第8話 妹、修羅場と化す
葵葉との話に夢中になっていて気づかなかったが、愛華が帰ってきていたようで、この場に居合わせてしまった。
……これは嫌な予感がする。
「おかえりなさい愛華。
……いつから、兄さんとの会話を盗み聞きしてたんですか?」
「あら、盗み聞きなんてしてないわ。
たまたま、わたくしが帰ってきたタイミングでお兄様と葵葉が話しているところに遭遇したに過ぎないのですけれど?」
「私はあなたがいつから話を聞いていたのかと言ったのですが。
会話もろくにできないようですね…
疲れているんでしょうから、さっさと部屋に戻ることをおすすめしますよ。」
「お気遣い感謝致しますわ。でも、そんなことで揚げ足を取って、勝った気でいるのかしら?
ずいぶんと都合のいい考え方しか出来ない姉ですわね。」
「勝ちもなにも、あなたは最初から私と兄さんとの会話を遮っているのに気が付かないのですか?
これはもう病気かもしれないわね、常備薬ならありますから、飲んで安静にしていた方がよさそうね。」
「……面白い冗談ね葵葉♪
あなたはこれから家事が大変でしょう?
この後はわたくしがお兄様にお仕えさせていただきますからなにも問題ありません♡
あなたが口出ししても止めるつもりはありませんわ♪」
「……は?それは私の仕事です。
大体あなたは兄さんに毎日付きまとって、いい加減兄さんの負担になってることに気づかないんですかね…
まあ愛華が分からないのも仕方ないですね。
私の方が真に兄さんを理解しているのですから」
「……葵葉……その言葉は流石に度が過ぎるのではなくて?
わたくしよりもお兄様を愛している女なんてこの世にいるはずがありませんのに…
そんなことも知らずに、ずいぶんとお喋りになったものですわね♪」
「…………」
もう俺は黙っている事しかできなかった。
葵葉と愛華は、度々言い合いになることがあり、俺が巻き込まれることもよくある。
まあ今がまさにそうなんだが、このようにどちらも引かないので終わる気がしない…
俺もできる限り止めようとはしてはいるのだが、変なところで首を突っ込むと、余計火に油を注ぐことになってしまい逆効果になる。
それが怖いので、まあまあ落ち着くまでは静観して、それから止めればだいたいは丸く収まる……?はずだ。
この前はそれで上手くいったしなんとかなるだろう。うん。
※愛華の一人称を
に変更しました。
理由いたしましては、今回のように姉妹での掛け合いになった時に読みやすくなると感じたので、この際全部統一しようと思ったからです。
よろしくお願い致します。
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