第5話 白黒の駄犬
ギールの捜索に乗り出して早々、何者かに襲撃された桃馬とジェルドは、
多目的教室の周囲には、たまたま通り掛かった生徒たちに見られないためだろうか……。
黒いカーテンが一面に張られており、生徒の視線どころか、外からの光すら入って来ない状態であった。
そんな中で、ようやく意識を取り戻した桃馬は、目隠しに続いて、手足を縛られ身動きが取れない現状に驚く事になる。
桃馬「んんっ、んっ……?あ、あれ…、ここは、どこだ……?前が暗くて何も見え……っ、な、何だこれ……、て、手と足が動かない!?」
ジェルド「っ!そ、その声は桃馬か!?」
桃馬「っ、ジェルド!?お前もそこに居るのか!?」
ジェルド「あ、あぁ、こっちは、目隠しに続いて、手足も縛られて動けない状態だ……。」
桃馬「っ、俺と同じ状態か……。なあ、ジェルド?こんな事をする奴に、何か心当たりはあるか?」
ジェルド「はぁ、心当たりも何も、これは"ギール"の仕業だよ。」
桃馬「っ、"ギール"だと!?ま、まさか、桜華の事で当て付けでもする気か……。」
意外と早く犯人像が浮かび上がる中で、桃馬は当て付けにされた線で推測していると、一人の黒髪ケモ耳男子が、桃馬の推測を否定しながら歩み寄って来た。
ギール「それは違うぜ桃馬?」
桃馬「っ、ぎ、ギール……、これは一体何のつもりだ!」
桃馬の前に現れた黒髪ケモ耳男子。
その名は、ギール・フォルト
二年二組に在籍し、誇り高い
ここで小話。
実は、黒狼族と白狼族と言っても、単に毛の色が違うだけであって、身体的能力においては全く同じ特性を持っています。
そのため、双方の特性としては、狼のステータスを基準にした身体的能力に続いて、誇り高い狼の姿になれたり、年齢に応じてケモ耳ショタになったり、あるいは子犬になったりと、自由に姿を変えられる事が出来ます。
しかし、ケモ耳ショタと子犬の姿になれる期間は、
そして話は戻し……。
ギール「うるせぇ……、桃馬は俺の"ご主人様"だ。今日はそれを……、たっぷりとその体に"教え込ん"でやるよ。」
桃馬「っ、ま、また意味の分からない事を好き勝手に言いやがって……、また、痛い目を見る前に、早くこの拘束を解いたらどうだ?」
ギール「ふっ、桃馬には悪いけど、もうその手には乗らないよ?どうせ拘束を解いたとしても、痛い目を見るのは目に見えているからな。」
桃馬「っ、ま、待てよ、ギール!?ま、毎週土曜日の散歩じゃ物足りないのなら、平日の散歩も解禁してやるから、ちょっと話し合おうじゃないか!?」
ギール「ふーん、平日ね〜。」
桃馬からの脅しに屈せず、"じりじり"と歩み寄って来るギールに対して、貞操の危機を感じた桃馬は、慌てて身を切る様な和解を持ち掛けた。
するとそこへ、これを良しとは思わぬジェルドが、
ジェルド「ま、待ってくれ桃馬!?例えやむを得ない提案であっても、ギールだけ平日の散歩を解禁するのはズルいぞ!?俺も混ぜてくれよ〜!?」
桃馬「うぐっ。(ま、まずい、よりにも寄ってジェルドまで食い付いて来やがった。ここでダメって言えば、今度はジェルドが変な事をするかもしれないな……。うーん、ここは大人しく要件を受け入れるしかないか。)」
桃馬「わ、分かった……、ジェルドも混ぜてやるよ。」
ジェルド「っ、やった♪」
ギール「お前ら…、俺を差し置いて何勝手に話を進めているんだ?」
桃馬「う、うるせぇ!?ここでジェルドを除け者にしたら、間違いなく面倒な事になるだろうが!?」
ジェルド「そうそう♪俺だけ除け者にされたら……、嫉妬のあまり桃馬を押し倒すかもしれないからな♪」
