後日話 俺は、謎の美人系な女の子から誘惑されることになった⁉
第37話 陰キャで恋人のいる俺が、誘惑されている⁉
この前の土曜日。
初命は
テーマパークにいる際、色々な大きな問題を抱えていたわけだが、何とか乗り越えることができたのである。
下着を私服の中に隠しながら、奈那とテーマパークで遊ぶ事。
お化け屋敷で、しくじってしまったところがあるが、音子は少しだけ多めに見てくれたようだ。
そして、音子とは以前のような関係には戻ることができたのである。
奈那と付き合っていく上で、隠し事なんてよくないことだと思う。
初命は胸を撫でおろし、この前のことを考えつつ、今、学校の廊下を歩いていた。
時間帯的に、お昼休みであり、特にやることはない。ただ、あるとしても食事をする程度である。
今日の昼休みは、一人で過ごす予定。
奈那は、この頃、忙しいらしく、生徒会役員としての仕事に打ち込んでいる。
初命も何かの力になってあげたいと思うが、今のところ、何かができるというわけでもない。
奈那とは恋人のような関係として、できる限り、彼氏彼女のような関係性が維持でいるように、奈那との時間を増やしたいと思っている。
「ねえ、ちょっといいかな?」
初命が校舎の中庭に設置されたベンチで食事をとっていると、一人の女の子から話しかけられる。
綺麗な声質に、ドキッとしつつ、初命は振り向いた。
「……」
今、初命に話しかけてきているのは、見知らぬ女の子である。
明るい髪質をしたポニーテイル風な美少女。
大人びた佇まいで、お姉さんのような雰囲気も感じさせてくれる。
学年もわからないが、多分、同学年か、または上級生かもしれない。
初命はそういった結論に到達する。
「そんなに驚かないで。でも、急に話しかけてごめんね。ひとまず、隣、いいかな?」
「え、はい……」
初命は少々硬直していたが、緊張した面持ちで首を縦に動かし、承諾を交わす。
「ねえ、あなたって、二学年の子よね?」
「はい」
なんで、知ってるんだろうと思う。
彼女とは初対面であり、初命はどちらかと言えば、影寄り。
特に接点を持つときなんてなかったはずだ。
「私、あなたに少し協力してほしいの」
「協力ですか?」
「ええ。いいかな?」
「内容にもよりますけど……」
どうして、こんなパッとしない人に、そういうことを言ってくるんだろうと思う。
「あのね、私と付き合ってほしいの」
「つ、付き合う?」
初命は体をビクつかせた。
あまりにもストレートすぎる発言に、心が動揺してしまう。
「ね、いいでしょ」
「でも、俺は……付き合ってる人がいるので……」
初命は動揺した感じに、ゆっくりと返答する。
「え? 私の付き合うっていうのは、恋人とか、そういう意味じゃないよ?」
「……え、違うんですか?」
「そうよ。もしかして、勘違いしちゃった?」
「……はい」
恥ずかしくなってきた。
初対面なのに、こんなにも美人な感じの女の子から告白されるなんてない。
「私と一緒に遊んでほしいの。ただ、それだけ」
「でも、なんで、俺となんですか?」
「それは、後で話すわ」
「後で?」
「そうよ。あと、これ、私のアドレスね」
「アドレス……」
「連絡先がないと、やり取りするのが困るでしょ」
「そうですね」
初命は内心、どぎまぎしていた。
アドレスが書かれた小さな紙を、初命の手を握るように渡してきたのだから。
美人系の女の子から両手で手を包み込まれるように触られたのは初めてかもしれない。
それに、今、初命の視界に映る彼女の胸のライン。制服からでもわかるほどに、豊満なおっぱい。
初命は唾を呑む。
奈那のおっぱいも大きいのだが、それよりも若干、大きく感じたのだ。
「どうしたの?」
「い、いいえ……個人的なことなので」
「もしかして、女の子から、こうやって言い寄られるの初めてだったり?」
「そ、それはないですから、俺には彼女がいますから」
「へえ……彼女って、奈那のこと?」
「⁉」
どうしてそれをといった顔を、初命は見せる。
「わかりやすいね。あなたって」
彼女から軽く笑われてしまう。
どちらかと言えば、上品な感じの微笑み方。
「それと、あなたにはもう一つ渡したいことがあるの」
「な、なんですか?」
「それは、こっちに来てくれる?」
彼女から手を触られたまま、とある場所まで引っ張られることになった。
これから、どこに行くのだろうか?
まだ、食事中なのにと思いつつ、部室棟の方へと向かうことになり、階段を上って、上の階へと向かう。
部室棟の三階。
そこの廊下を歩き、使われていない部屋に入る。
「ちょっと待ってください、勝手に入ってもいいんですかね?」
「別に問題はないと思うわ」
「問題はないって……」
どこの誰なのかわからない美人な女の子と、二人っきりの空間に閉じ込められる。
これからどうなってしまうのか、意味深なほどに、胸の内がドキドキしていた。
恋人関係の子がいるのに、心が熱く感じる。
「ねえ、緊張してるでしょ?」
彼女は部屋の扉を閉めると、初命のところに近づいてくる。
薄暗い環境下。
カーテンも閉め切られ、ハッキリとわからない状況で彼女から迫られていた。
顔も近づいてくる。
キスされてもおかしくないのだが、される理由も意味不明。
そんなことを想い、気恥ずかしい瞬間を体感する。
「でも、今はしないから」
と、彼女は初命の口元に、人差し指を当てていた。
今はしないって、どういうこと……?
今後はあるということなのか?
「あなたには、渡したいものがあるの」
「な、なんでしょうか?」
初命が動揺していると、彼女は距離を取る。
そして、制服に手をかけると、初命が見ている前で上半身の服を脱いだ。
気が付けば、彼女はブラジャー姿になり、先ほど隠されていた豊満な胸が明かされたのである。
思っていたよりも、確実に大きい。
「あなたに、私のブラジャーをあげたくなったの」
「……え? え⁉ どういうことですか? それはちょっと困るというか。ここで?」
「ええ、そうよ」
「だとしても、俺、彼女がいるし……だから、受け取れないです」
初命は頑なに拒んだ。
「じゃあ、私と正式に付き合ってくれる?」
「付き合うって、友達としてですよね?」
「違うわ。恋人のような関係で」
「それは、ちょっと……」
俯きがちになる。
「でも、ブラジャーを受け取るか、私と恋人同士で付き合うか。どっちかを選んで」
美人な彼女からそう言われた。
逃れられない事態に、また追い込まれそうである。
そして、初命は、ブラジャーの方を選んだ。
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