に舞い上がり、日の光を浴びてキラキラ輝いた。クレアの水魔法をほうけた顔で見ていたメロディにせっついた。
「ほら!メロディも植物魔法で花を出して!」
メロディは慌てて手から花を沢山出現させた。赤や黄色、ピンクに白に青。クレアとメロディの周りには人だかりができた。人々はクレアの水の粒とメロディの花々に感嘆のため息をついた。ちょうど頃合いだ、クレアは魔法を解くと見物していた人々をうながして小道に案内した。
クレアとメロディの花屋の鉢植えは飛ぶように売れてしまった。メロディはキャアッと喜びの声をあげた。
「すごい!クレアちゃん!皆売れちゃった」
「当然よ。メロディの咲かせるお花は綺麗だもの」
「ねぇ。お祝いに美味しいモノ食べに行こうよ!」
「だぁめ。売れたお金でまた植木鉢を買うの!」
「えぇっ。せっかく城下町に来たのにぃ、美味しいもの食べたいよぉ」
ついにメロディがぐずりだした。クレアはため息をつきながら言った。
「じゃあこれから市場で玉子とベーコン買ってあげる。明日はベーコンエッグにしましょう?」
「ホント?!あたしベーコンエッグ大好き!」
メロディはようやく機嫌を直したようだ。
クレアとメロディは市場に買い物に出かけた。市場通りには沢山の店が出ていた。目ざといメロディはすぐに肉屋を見つけてクレアを呼んだ。
「クレアちゃん!お肉屋さん発見したよ?!」
メロディがすぐさまベーコンを注文しようとするのを慌てて止める。クレアは肉屋にベーコンの値段を確認するとメロディの手を引っ張って肉屋を後にした。メロディがいぶかしげに言った。
「クレアちゃん、何でベーコン買わないの?」
「この市場の全部の肉屋の値段を調べて一番安い店で買うの!」
「ええ?!」
クレアは面倒くさがるメロディの手を引っ張って、市場のすみからすみまで店をチェックした。一番値段が安く、お嬢ちゃんたち可愛いからオマケしとくよ。と言ってくれた肉屋でようやくベーコンを購入した。
ちなみに玉子はマサラの家で飼っているニワトリの玉子を、メロディの野菜と物々交換した。
その日の夕食は野菜スープにベーコンの切れはしを入れて作った。メロディは大喜びだった。クレアはお手軽なメロディが可哀想になり、明日のベーコンエッグは厚切りにしてあげようと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます