妹の過去side愛華
わたくしの命はお兄様のためにあり、お兄様を愛することだけが、わたくしなのです。
「ふふっ…お兄様〜素敵ですわ〜♡♡」
小さい頃のわたくしは、少なくともこんなにも情熱的な人間ではありませんでした。
昔のわたくしはなんの取り柄もない、恥ずかしがり屋のダメダメな女の子。
と言ったところですわね。
それはわたくしのお母様が死んでしまったことが原因…だけではありませんね。
元々、わたくしは引っ込み思案な子だったのですわ。
その時のわたくしには、何もありませんでした。
あったのは自分のことが大嫌いな自分だけ。
他人との会話を拒否していたので、誰もわたくしを見てくれる人なんていませんでした。
それでも、お母様とは、楽しいお話をたくさんしていました。
それは葵葉と蘭も同様に…
だからこそ、わたくしはお母様がいなくなってしまってからは、人と関わるのが怖くなってしまいました。
そうして、月日は流れていき、わたくしはお兄様の妹になりました。
『今日から君たちのお兄ちゃんになる…
彩斗です。
あの……よろしく!』
わたくしより1つ上のお兄さん。
わたくしは不安で仕方ありませんでした。
他人に嫌われるならまだしも、これから兄になる人に見限られたくはないと思っていました。
お兄様との会話は今でも全て覚えています。
その中でも、わたくしが自分で今でも許せないことがあります。
『いい加減にしてください!!私たちの苦労も知らないで!あなたは!!』
手を差し伸べてくださったお兄様を拒絶する言葉。
これを思い出す度に胸が苦しくなってしまいますの。昔のわたくしは本当に愚かしい人間ですわ。
この時のわたくしはもう終わりだと思いました。
わたくしを気遣ってくださったお兄様を拒絶したのです。
今まで、誰にも手を差し伸べられなかったわたくしに
ですが、そんな哀れなわたくしを、お兄様はまた救ってくださったのです。
『僕と、本当の家族になって欲しい!』
思い出すだけで胸が昂ってしまいますわ〜♡
当時のわたくしも、わたくしを見捨てなかったお兄様に感動していました。
こんなにもわたくしのことを思ってくれる人がいるのだということに…
それから、わたくしはお兄様と共に自分を変える努力をしました。
その日々は当時のわたくしにとってかけがえのないものになっていきました。
最初は周りと話すのが得意になって嬉しいという気持ちもありましたが、時が経つにつれて自分の成長をお兄様に褒めてもらえることの方がなによりも幸せであることに気づいたんです。
お兄様はわたくしを救ってくれた王子様♡
昔のわたくしはお兄様に少しでもよく見られたくて、いい子に思われたくて、憧れていた一人称や喋り方に一新する決意をしましたの。
これも全部あのお話のおかげですわね♪
こうして、なにもなかったわたくしは、お兄様1色に染められてしまいました♡♡
もう一生…誰にも…渡しませんからね♪
わたくしだけのお兄様〜♡♡♡
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