桃馬「ほ、ほら見ろギール!?やっぱり変な事を考えていただろ!?こ、この際だから言わせてもらうけど、俺はお前らのご主人様じゃないからな!?」
ギール「…はぁ?今更何を言っているんだ。いくら桃馬が
ここで小話
これは今から半年前の事。
当時のギールは、今より
そして、とある放課後の日。
当時のギールは、数名の悪友たちと共に、一人のエルフ族の女子生徒をしつこく追い掛け回していた。
しかしそこへ、たまたま通り掛かった桃馬と憲明が現れた事により、エルフ族の女子生徒は、急いで桃馬と憲明に駆け寄るなり助けを求めた。
これに対してギールは、せっかくの獲物を横取りされたと思い込み、つまらぬ怒りに任せて桃馬と憲明に襲い掛かった。
不純にまみれたギールの拳は、一番手前にいた桃馬の頬を
すると、理由も分からず殴り倒された桃馬は、ヨロヨロと立ち上がるなり、不敵な笑みを浮かべ始めた。
桃馬「くくっ…、学園に
憲明「ありゃりゃ、俺知らねぇよ……。」
殴り倒された桃馬は、穏やかな表情から一変、鬼の様な
ギール「へっ、人間風情がカッコつけやがって、お前ら行くぞ!」
普通の人間にナメられたギールは、悪友たちに号令を掛けるなり、再び桃馬に襲い掛かろうとする。
しかしこの時、ギールは大きなミスを犯していた。
それは、ギールが悪友たちに号令を掛ける際に、一瞬だけ桃馬から視線を外してしまったのである。
桃馬「よそ見してんじゃねぇ!!」
ギール「がはっ!?」
桃馬に一瞬の隙を突かれ、一気に距離を詰められたギールは、容赦なく"みぞおち"辺りに重い拳をねじ込まれた。
今まで感じた事がない程の痛みを受けギールは、思わずその場に
しかし、これだけでは収まらない桃馬は、ギールの両膝が床に付く前に、今度は左頬に重い拳を見舞った。
数秒の内に、重い連撃をもらったギールは、そのまま殴り倒されるなり、呆気なく気絶してしまった。
これに対して、数人の悪友たちが逆上し、恐れる事なく桃馬と憲明に襲い掛かった。
しかし、これら悪友たちもまた……、一瞬にして桃馬と憲明に一蹴されてしまい、情けなくプライドをズタズタに引き裂かれてしまうのであった。
その後、桃馬に一蹴された事で目を覚ましたギールは、次第に桃馬を
そのため桃馬は、既に桃馬の"犬"である事を宣言していたジェルドに続いて、元半グレのギールから性的に狙われる様になり、皮肉にもケモ耳美男子からモテると言う、何とも複雑なモテ期に突入したのであった。
ちなみに、この時助けたエルフ族の女子生徒は、後に憲明の彼女となる"リフィル"本人である。
当時の桃馬は、まさかこの二人が付き合う事になるとは、全く予想していなかったため、後日、二人が付き合い始めたと知った時は、思わず驚愕したと言う。
そのため桃馬は、桜華と出会うまでの半年間…、何とも"もどかしい"学園生活を送る事になった。
話は戻し……。
桃馬「は、半年前って……、ま、まさか、俺に殴り倒された時って言わないよな?」
ギール「あぁ、そうだ!あの時、桃馬に殴り倒された時点で、俺の心と体は桃馬の所有物になったんだ。だから俺は、土曜日の散歩に続いて、毎日陰ながら桃馬を守っていたんだよ。」
桃馬「ま、守っていた?」
桃馬の脳裏には、散歩中にモフられながら喜んでいるギールの姿しか思い浮かばなかった。
ジェルド「ぷっ、あはは!ギールが桃馬を守れる訳ないだろ?」
ギール「な、何だとジェルド……?」
ジェルド「ふっ、お前は大人しく子犬にでもなって、可愛らしく尻尾を振っていればいいんだよ。」
ギール「っ、言ってくれるじゃねぇか?お前も似たような犬の癖に……。」
桃馬「あぁ〜、もう〜!
