第14話 兄、妹を知る
その後どうしたかと言うと、
俺は愛華には酷いことをしたかもしれないという罪悪感が残っていた。
しかし、幼かった俺は、何故あんなにも2人と距離があったのか気になって仕方なかった。
俺は覚悟を決めて、蘭に妹たちのことを相談してみることにした。
「蘭〜いるなら返事してくれー」
「お兄ちゃん!私に何か用事?」
蘭は声をかけると元気よく部屋から飛び出してきた。
「実は聞きたいことがあるんだ。
いいかな?」
「私も!お兄ちゃんとお話したい!」
蘭は快く受け入れてくれた。
でも、重たい話になるかもしれないので、俺は少し緊張していた。
「早速なんだけど、僕は妹たちのことについて相談しに来たんだ」
「葵葉と愛華のこと?それなら私もずっと、ずーっと悩んでるよ」
「え!そうなの!やっぱり蘭も2人のことが心配だよね!」
この時俺は、自分の悩みを共有できて嬉しくなっていた。気兼ねなく相談できる相手がいなかったからだ。
「でも、2人を振り向かせるのはかなり難しいと思うよ…」
「え…どうして?」
「それはね……2人とも……まだお母さんが恋しいんだよ」
「………」
喜んでいたのもつかの間、
俺は言葉を失った。
「私のお母さんはね…私たちが幼稚園の年中の時に…死んじゃったんだ……ごめんね…私まで悲しくなってきちゃった……」
俺は…この時にとてつもない罪悪感で埋め尽くされそうになった。
兄妹になって、浮かれていたのがバカバカしくなってしまった。
「そんな……僕は……そんな気遣いもできてなかったんだ…」
「違うよ!お兄ちゃんは何も知らなかったんだから仕方ないよ。
私は嬉しかったよ!…お兄ちゃんができて、これでまた!2人が元気になって、仲のいい兄妹になれるんじゃないかって!」
蘭は涙を流しながら、頑張って俺に思いを伝えてくれた。
俺も泣きそうになっていたが、ギリギリでこらえた。
「私には、2人を立ち直らせることは出来なかったの…だからお兄ちゃん。お願い!!また、みんなで楽しい毎日に戻して欲しい!」
「あぁ……僕も、仲のいい兄妹になりたいよ。
ありがとう蘭!俺、頑張るから!」
この時の決意は、俺の人生を大きくゆさぶった。
今の俺たちがいるのは蘭のおかげであると言っても過言ではないだろう。
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