第15話 本当の家族に
意気込んだはいいものの、具体的な解決案が思いつかなかった俺は、とりあえず愛華に以前のことを謝りに行くことにした。
「愛華、今時間あるか〜?」
「お兄さん!?ごめんなさいごめんなさい!
ええっと……あっあの……」
「この前はごめん!」
「えっ……」
「僕、君たちの都合も気にせずに、
無理やり…」
「そんな…謝らないでください…
元はと言えば全部私が悪いんです…
ですから……本当にごめんなさい!」
「あー待ってくれ!
こんな僕でも、僕は…僕は…愛華の助けになりたいんだ!」
愛華が閉じようとしたドアから手を離して、呆然としていた。
最後は緊張して、言葉がまとまらなかったが、愛華に対する思いは全力で伝えた。
「僕と、本当の家族になって欲しい!」
俺はそういって、愛華に手を差し伸べた。
少しの間が空いて、
「………っ…はい…」
愛華は俺の手を取ってくれた。
俺はその時、自分の努力が報われたことがすごく嬉しかった。
「ほんと!?じゃあこれから、一緒に話そう!
まずはこの前言ってた友達作りから!!」
「え!?はわわわわ………」
愛華は顔を真っ赤にして慌てていた。
「ああ、いきなり叫んでごめん。
愛華が俺のことを受け入れてくれて、すごく嬉しかったんだ〜」
「それは…私もです…」
ん?愛華も?と思ったが、深くは突っ込まなかった。
その後、
俺は愛華友達作りの作戦を立てていた。
「いいか?まず人と話すことを怖がっちゃダメなんだよ。
相手の目を見て話せるようになろ!」
「無理です無理です!!
そんな事絶対できません!!!」
「いいや、愛華ならできる!!
愛華は絶対に勇気がある女の子なんだ!
やろうと思えば何だってできる!」
俺は、ほとんど力技で愛華にコミュニケーションについて教えていた。
今にして思えば、人見知りの女の子にこんな形で指導するのはよくないな…
「さあ!僕の目を見て!なにか喋ってみて!」
「あっ……のっ……その……こ、こんばん…は〜……」
バタン!
ぷしゅ〜〜
愛華は恥ずかしさのあまりぶっ倒れてしまった。流石に1日目にしてはハードルが高すぎたと俺は反省した。
その後、愛華との練習はほぼ毎日続いた。
毎回始まる前にドアの引っ張り合いが起きたりして、なかなかに騒がしかったな〜
「今日は!会話の流れうぉっ!!本格的にぃっ!練習していこうとぉっ!!思うぞ!」
「嫌です!恥ずかしいです!今日はいいですから〜!!」
と、いつも通り揉めていたある日、いつも力ずくで開いていた俺は…
「ひゃぁーー!」
一旦力を抜いて愛華をコケさせることにした。
「ごめんごめん!大丈夫か?」
「もう!お兄さん!怪我したらどうするんですか!危ないですよ!!」
愛華の目は、しっかりと俺の目を捉えていた
「愛華お前…僕の目を見て、めっちゃ喋れてるじゃん」
「え!!いや…あの、これは…」
「やったよ愛華!俺たちの練習はちゃんと成果が出てるんだよ!」
俺は嬉しくて愛華に抱きついた。
「お兄さん!?うわぁ〜~!!くぁwせdrftgyふじこlp~!!」
ちゃんと話せるようになってきてることが嬉しかった。
こうして、愛華と俺の練習の日々はとっくに1ヶ月も経っていた。
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