ギール「ふん、やだよ。誰が解放してやるか…。それに言っただろ?"たっぷりとその体に教え込んでやる"って……。」
桃馬「は、はぁ?そ、そんな"ありがた迷惑"な
ジェルド「そ、そうだぞギール!桃馬の嫌がる事を強要するな!」
桃馬「なっ!?お、お前がそれを言うかジェルド!?」
危機迫る状況下で、桃馬も必死に抵抗の意思を見せるも、手足を縛られた状態では、惨めに
するとギールは、余裕のある表情を浮かべながら、桃馬に着けていた目隠しを少し乱暴に取り上げた。
桃馬「っ、くっ……、んっ、なっ、何をしてるんだギール?」
真っ暗な視界から解放された桃馬は、黒いカーテンに覆われた教室内に続いて、リード付きの首輪を首に着けたギールが立っていた。
ギール「はぁはぁ、桃馬……、お前の犬は……俺だ。ジェルドじゃなくて、俺を選んでくれよ。」
桃馬「な、ちょっ!?な、何を言って……、」
ジェルド「っ、ふ、ふざけるなギール!?後からしゃしゃり出て来た分際で何を言っているんだ!?そもそも桃馬の犬は俺だけで十分だ!」
ギール「黙れジェルド!お前は小頼の犬として、大人しく尻尾でも振っていたらどうだ?」
ジェルド「うぐっ、こ、これは小頼も理解している事だ!…と、桃馬は俺の毛並みの方が好きだよな?」
ギール「っ、それを言うなら俺の毛並みだって負けてはいないぞ!」
桃馬「…ぅぅ。(なんで、ケモ耳美男子に板挟みに合っているんだ俺は……。そもそも、こういう展開は、俺見たいな男じゃなくて可愛い美少女に訪れる展開だろうが……。)」
相変わらずのズレた展開に、桃馬は心の中でツッコミながら傷ついていた。
ジェルド「と、桃馬!俺の方が良いよな!」
ギール「いやいや、理性の効かない駄犬より、節度を
ジェルド「はぁ!?何が節度を弁えているだ!?この状況を作っても尚、よくそんな事が言えるな!?」
桃馬の主権を巡って対立する二匹の駄犬は、徐々に狼としての本能を掻き立たせて行く。
これに対して、再び痺れを切らした桃馬は、二人に取って受け入れ難い宣告をする。
桃馬「おい、駄犬ども……。いい加減にしないと、もう二度と構ってやらないぞ?」
ギール&ジェルド「わふっ!?そ、それは嫌だ!?」
桃馬「それが嫌ならバカな真似はやめて早く解放しろ……、ギール。」
ギール「わ、わふっ!?……っ、うぅ、す、すまない。」
桃馬の鋭い眼光に負けてしまったギールは、愛する桃馬に嫌われたくない理由から、圧倒的に有利な立場を捨てて桃馬を解放してしまった。
何とか無事に解放された桃馬は、無言でギールに歩み寄るなり、早速首輪に繋がれたリードを掴むと、そのまま少し乱暴に引っ張った。
ギール「わうっ……。くっ、そ、そうだ、桃馬……はぁはぁ。主人に歯向かった俺を…、"誇り高い狼"のプライドを……はぁはぁ、"ズタズタ"にするつもりでお仕置してくれ…。」
桃馬「ふっ、ギールが狼だと?おいおい、笑わせるなよ?……お前はただの
ギール「っ、くっ、俺は駄犬じゃ……、わうん♪」
口答えをする悪い駄犬に対して、桃馬が再びリードを引っ張ると、ギールは可愛らしい声を漏らした。
桃馬「ほら、駄犬……、今から四つん這いになれ。」
ギール「っ、くっ……、わふぅ。」
完全に主導権を握られているギールは、桃馬の命令に対して少し反抗的な一面を見せるも、結局駄犬の本能には逆らえなかった。
桃馬「ふっ、よしよし、良い子だギール……。」
ギール「んんっ……はぁはぁ……、(だ、ダメだ……、桃馬の命令に逆らえない……。)」
桃馬「さてと、今度はギールの好きなモフりタイムだ。」
ギール「っ、ま、待ってくれ桃馬……。い、今そんな事をされたら……。」
桃馬「ふっ、どうなっちゃうかな??」
ギール「ひゃ、ひゃめ……わふぅん!?」
