第7話 エピソード2 姫とメイドの温泉旅行(1)
「へぇ……ここが温泉とやらで有名なグラスポートなのね」
街の入口に立ったリレイアは、そこら中の建物から湯気が出ている光景をみて瞳を煌めかせていた。
入江に面したこの街は、風景が良いことでも知られている。
湯船に浸かる習慣のないこの国において、温泉は珍しい施設だ。
それだけに、富裕層を中心としてちょっとした観光地になっているらしい。
「賑わってるわねー。こんなに流行るなら、各地に温泉街ができてもよさそうなものだけと」
「この国では温泉の湧く地域が限られているのと、活火山の近くになりがちだってことで、なかなか街を作るのが大変らしいですよ」
私はライゼの知識を使って、リレイアの疑問に答える。
さらに言うなら、金を出して風呂に入ろうなんていう富裕層は数が限られているのだから、ほいほい作っても食い合うだけだという事情もあるようだ。
この街みたいに、寂れた村にたまたま温泉が湧いたなんて経緯があれば別なんだろうけど。
建物が石造りなこと以外は、日本の温泉街にとても近い雰囲気だ。
転生前、「自分にご褒美」と言って、温泉で一人同人誌執筆合宿をしたのも懐かしい思い出である。
朝風呂のあとに、旅館の小さなテレビで見るニチアサがまた格別なんだよね。
「ねえユキ! なにあの服! 布を巻いただけに見えるわ」
ハイテンションなリレイアが、道行く人と私の顔を交互に見る。
色使いや施された刺繍こそこの国のものだが、形状は浴衣に近い。
というか、帯が紐のように細いこと以外は、ほぼ浴衣である。
さすがに足元は草履などではなく、革製がほとんどだけど。
ちょっと日本を思い出してしまう。
懐かしく感じるけれど、帰りたいとは思えないあたり、悲しい人生だった……。
「私の故郷にあった浴衣という着物に近い形をしていますが、なぜみなさん着ているのかは……」
あたりを見回すと「グラスポート観光案内」と看板を掲げた小屋があった。
観光を売りにした街はいくつか見てきたが、このサービスは初めて見た。
文明レベルの低さや、隣国との緊張状態などから、観光一本で全力という街はそうそうない。
なんせ、移動手段が現代ほど発達していない上に人口密度も低い。
観光という産業自体が成り立ちにくいのだ。
「ごきげんよう」
リレイアは案内所の窓に向かって背伸びをしている。
「ちょっと、この窓高いわね」
おっちゃんが顔を出している窓が、リレイアの頭より少し高い位置にあるのだ。
「んん? お嬢ちゃん、温泉に入りに来たのかい?」
おっちゃんが下を覗き込むと、そこへ馬車がやってきた。
「領主様御用達の宿は空いているか?」
馬車の窓から執事らしき青年が、おっちゃんへと話しかける。
なるほど、窓の位置が高いのは、馬車を相手にするためか。
馬車にも乗れない貧乏人は、わざわざ温泉に入るためにこの街へやってはこないということだ。
「これはランタスク様! もちろんございますとも。西にある銀熊邸などいかがでしょうか?」
「うむ、あの宿ならば御主人様も喜ばれるだろう」
「はい、ごゆっくりおすごしくだせい」
短いやり取りの後、馬車は走り去って行った。
「領主御用達ってなんですの?」
リレイアが窓口に顔を見せようと、ぴょんぴょん跳ねている。
か、かわいい……。
「魔道士とメイドの仮装……? 旅劇団か何かか?」
「「ホンモノです!」」
これは心外である。
私はリレイアと揃っておっちゃんを睨みつけた。
「お、おう。それはそれで、わけのわからん組み合わせだな」
そこはまあ……反論し辛いよね。
「それはともかく。領主御用達とはなんですの?」
「ははーん、お嬢ちゃん達、この街は初めてだな?」
なぜかおっちゃんは嬉しそうだ。
客が金持ちばかりで、こういったくだけたやり取りは久しぶりだからだろうか。
相手は美少女だしね。
「御用達ってのはな……お、ちょうどいいのが来たぜ」
