🎃✞👻trick or treat👻✞🎃
眠れる森のぶた
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「トリックオアトリート!魔女様のお出ましだぞ♡」
そう言って魔女(仮)が現れたのは10月31日0時のことだった。
遡ること8時間前───
突然、玄関のチャイムが鳴った。
両親は不在で仕方なく自分が出ようとインターホンを見る。
そこには不自然に大きい紙袋を持ったあいつがいた。
『...どちら様ですか。』
そうインターホン越しに声をかける。
何かこちらに向けて言っているようだが、金属と金属がぶつかる音のようなガチャガチャした音で何も聞こえない。
『うちは間に合ってるんで...。』
と言い、俺は家の前の変人をなかったものとした。放っておいたら家に帰るだろう。
そうして俺はまたスマホゲームに
しばらくするとさっき聞こえたガチャガチャした音が近づいてくるのに気づいた。
...まさか....!!
「インターホン押したのに開けてくれないのひーどーいー!」
「そうよ、
買い物から帰ってきた母親がさっきの変人...秋奈を家に上げたらしかった。
「いや、だって、何言ってるか分からないしアポなしで来る方が悪いだろ。」
「幼馴染なんだからとりあえず家に上げてあげればいいでしょう?というかアポなんて取らなくても悠斗は暇でしょ。」
そうだそうだというように秋奈は頷いている。
「で?秋奈はなんの用?」
そう言った瞬間勝ち誇ったようにニンマリと笑うあいつを見て俺はしまったと思った。
「お菓子!一緒に作ろ!」
...いつもこいつは俺に面倒なことをさせるんだ。
「で、俺は何をすれば良いわけ?」
「ここに材料入れてくから...混ぜて?」
秋奈は気持ちの悪い声もとい猫なで声でそう言う
「まぁ、やるけどさぁ。俺じゃなくても機械とか買えばいーじゃん。」
「お金かかるじゃん。」
「...俺も金とろうか??」
「そんなぁ!お願いしますよぉ!」
作業していた手を止めて秋奈は俺に縋り付く。
「離せ!とらねぇよ!俺は便利なかき混ぜマシーンですもんね!!」
おれは
「あ、それは...。」
「分かってる!優しくだろ!」
「...んもー、分かってるなら普通に混ぜてよ!」
「!?いや、自分の言動見直せ?ばかなのか?」
「分かりきってる事じゃーん。」
秋奈はえへへと笑う。
「いや、褒めてないから!!」
ポンコツとお菓子作りを始めて2時間上手く出来上がった様子で秋奈はルンルンで帰っていった。
いや、作ったお菓子くれないんかい!お詫びにってくれる流れだろ!!
ま、いいか。期待してた訳じゃないし。晩飯食べよ。期待してた訳じゃないし。
あー、いっその事つまみ食いしときゃ良かったなー。
───現在───
「...お前ばかなの?いや、ばかだったな。」
今目の前には全身黒ずくめの魔女(仮)の秋奈がいた。
「お菓子食べなきゃいたずらするぞ!!!」
「そこはくれなきゃなんだけど。ていうかどうやって来たんだよ...。」
「窓から。」
「うん。だからどうやって窓まで...ってまさかお前...!」
「秋奈は魔女様だからほうきで来たよ〜!」
と秋奈は両手でVサインを作る。
...こいつベランダよじ登ったな。黒い服で目立たないけど所々汚れてんじゃねぇか。
「そんなことより、お菓子?いたずら?どっちー?」
「...お菓子。」
「ちぇ、残念。いたずらしたかったのに〜。はいお菓子。」
そのお菓子はケーキ屋とかでよく見る箱に入っているらしかった。
「開けていい?」
「いいよ〜!」
開けるとそこには...。
「...ケーキ?」
「うん!美味しそうでしょ?」
「わざわざ買ってきて?」
「まっさかぁ!秋奈ちゃん特製の魔女ケーキだよぉ〜!」
「昼間作ってたのは?」
「悠斗騙すためのカモフラージュ!」
いつも変なところに力入れるんだよな...。
「ほら、食べて食べて!」
「じゃあ、いただきます。........ウマ...。」
「まあね。パティシエの卵なんで!!」
そう言って腰に手を当てふんぞり返る秋奈を見てその態度が無ければもっといいのにと少し残念に思う。
「俺、好きだよ。」
「え...!」
「秋奈のお菓子。」
「...んもー!帰る!」
来た時と同じように秋奈はベランダから帰っていく。怪我しなければいいけど。
一瞬見えた彼女の頬の赤みに気付かないふりをして俺はケーキの残りに手をつけた。
「ん。おいし。」
後日
「そういや、もしいたずらを選んでたらどうしてた?」
「それはもー!...ケーキ顔にぶん投げてた...?」
「...疑問形かよ。」
可愛い魔女様はいつも何をやらかすか分からないから怖いんだ。
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