情けなく四つん這いになりながら、桃馬に大切な尻尾を少し軽めに握られたギールは、何とも駄犬らしい声を上げながら快感に溺れ始めた。
桃馬「ほほぅ〜?尻尾を軽く握っただけでそんな声を漏らすとは、駄犬を通り越してまさに淫獣だな?」
ギール「はぁはぁ、う、うるせぇ……、いきなり、尻尾を握られたら、誰だって……ふにゃ!?」
小生意気にも反抗の姿勢を見せて来るギールに対して、ドS心に火を付けた桃馬は、ギールの尻尾の付け根を掴むなり、一気に尻尾の先端まで滑らした。
桃馬「あはは、おいおい、"ふにゃ"だと猫じゃないか?お前は駄犬なんだから"、しっかりわふっ"て言わないとだめだろ?」
ギール「はぁはぁ……。(く、くそ……、今日に限ってどうしてこんなにも感じやすいんだよ……。このままモフられ続けたら…、理性が壊れてしまう……。)」
完全にスイッチが入ってしまった桃馬は、弱々しく息を荒らげているギールの情けない姿に大興奮していた。
まさに、因果応報とはこの事である。
そして、依然と目隠しをしたまま手足を絞られているジェルドは、ギールの
ジェルド「わふぅ、…と、桃馬。」
桃馬「ん、どうしたジェルド?」
ジェルド「うぅ、お、俺にも構ってくれよ。」
桃馬「……ふっ、それならギールの後でじっくり可愛がってやるから、少しそのまま大人しくしていろ。」
ジェルド「っ、うう。」
その後、ギールとジェルドの調教に十分以上も
ここで時間軸の補足。
桃馬が目を覚ました時点で、部活が始まる十分前に迫っていた。
そんな中で桃馬たちは、無駄話と調教を入れて二十分近く費やし、更に桃馬とジェルドが連れ込まれた多目的教室は、二年棟の三階にあり、異種交流会の部室がある棟に行くために、五分近く掛かってしまう。
そのため、桃馬たちが部室に着いた時には、部活が始まる時間より、十五分も遅れてしまっていた。
桃馬「す、すみません、時奈先輩!遅くなりました!」
時奈「おっ、やっと来たか?既に私たちの自己紹介は済ませているから、桃馬たちも早く済ませてくれ。」
桃馬「は、はい!ほら二人とも前に出て挨拶しろ。」
ギール「わふっ、はぁはぁ……。」
ジェルド「んくっ…、わふぅ。」
時奈から自己紹介を促された桃馬は、早速二匹の駄犬に繋がれたリードを強く引くと、二匹の駄犬は嬉しそうに鳴きながら前に出た。
桜華「と、桃馬さん?こちらの二人は何をしてるのですか?」
桃馬「ん、あぁ、これか?これは二人の趣味見たいなものだから、別に気にしなくても良いよ?」
桜華「え〜っと、流石に気にしないと言うのは難しいかと……。」
異種交流会の部員からして見れば、差ほど珍しくない桃馬と二匹の光景ではあるが、初見の桜華に取っては異様な光景であった。
小頼「あはは♪相変わらず桃馬たちは仲が良いよね〜♪」
リフィル「うんうん♪特に今日のジェルドとギールは、何だか桃馬の性○隷見たいだね♪」
時奈「うむ、このまま二人のズボンを脱がして、四つん這いにさせた所を、桃馬のいきり立った"あれ"をぶち込む…。」
桃馬「っ、お前らな……、今すぐにその口を閉じないと触手の森に放り込むぞ?」
小頼「ほほう〜、そんな事を言って良いのかな〜?返り討ちにして、夜のゲイバーに放り込んでもいいんだよ?」
桃馬「っ、あっ、そ、そうだ〜。こんな茶番に付き合っている場合じゃなかったわ〜、早く自己紹介をしないとな〜。」
小頼「ふふっ、うまく話を逸らせたね〜?まあいいさ……、それでは学園の種馬共、そんな所で棒立ちしていないで、早く桜華ちゃんに挨拶しな。」
桃馬「…た、種馬って……、はぁ、はいはい、分かったよ。(見え透いた挑発をしやがって、俺は絶対にツッコまないからな……。)」
小頼からの見え透いた挑発に、物凄くツッコミを入れたい桃馬であったが、ここは敢えて我慢するのであった。