おっちゃんが指差したのは、街の中から向かってきた馬車だった。
荷台にはたくさんの樽が積まれている。
武装した護衛までついているところを見ると、大事なものを運んでいるのだろう。
「あれが街一番の宿、銀熊邸からの『献湯』馬車だな」
「もしかして、領主に温泉のお湯を届けているんですの?」
「そういうことさ。献湯を許されている宿は領主御用達の看板を掲げられる。そうすると、お貴族様達がこぞって利用してくれて儲かるって寸法さ」
なかなか上手い商売を考えるものである。
「ねえユキ、せっかくだから私もその宿に泊まりたいわ」
「お嬢ちゃんには難しいかもなあ。なんせ値段がね」
おっちゃんが教えてくれた一泊の金額は、私達二人の路銀三ヶ月分だった。
いくらなんでもそんな金額は出せない。
「ユキぃぃ……」
「涙目になっても無理なものは無理です」
少しこの美少女をいじってみたいところではあるが、私はおっちゃんに訊ねる。
「お察しの通りあまりお金はないのですが、この街で一番安い宿はどこですか?」
「んんー、あんまりオススメはしないぜ」
おっちゃんは難しい顔をする。
「なぜです?」
「それはその……主が代わりモンでね」
なんだか歯切れが悪いなあ?
「それは面白そうですわね」
俄然興味を持つリレイアである。
「このお嬢ちゃんも変わってるなあ」
おっちゃんが目をぱちぱちさせるのに、私はただ静かに頷くのみだ。
「まあ、紹介してもいいが、あそこのサービスをこの街の普通と思って、悪い噂を流されちゃ困るぜ」
「もちろんですわ」
リレイアがニヤリと笑った。
この笑顔、絶対何かたくらんでいる。
おおかた、主の悪事を暴いてやろうとでも考えているのだろう。
悪人かどうかなんてまだわかんないからね?
その宿は、紅龍邸と言うらしい。
「宿に向かう前に、となりに寄ってきな」
そういうおっちゃんに従って、となりの石造りの建物に入る。
すると中には、たくさんの浴衣が吊ってあった。
店の看板には『浴衣貸します』とある。
この浴衣っぽい着物、コンコネキュラッサという名称なのだが、面倒なので浴衣と呼ぶことにする。
どうせ他の固有名詞も私が勝手に脳内翻訳したりしてるしね。
「あらあら、こりゃあべっぴんさんだ。ここは初めてかい?」
「そうですわ。ここで浴衣をお借りできるのね」
リレイアは楽しそうに店の中を見回している。
浴衣のレンタル代はピンキリで、刺繍にこっているものほどお高い傾向がある。
「浴衣を着ていると、街での宿代から酒代まで、全部半額になるからね。着ておいた方が絶対お得だよ」
「半額!?」
思わず声をあげた私だったが、むしろ浴衣を着ないと倍額ということだろう。
街の雰囲気作りも大いにあるだろうが、浴衣のレンタル代が街への入場料にもなっているということか。
よくできたシステムだ。
浴衣に着替えた私とリレイアは、紹介してもらった紅龍邸へと向かう。
いくら前を閉じても、胸の谷間が強調されてしまう。
ナイスバディすぎるよライゼ……。
紅龍邸は想像していたよりも立派な作りだった。
石造りの外観を見るに、二十部屋以上はあるだろう。
この世界の宿にしては、かなり大型な方だ。
ただし、ここに来るまでに見た他の宿に比べると、貴族が好むような豪華さはない。
だが、掃除は丁寧にされているし、悪い宿ではなさそうに見える。
「ごめんください」
西部劇モノの酒場にあるような木の扉を押して中に入ると、酒場のようなカウンターの向こうで、初老の男性がパイプを吸っていた。
痩せてはいるが、こちらを見る鋭い眼光がまだボケてはいないことを示している。
雰囲気からしてここのご主人だろう。
これだけ大きな宿でご主人がひまそうに客を待っているというあたり、流行ってはいないようだ。
「予想通り賑わってはいないようね」
私の後ろからひょいと現れたリレイアがそんなことを言う。
はっきり言い過ぎぃ!
