77 植物爆弾 - SF -
「本当に腹が立つな、敵国は。」
A国の将軍が顔を真っ赤にして怒っている。
A国とB国は隣同士でありながら昔から仲が悪い。
昔から諍いが絶えず、今も険悪なままだ。
常に一触即発の状態だが、
戦争を起こそうにも最近は周りの国が
目を光らせて戦争も起こしにくい。
何しろ科学力が進み兵器も強くなってしまい
一旦戦争が起こると周りにも被害が及ぶからだ。
「相手国が弱れば良いのだが……、」
将軍は少しばかり考えた。
そして何かを思いついたのか側近に耳打ちをした。
側近はそれを聞くと頷いた。
やがて半年もするとB国のあるニュースが聞こえて来た。
『我が国ではなぜかドクダミが
至る所で生え始めて駆除に苦労しています。』
ありとあらゆる農地にドクダミが生えて来たらしい。
ドクダミはとても強い植物だ。
抜いても根が残っていればまた生える。
A国の将軍はにやりと笑った。
「B国を農業から潰してやる。
これで国力に影響が出るだろう。」
A国の将軍はドローンでB国のありとあらゆるところに
ドクダミの苗を蒔いたのだ。
その時執務室のドアが開いて
青い顔をした側近が入って来た。
「どうした。」
「それがその……、」
側近が書類を渡した。
「山などに葛が生え始めて周りの植物を
侵食しています。グリーンモンスターです。」
書類には何枚も写真があり、
A国に元々あった木々に葛が巻き付いて覆っている。
「駆除しなければなりませんが
あまりにも繁殖が凄まじく……。」
元々A国には葛は生えていない。
どうして生えて来たのか………。
将軍は顔を真っ赤にしてテーブルを叩いた。
「B国の野郎……、」
そして数年後、
B国では良質なドクダミ茶が作られるようになり、
出荷もされるようになった。
そしてA国の将軍は
お湯に砂糖と葛を溶かして飲んでいた。
「風邪をひいた時はこれが良い。」
以前と違って穏やかな顔で将軍は言った。
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