Chapter3 勉強ができる馬鹿というのも嫌いではないがな

Chapter 3-1

 中間テストが終わり、結果が発表された。返却された答案用紙に皆が一喜一憂する中で、校舎二階の掲示板には、各学年上位30名の名前が総合点と共に貼り出された。


 もちろん、二年生の一番上には僕の名前がある。おお、眩しいぜ。あそこだけ他と違って輝いているように見えないかい?


「はいはい凄いですねー。おっ、三峰さん七位じゃん! 流石だなぁ」

「おめでとう、真綾!」

「いやいや、それほどでも。英語で大分順位が落ちているからな。まだまだだ」

「英語か……。今回の英語はいつにもましてきつかった気がするぜ……」

「でも、赤西君は今回赤点なかったんでしょ?」

「そうそう、そうなんだよ! ま、これというのもいい家庭教師がいたお陰だよ、なっ!」

「はうっ!?」


 と、歩は窓際でいじけている僕の背中をバシッと叩いて来た。痛いのとびっくりしたので、思わず変な声が出てしまった。

 振り返ると、歩は満面の笑みを浮かべていた。


「ありがとな、シン。俺たちに勉強教えてくれながら、自分は学年一位なんだもんな。流石は俺の親友だぜ」

「本当にありがとね、冴木君」

「ああ。慎之介様々だな」

「ふ、フッ、ま、まあ当然だね! 教える事はもう一度学ぶ事だとも言うし、僕自身もいい勉強になったよ! それに今回は一之瀬君も三十位だったんだろう? この僕からも惜しみない拍手を送ろうじゃないか」


 そう。今回の大快挙は、なんと言っても一之瀬君が学年三十位に入った事だ。彼女自身にそれだけの素質があったのだろうけれど、今日まで手伝って来た僕の功績でもあるだろうね、これは!


「そ、そんな……。えへへ」

「おめでとう、一之瀬さん! ホントに凄いよ!」

「あ、赤西君……!」


 手放しで褒める歩の前で、一之瀬君が顔を真っ赤にして俯く。

 なんだかいい感じになってきていたけれど、最近はこうなると決まって……。


「歩せーんぱーい!」

「あぐっ!? こ、このみちゃん!?」


 どーんと。歩の背後から掛け寄って来た笠原君が、歩の腕に抱き付いた。

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