第13話 俺達の始まりは…2

 妹たちは俺の家に来ることになったので、その流れで俺の通う小学校に転校した。


 結局あれから数日が経ったが、なかなか妹たちは心を開いてくれなかった。

 かろうじて、蘭が話しかけてくれるようになったくらいだ。

 俺は蘭のおかげで、心が折れないで妹たちと仲良くなろうと頑張れたんだと思う。


 学校の様子が気になって様子を見に行ったりもした。

 高校生ではまずしないが、小学生なら、他学年のクラスに行くというのにあまり抵抗がなかったのだろう。


 3人は姉妹なので、全員違うクラスだったから、1つづつクラスを見て回った。

そして、俺は驚いた。


 蘭は友達ができていて、かなり馴染めている雰囲気があったが、葵葉と愛華はそうはいかなかった。

 2人とも小学生なのに、友達と話したりせず。1人で席に座っていた。


 家とは違った一面を期待していた俺の期待は遠に消えていった。


 その日はずっと2人のことを考えていた。

 悩みに悩んだ挙句、2人と話すことにした。

 友達作りを協力することで、2人の信頼を得ようと考えたからだ。

 

 まずは葵葉から、部屋に入ると


「お兄さんですか、何か用ですか?」


 と、話は聞いてくれそうな感じで聞いてきた。


「葵葉は学校でもずっと暗い感じなのか?

 ひとりぼっちは流石に寂しいでしょ。

 友達作りに協力したいんだ!」


「なんですか…結構です。関わらないでください」


 俺の話は一蹴された。まあ聞き方が悪かったなーとは思う。


 めげずに俺は愛華の部屋へと向かった。


「愛華〜いるか〜?」


 少し間があってから扉が開いた。


「ど…どうしたんですかお兄さん。

 私に…なにか用事でも…」


「愛華は、学校で友達がいないんじゃないのか?

 友達を頑張って作ってみないか!

 僕に手伝わせて欲しい!」


「ふぇぇ!!いえいえ結構です!!

 友達ならいます!いますから〜!!」


 ここで引いとけばいいものの、その時の俺は葵葉に断られたからか無理やり話し込むことにした。


「いや、愛華嘘ついてるでしょ!明らかに動揺してるし!

 僕は愛華には楽しく学校に通って欲しい!

 だから友達は絶対にいた方がいいんだよ!」


「嘘じゃありません!ほんとに!本当に友達いますから!大丈夫ですから!!」


「いいや、僕は愛華のことが大事なんだ!

 こんなところで引く訳にはいかないぞ!!」


 俺と愛華は、ドアを引っ張り合う状態になっていた。愛華は意外と力が強く、俺と張り合えていた。


「こっの……」


 ずっとこの状態が続くのかと思っていた。



 その時……



「いい加減にしてください!!私たちの苦労も知らないで!あなたは!!」


 俺は戦慄した。今まで1度も感情的になったことがない愛華が、大声で俺を威嚇したからだ…


「いや………あの……これは………

 ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


 バタン!


 愛華は自分が何をしたのか分かると、泣きながらドアを閉めた。

 あっ気を取られていた俺は、ドアノブから手を離していた。


 その日は、泣いている愛華が頭から離れられなかった。

 俺はその日……何故か…自分でも泣いていた。

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