第2話 黒髪
生まれた時から、僕はずっと暗い檻の中だった。
周りの人は僕は化け物と呼ぶ。生まれた瞬間にお父さんとお母さんは死んじゃったらしい。そこから飲まず食わずのままなはずなのに僕はどんどん大きくなっていって、誰に教わるでもなく言葉を話せるようになったりしたからだ。
極めつけはこの髪色。
「どうして僕だけ黒いんだろう」
もう何度目かも分からない自問自答を繰り返した。
黒い髪の人を僕以外見たことは無い。みんな茶色だったり、金だったり色々だ。
だけど、黒だけは見たことがない。生まれてきて何年経ったのかはわかんないけど、僕と同じ色の髪は1度だって見たこと無かった。
『逃げろー!』
『待ってよー!』
外から幼い声が聞こえる。
「僕も、外で遊んでみたいな」
この鉄格子から見える空しか僕は知らない。
僕はこの銀色の鉄格子と、冷たい石の壁と、かすかかに見える陽の光が太陽だと言うこと以外何も知らない。
ああ、他に知ってる事もあった。
「おい。出て来いバケモノいつもの時間だ」
重い扉の鍵が開いて、中に大人が入ってくる。
「……はい。」
僕の足取りは重い。僕はこの時間が大嫌いだ。
この金色の髪をした大人が言ういつもの時間っていうのは、僕をどう「殺す」かの実験の時間の事だ。
僕がもうひとつ知ってる事。
それは、大人はみんな僕のことを殺したがってるって事かな。
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