第4話 ヤンデレ妹の表の顔
全速力で走るもんだからめっちゃ疲れた。
蘭は俺と違って運動神経がいいので、なかなか追いつかなかった。
置いていかれるとまた口を聞いてくれなくなりそうで怖いからな…頑張るしかない…
そして、俺達が学校に着いたあたりでいつもの如く数人の人だかりができていた。
まあ毎朝のようにいるからほとんどの人が見慣れた光景となっているが、人だかりの中心にいるのは俺の妹である愛華だ。
「「「「「愛華様!おはようございます!」」」」」
「はい。みなさんおはようございます。」
と、見てわかる通りのお淑やか系キャラで一年生の一部の生徒から物凄い支持を得ている。ファンクラブがあるとか噂されるほどにとてつもない人気なのだ。
だが、知っての通り愛華は紛れもないブラコンであり、猫をかぶっているのは明白だ。
彼女達と戯れているのは愛華にとってどうなんだ?と思うことだろう。
俺も最初はそう思って、愛華との登校の時に聞いたんだが…
『もちろん、あの方達には微塵も興味はありませんよ。本当のわたくしはお兄様だけのものですので♡ あんな愚民に見せたくはありませんもの♡ そして…もしお兄様を狙う雌豚が現れ始めた時は私…正気を失ってしまいそうなので、それを起こさない為にも地位を築き反論させない環境が必要だと思ったのです。』
『……おう…凄いな……』
と、予想の斜め上を行く返事に言葉を失ってしまった。
やりたいことはなんとなく分かったけど、それって俺の立ち位置凄い怪しくないか?今はないが、愛華に近づきたいがために俺に接触してくる可能性とかがあるかもしれないよな?
そう思った俺はそれについても聞いてみたが、
『そんなこと簡単ですよ♪一緒に登校しているお兄様には関わるなと釘を打っておりますし、もし関わったとしたら……そうですね…直接、教え込めば分かってくれますよ♪』
『………』
と、また言葉を失うような回答が返ってきた。
そして後日その予想は当たってしまい、俺の存在を不審がっていた女の子が俺のことをストーキングしていたのだ。
それを愛華が見逃すはずもなく、次の日大勢の前でその女の子を断罪したのだ。
それで彼女の人気が落ちるかと思いきや、それを見ていた周りの女子までも魅了し、さらにファンを増やしてしまった。
それからというもの俺に対する風評被害はなく、後輩の女子と話す機会もないため、問題なく学校生活を送れている。
俺の存在はもしかしたらファンクラブのブラックリストに入れられているのかもしれない。
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