第16話 練習ももう卒業

 その後、俺との特訓で、愛華は目覚しい成長を遂げて行った。

 クラスの人に声をかけることができた。また友達ができたって、今日も、今日もって、いつも明るい表情を俺に見せてくれるようになった。


 毎日やっていた練習は、もう俺の手伝いはいらないかもしれないと思った時、愛華に聞いてみた。


「なあ?愛華。もうそろそろ、僕との練習も卒業でいいんじゃないか?」


「えっ……そんな……」


 愛華はすごく悲しい顔をしていた。


「いや…別に困ったことがあったら気兼ねなく相談してくれて構わないよ。

 でも、もう愛華は人並みに、いや人並み以上に会話が上手になったんだ。

 それは俺が1番分かってるし、だからこそ、もう、愛華には必要ないと思ったんだ」


 僕は愛華の頭を撫でながら話した。


「お兄さん……お兄……様…」


 愛華は泣きそうになっていた……


 

 でも、この時は泣かなかった。


「ふふっ…また泣くと思いました?

 残念でした♪私はもう変えられてしまったのですよ。

 お兄様のおかげで♪」


「お兄様?呼び方を変えてみたの?」


「はい!私は…いえ、わたくしは、お兄様にこの御恩を一生忘れません。

 これからも!よろしくお願いしますね♪」


 何に影響されたのか分からないが、一人称と俺の呼び方、そしてなんとなく口調が変わっていたのに驚いた。


 だが、愛華は本当に明るくなったな〜と、俺の方が泣きそうになっていたが、バレてなかったよな…


 こうして、愛華との仲は解決した。

 次は葵葉だが……どうすりゃいいか分からなかった。


 別に葵葉は会話ができないわけじゃない。

 最初から全てを拒絶しているだけだからだ。


 そしてひとつの結論に至る。

 もちろん昔の俺には……


 強行突破しかなかった

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