妹の過去side蘭

 昔の私は、無邪気で、元気な子供という印象だった。でも、今の私はそれとはかけ離れている。では。


 なんで変わってしまったのかは理解してる。

 それは…



 お兄ちゃんに恋をしてしまったから♡



 お兄ちゃんのことが兄として大好きだった私の意識は日に日に変わっていった。今まで普通にしていた手を繋いだり、話すことも緊張し始めた時期があった。


 その時の私はとても恥ずかしくて、何が原因か分からなかった私は、自然にお兄ちゃんを避け始めるようになった。

 毎日話しかけてくれるのを無視したり、学校でもお兄ちゃんにバレないように先に帰ったり…

 本当に酷いことをしたと思うけど…今更謝るのも恥ずかして言えないよ〜……


 今まで兄さんと1番話していた私が避け始めたら、お兄ちゃんも私のことを気にかけてくれて、


「蘭、ちょっと聞いてくれ。

 最近俺のこと…ずっと避けてるよな…

 何かあったのか?ひょっとして俺がお前に何か悪いことでもしたのか?そうだったらごめん…」


「……ちがっ……それはっ…」


「困ってるならなんでも助けになるぞ?そんなに言いにくいことなのか?」


 その時の私は、お兄ちゃんに気を使わせてしまったことに絶望して、頭の中がパニック状態になっていた。


 そして、私は言ってしまった…


「やめてよ……私のことなんてほっといてよ!!!」


 そう、私はお兄ちゃんを拒絶してしまった。その日は部屋に引きこもり、ずっとお兄ちゃんのことを考えていた。お兄ちゃんに嫌われていたらどうしよう。もう一生話せなくなったらどうしよう。

 色んな恐怖で埋め尽くされて泣きながから眠ったのを覚えている。


 謝らないと…謝らないと……


 次の日、起きてからもそんなことばかり考えていた。でも、お兄ちゃんに会う勇気が出なくて、ずっと部屋の中にいた。


 すると、


「蘭?いるんだろー?入るぞー」


 お兄ちゃんの声がした。私の部屋に来てくれたんだ。怖かった。


でも、ここで出なかったらもうダメだと思って、勇気を出してドアを開けた。


「………」


「蘭…」


「……え?……ちょっと!?お兄ちゃん!!」


 その時、突然お兄ちゃんに抱きつかれた。

 私はパニックになっていた。全身が熱なっていくのを感じた。

 私は、お兄ちゃんは優しさに包まれて幸せだった。


「蘭も大人になってきてるんだ。迷ったり、悩んだりすることは絶対ある、だから、いつでも相談してくれよな。昔みたいに」


 出会った時から変わらない。お兄ちゃんの優しい笑顔が、私の心を埋めつくした。


「うん…ありがとう……」


その時はお兄ちゃんに恥ずかしい姿を見られたくなくて、しばらくしたら私から離れた。

そして、また私は1人部屋で考えていた。


「…お兄ちゃんのことが大好きなのに…大好きなのに!!お兄ちゃんのこと見たら…考えたら恥ずかしくなっちゃって、八つ当たりしちゃうのは…なんで……」




こんなことを、お兄ちゃんに聞けなかった私は葵葉と愛華に相談した。


「「恋よ(ですわ)」」


「え、なんでそんな即答するの?」


「いえ、わたくしもそうですから無論です。お兄様のことを考えると幸せな気持ちになるので、ずっとお兄様のことを考えていますわ♡わたくしは恋する乙女なのです♡」


「そうね、私も、兄さんのことが好きすぎて悩んでしまうことが結構ありますよ。はぁ〜なんてかっこいいんですか兄さんは♥」


「ぇぇー……2人とも凄いね…でも、私は2人とはちょっと違うのかも、だって私はお兄ちゃんと話すことですら恥ずかしがってるんだよ?お兄ちゃんが大好きなのに、おかしいと思わないの?」


「私達が積極的すぎるだけよ、誰かさんはもっと自重すべきじゃないかしら?兄さんの気持ちを考えないおバカさん?」


「それを言う権利があなたにあると思っていますの?あなたのがお兄様と関わるのを控えてくだされば解決するのではなくて?」


2人はお兄ちゃんの話題になるといつも揉めてしまう。私が葵葉と愛華を止めないといけなくなるんだよね…


「ちょっと2人とも一旦押えてよ…」


「チッ…愛華は本当にお喋りで迷惑よね。ごめんなさい蘭。こんなのは放っておいて、私と解決策を考えましょ。」


「なにを言っておりますの?最初にイチャモンを付けていたのはあなたですわ。蘭はこれからわたくしとお話するんです♪放っておいてくださらないかしら?」


はぁ〜お兄ちゃんのことになるといつもこうだよ…っていうかこれに関してはほとんど私のことだし…

2人とも仲良くして欲しいんだけどな〜…


私はこうして見事にお兄ちゃんに対してツンな妹になってしまった。


お兄ちゃんのことは大好きだけど、2人のことも好きだからさ…また4人で仲の良かった時に戻って欲しいな〜なんて思ったりしてる。


お兄ちゃんは私達姉妹の中で大きくなりすぎてるんだよ…





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る