しかも、『予想通り』って、失礼にもほどがあるのでは!?
他の宿が外からでもわかるほど賑わっていたのを見てきたので、気持ちはわかるけど。
「ひやかしなら帰んな」
ご主人が不機嫌にそう言い放つのもさもありなん。
「観光目的の旅人なら、わざわざこの宿に泊まる意味もないだろ。領主御用達の宿にでも行きな」
これはたしかにへんくつ!
「いいえ、ぜひこちらに泊めていただきたいですわ」
なぜこの状況で楽しそうなのか。
「安いと聞いたからか?」
「いいえ、良い宿だからですわ」
今度は褒め殺し?
「……なぜそう思う?」
「ご主人の手を見れば明らかですわ」
リレイアはご主人がパイプを握る手に視線を送った。
「加齢だけではなく、水仕事で荒れた手。それに筋肉の付き方。ご主人が働き者であることが伝わってきますわ」
「ふんっ、働かないならば食う資格はない。たとえ貴族でもな」
「私もそう思いますわ。貴族が現場で汗水たらす必要はないけれど、民のために良い街を作る義務はありますもの」
「へえ……言うじゃねえか」
ご主人はリレイアに興味を持ったようだ。
「ここは良い宿なのでしょう? 領主御用達なんて名目がなくても」
「あったりめえだ! あんなもの、領主が平民から搾取するためにやってるだけだ! 街の連中は領主に尻尾をふりおって!」
もともとお不機嫌そうだったご主人の怒りが急に爆発した。
御用達制度には思うところがあるらしい。
触れちゃいけないところだったんじゃない?
大丈夫かなあ。
「ご主人は領主に屈しなかったのですね」
「おうよ!」
「腐った権力に抗うその姿勢! 老舗旅館のご主人に相応しいですわ!」
旅館に関係あるかなあ、それ。
「う、うむ」
ご主人がまんざらでもなさそうだからいいけど。
「私も旅人ながら、いろんな街で権力者には苦労させられました。今夜は美味しい料理でもいただきながら、ぜひそのあたりのお話などもしたいですわ」
「お嬢ちゃん……お若いのにしっかりしてんな! よーし、うちで一番いい部屋を用意するから、ぜひ泊まっていってくれ!」
ご主人は急に商売人モードになり、宿帳をカウンターに置いた。
ちょ、ちょろすぎ!?
とはいえ、私ではここまでスムーズに話を進めることはできなかっただろう。
ご主人がどこに食いつくのか、ひと目で見抜いたリレイアがすごいのだ。
ライゼの記憶から推測するに、街の様子やご主人の人柄、宿の手入れのされ方などを直感で処理しているのだろう。
王族だからなのか、王宮での苦労があっからなのか、とにかく人を見る目には長けている。
「楽しみですわ。今日はクラーケンの酢漬けと炭焼きですものね。昔、一度だけ頂いたことがあるのですが、美味ですよね」
「ほう、若いのにアレの良さがわかるのか! 最近の若いのは、見た目が怖いなどと言って避けおるからな」
「嘆かわしいことですわ」
なんだか、すっかり意気投合している。
「それにしても、なぜメニューがわかったんだ?」
「クラーケンのスミを取り出した時の匂いがしますわ」
「これはしまった。お客さんに嗅がせるような匂いじゃないんだがな。いい鼻をしてるねえ」
私は匂いを嗅いでみるが、まったくわからない。
クラーケンってことはタコだよね?
