第17話 妹と妹の作戦会議

 長らくして、俺は4年生に、妹たちは3年生になった。元々引っ越してきたのが秋の中頃だったので、割と直ぐにクラス替えをすることになるのだった。


 まあそんなのはどうでもよくて、俺は未だに問題を抱えつつあった。


 葵葉だ


 何回か強行突破を試みてみたが、家では部屋へ訪ねると1回目は出てきてくれたが、それ以降は聞いたら鍵をかけられてしまい、門前払いだった。


 どうすりゃいいのか…


 そう悩んでいたある日


「お兄ちゃん!愛華が!愛華がすごく明るくなって、すごいの!」


 ある日、蘭がすごいすごいと、愛華のことを話してきた。

 俺も、感謝されるのは素直に嬉しかった。

 自分が妹を救ったというのも、小さい頃の俺からするとヒーローになれた気がした。


「あぁ…お兄ちゃん頑張ったぞ!この調子で、葵葉も…」


「お兄ちゃんなら絶対できるよ!お兄ちゃん好き!大好き〜!」


 そう言って、蘭が俺に抱きついてきた。

 この時の蘭は甘えん坊だったな〜

 可愛さは今も変わらないけど。


「お兄様♪なにかお悩みでしたら、わたくしもお力になりますわ♪」


 蘭と話していると、愛華もよってきた。


「愛華、実は葵葉となかなか上手くいかなくて…どうすればいいと思う?」


「ん〜…わたくしも葵葉とは仲良くお話したいですわ。でも、葵葉もわたくしと一緒で、ずっと塞ぎ込んでいるのです。

 例えば……わたくしと同じく、機会を作ってお話をしてみるのはいかがですか?」


「それはやろうとしたんだけど、葵葉は部屋から出てきてくれないんだよ…」


「それなら、学校で話しかければいいのではないですか?」


「確かに!それなら葵葉は逃げられないから、話してくれるかもしれない!明日から試してみるよ!ありがとう愛華!!」


「いえいえ!大したことではございませんわ。それではお兄様♪わたくしにごほ「私も〜!!私も葵葉とお話したい!お兄ちゃん、ついて行ってもいい?」


「ああ…問題ないぞ。じゃあ明日、学校が終わったら蘭の教室に行くね」


「うん!頑張ろう!お兄ちゃん!!」


「………」


「あれ?愛華どうしたの?さっきまで元気だったのに急に暗くなったね」


「大丈夫ですよ蘭…全く…なにも…問題ないですから…」


「そう?ならよかったけど…」


 上手くいかは分からないが、家では籠られてしまうため、外で追い詰める選択をした。


 その選択が運命を分けるとも知らずに。

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