黒髪の僕と赤目の少女

玖音

第1話 こんな世界なんて

「はぁ…はぁ…」


なんで。どうして。


『さがせ!!』


『見つけたら絶対に殺してやる…』

『見たかよ?!あの髪と目悪魔の末裔に違いないぞ!』

『畜生!森に逃げやがった!絶対逃がすなよ!』


僕が、彼女が、何をしたって言うんだろう。

僕はいい。僕は化け物だから。

でも彼女は違う。彼女は人だ。ただ、少し周りと違うだけだ。ただ目の色が違うだけだ。


「すぐに助けるから」


鉛みたいに重い足を必死に動かして、君を抱えて森を走り続けた。


「だから、おねがい。死なないでよ…目を開けてよ…」

「君がいない世界なんて、僕は━━━━」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る