ちょっと楽しみだよこれは。
「こいつは腕の振るいがいがありそうだ! 楽しみにしててくんな! おーい女将! お客さんだ!」
女将さんは初老と呼べるほどの年齢にも関わらず、しっかりした足取りで私達を部屋へと案内してくれた。
さすがに和室ということはないが、キングサイズのベッドが置かれた立派な部屋だ。
日本で私が暮らしていたワンルームの三倍はある。
シーツは使い古されたあとはあるものの、きれいに洗濯されている。
洗濯機などないこの世界において、なかなかに手間のかかる仕事だ。
安宿などは、何日も取り替えてられていないことなどざらである。
「さあ温泉に入ろう! 早く早く!」
女将さんがドアを閉めると、リレイアはぴょんぴょん飛び跳ねた。
完全に子供である。
いや、子供は温泉にここまで喜ばない気もするけど。
大浴場は貸し切りだった。
宿同様、設備は古いものの、手入れは行き届いている。
海の見える露天風呂も完備だ。
「こんなに良い宿なのに、なぜ人気がないのでしょう?」
私はリレイアの背中を流しながら呟いた。
「頑固そうなご主人だったから、そのあたりに原因がありそうよね」
「と言いますと?」
「まだわからないけど……貴族の経営する宿、領主御用達を頑なに拒むあの態度、気になるわ」
「貴族なんですか? あのご主人」
「『元』かもしれないけどね」
「なぜそうとわかるのです?」
「物腰から明らかじゃない」
「けっこう粗雑に見えましたが……」
「もう、ちゃんと観察してよね。ライゼなら……っと、これは言いっこなしね。それに、自分のことを『平民』と言ったでしょ?」
「あ……たしかに……」
当事者ならば、『オレ達』などと言いそうなものだ。
相手が貴族だと、リレイアの身分がバレるのではないかと、旅を始めた頃はひやひやしたものだ。
しかし、写真の技術が進んでいないこの世界では、リレイアの顔を見たことのある人の方が少ない。
晩餐会などで出会っていたとしても、ばっちり化粧をし、着飾っているリレイアと、旅人姿のリレイアを結びつけるのは難しいようだ。
こんなところに姫様がいるなんて、想像もしないというのも大きいけれど。
やばそうなところでは、偽名を使ったりもするしね。
「これは事件の匂いがするわね……ふふふ……」
含み笑いで小さく震える肩にあわせて、やや控えめな胸がかわいくぷるぷる揺れる。
このキメの細やかさと柔らかさで、なんの肌ケアもしていないのだからすごい。
「匂いといえばリレイア様。クラーケンを調理する匂いなんてよくわかりましたね」
ライゼの体は鼻もいい。
それでもかぎとれなかったのに。
「何言ってるの? そんなのわかるはずないじゃない」
「へ?」
「ここに来る途中、クラーケンが討伐されたって話してる人がいたでしょ?」
「そういえばいましたね。……まさか、そだけでカマをかけたんですか?」
「スミの匂いが独特っていうのは知ってから、それっぽい話だったでしょ?」
「さ、さすがですね」
同じ情報を持っていても、私ではあそこまでご主人と意気投合はできなかっただろう。
「当たればオッケー。ハズレてもフォローはちゃんと考えてあったからね。ほら、洗ってあげるからこっち向いて」
「リレイア様にそんなことさせられません」
こちとらメイドだよ?
「いいじゃない。せっかくの温泉なんだし」
リレイアは私の背後に回り込んだ。
背後から私の胸を鷲掴みにしてくる。
「ちょ、ちょっとリレイア様! ひゃんっ!」
思わず変な声が出てしまった。
そういう趣味の人じゃないんだけど!?