その後。
しばらく小頼からの挑発が続いたものの、桃馬とジェルドは、改めて桜華に自己紹介を交わした。
その一方、桜華とは初対面であるギールは、少しムスッとした表情を浮かべながら自己紹介を交わした。
時奈「さてと、各自の自己紹介も済んだ事だし、改めて私から歓迎の言葉を送ろう。こほん、柿崎桜華さん、ようこそ異種交流会へ。我々異種交流会一同は、桜華さんの入部を歓迎するぞ♪」
桜華「あ、ありがとうごさいます。こ、これからよろしくお願いします!」
時奈「うむ、それでは早速、本日行う活動内容についてだが、
桃馬「おぉ、廃ダンジョンの探索ですか。それなら、初心者の桜華さんでも安全ですね。」
時奈「だが、油断はするなよ?廃ダンジョンと言っても、腐ってもダンジョンだ。例え、凶悪な魔物や不審者の目撃情報が無くても、油断は禁物だからな?」
桃馬「っ、そ、そうですね。すみません、軽率でした。」
時奈「うむ。それと今回初めて参加する桜華さんだが、当然、分からない事は山の様にあると思う。そのため、基本的な教育係は桃馬に任せるとして、他のみんなは、桜華さんへのサポートを意識しながら活動して欲しいのだが、良いかな?」
部員「おぉー!」
時奈「よし、それでは、装備を整えて出発するぞ。」
部活開始の号令を掛けた時奈は、それと同時に天井から伸びている紐を引っ張った。
すると、天井から数多くの武具が降りて来た。
桜華「っ、ふえ!?な、何ですかこれは!?」
時奈「おっと、急に出してすまないな。これは、異世界へ行く時に必要な装備だ。現に異世界は、平和な日本と違って、盗賊や野生の魔物などが
桜華「そ、そうなのですか……。って、いやいや、それより、どうして学園内に物騒な武器が隠されているのですか!?」
物騒な部室に驚愕する桜華に対して、時奈は冷静に説明する。
時奈「ま、まあ、これに至っては、前部長にして前生徒会長の"エルガ"先輩が残した物だからな。」
桜華「え、エルガ先輩?」
桃馬「あはは、ほら、この部室に入る前に話した"ゲートを開いた"って言う、凄い先輩の事だよ。」
桜華「ふぇ!?そ、そうなのですか!?ゲートに続いて、こんなカラクリまで……、ほ、本当に凄い方なのですね。」
桃馬「あぁ、本当に凄い先輩だったよ。なんせ、学園の"女帝"って呼ばれていたからな……。」
桜華「じょ、女帝…ですか。(た、確か、小頼ちゃんも言っていたような……。)」
桃馬「まあ、エルガ先輩の事で気になるなら、また後で話をして上げるよ。とは言っても、時奈先輩に聞いた方がより詳しく聞けると思うよ。あっ、でも、話の合間に余計な事を言うかもだけど……。」
桜華「あ、あはは、た、確かにそうかもしれませんね。」
桃馬「それはそうと桜華さんは、どんな武器を持って行くのですか?」
桜華「ふぇ、あ、そ、そうですね。えーっと、あっ、これにしようかと思います。」
やんわりと話を戻した桃馬に
憲明「おぉ~、やっぱり桜華さんも日本刀を選んだか〜♪しかも
桜華「そ、そうなのですか?」
桃馬「っ、よ、余計な事を言うなよ憲明……。俺はただ、かっこ良かったから選んだだけ何だぞ?」
憲明「あはは、まあ、何はともあれ、気が合った事は事実だ。今日はしっかりエスコートしてやれよ。」
桃馬「っ、あ、あぁ、もちろん、そのつもりだよ。」
憲明に背中を叩かれ茶化された桃馬は、少し照れくさそうに応えた。
時奈「ふふっ、ようやく桃馬にも春が来た様だな。」
その後。
支度を整えた異種交流会の部員たちは、意気揚々と異世界の地へと足を踏み入れるのであった。
※予定していた時間より、二十五分も遅れた出発であった。
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