「いい胸ねえ。これならどんな殿方でもイチコロでしょ」
「リレイアは様こそ、寄ってくる殿方には困らないかと――ひゃんっ!」
なんつーやらしい触り方をしてくるんだこの姫様は。
彼女にはそんなつもりなどないところがまたやっかいだ。
「私のは姫という立場に寄ってきてるだけだし」
意外に自分の魅力を過小評価するのよね。
優れた容姿をしていることは自覚しているらしいけど。
でも、彼女が他人に「見せたい」と思っている性格以上に、その根っこが人を惹き付けることに気付いているのかいないのか。
とはいえ、立場にすり寄ってくる男性がとても多いことも事実。
区別するのは難しいよね。
現代でもお金持ちは、みんな金にすり寄ってきてるみたいな気がして、人間不信になりがちだとか言うし。
……一度でいいから、そんな悩みを抱えてみたいものだ。
ここで『私は違いますよ』なんて言うのは簡単だ。
でも、そんな言葉を信じられるような人生を彼女は送っていない。
少し胸が苦しくなるけれど、私はそれを知っているのだ。
「慕ってくれる国民がいればいいじゃないですか。それに、もし誰も信用できなければ、私がもらってあげますよ」
「立場が逆じゃない!?」
「あら、男装がお好みですか?」
「そういうことじゃなくて」
「身長的には、私が男性役をする方がいいと思うんです」
「や、役……?」
おお、珍しくリレイアが戸惑っている。
ちょっと楽しくなってしまうね。
「ちょっと胸が邪魔ですけど、そういう需要もありますから」
「じゅ、需要? ユキは時々よくわからないことを言うわね」
「まあ、私も女性どうしで結婚するつもりは今のところありませんので」
「このやりとりなんだったの!? おちょくってるでしょ!」
「いいえ、愛でているだけです」
「そういうところだけライゼにそっくりね!?」
ことリレイアを愛でることについては、ライゼと私の趣味は一致していた。
私の方が現代知識がある分、姫とメイドもの風に茶化すのは得意だけどね!
なんの自慢かわかんないけど。
夕食は酒場を兼ねた食堂でとることにした。
部屋に運んでくれるサービスもあるようだが、リレイアの希望で食堂となった。
ご主人から話を聞くためだろう。
「んんー! おいしーですわ!」
リレイアはサイコロサイズに切られたクラーケンの酢漬けに舌鼓を打っている。
しっかりゆでた後、軽く酢につけた感じだろうか。
「旅に疲れた体に染みますね」
「こっちの焼き魚も美味ですわ!」
海の近くだけあって、贅沢に塩を使っている。
身の内側まで塩味が効いていて、ごはんが進む味だ。
残念ながら米はないけど。
笑顔で料理を平らげていくリレイアを、女将さんもまた笑顔で見守っている。
ご主人も仏頂面ながら、ちらちらとリレイアを気にしているあたり、嬉しいのだろう。
「以前はかなり繁盛していた老舗ですのね」
あらかた料理を平らげた後、リレイアは銀製のフォークをひょいと持ち上げた。
ところどころ欠けたりしているが、食器類も木ではなく陶器だ。
それも、適当に焼いたものではなく、形が整っており、柄も入っている。
庶民が手を出すようなものではない。
「まあな……」
ご主人は苦々しげに呟くと、パイプに火をつけた。
「よかったらお聞かせ願えますか?」
「客にするような話じゃねえよ」
すげなく断られたリレイアは女将さんに視線を送るも、困った笑みを返されるだけだった。
「これほど良い温泉と料理をあれだけの金額で頂いては申し訳ないので、少しでもお力になれればと思ったのですが……」
見ているこちらが申し訳なくなるほどのしょげた顔に、ご主人も僅かに困った顔を見せた。
半分演技なのだが、半分は本気なのだから始末に悪い。
美少女にこんな表情されたら、普通はコロっといくよね。
「いいんだ。客はただこの宿を楽しんでくれればいい」
ご主人もプロである。
多少へんくつなくらいで、ここまで閑古鳥が鳴く宿とは思えないんだよなあ。
「でも――」
リレイアも同じ感想だったらしく、食い下がろうとした瞬間。
――どがぁんっ!
突然の爆発音が宿を揺らした。
「なんですの!?」
声を上げると同時にリレイアは走り出した。
私もすぐそれに続く。
ああもう! 焼き魚の最後の一口が!
なにがあったか知らないけど、戻ってくることには冷めちゃうよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます