第三章 毒花令嬢にギャフンと言わせたい!
第十三話 職場にて1 本日のランチは一切れのパンと豆の入ったスープ
──次の日
ただでさえ日頃から仕事量が多いのに、昨日のことがあり仕事が手につかない。執務机で山積みになっていく文書に後ろ髪を引かれながら同僚達と昼食をとることにした。
「ステファン。今日のメインは
声をかけてきたのは席取りのために先に向かった同僚のケインだ。
王城に勤める官吏向けの食堂は今日も混み合っている。席を確保した先遣隊達が代わる代わる食事を受け取りに向かっていた。
「おぉ。すぐ向かう」
軽く手を上げて応え、顎で示された場所に同僚達がいる事を確認して受け取りの列に並ぶ。
官吏として働いているのは貴族の子息達が多いとはいえ、城下のレストランに通うのは金がかかる。食堂にはさっさと食事を済ませたい文官が好む様なメニューや、とにかくガッツリと食べたい武官も満足がいくようなメニューも用意されている。貴族とは名ばかりの俺達にとっては毎日の食事が用意されているのはありがたい。
俺はいつも通りにパンと豆のスープをとり、少し悩む。
今までであればちぎったパンをスープに投げ込み一気に飲み干してすぐに仕事に戻っていたが、今はしっかり休憩をとるように言われている。
「相変わらず少食だな。大きくならないぜ」
「お前が食い過ぎなんだよ。二十も半ばになれば縦じゃなくて横にしか大きくならないんだ。お前は少し気をつけたらどうなんだ」
俺と一緒に
仕事ばかりで不摂生なガリとデブ揃いの同僚達も、食事休憩を取らないと疲労や栄養不足で余計効率が悪くなると言われて休憩時間を取るようになった。なりふり構わず仕事をしていた頃と比べれば俺やケインは食べるようになったし、ニールスは食事量が減った。そして確かに休憩をとるようになってからの方が仕事は捗っている。
「どうしたんだよ。また食べられなくなったのか?」
今は
マグナレイ侯爵やロザリンド夫人が若かりし頃から両国間は緊張状態が続き国交断絶状態だった。そのためイスファーン語を理解できるものも不足しており貿易再開に向け王太子殿下を筆頭に据え部署を超えて人材を集めている。かき集めの集団は一緒に働き始めた頃は互いに無関心だったが、日々同じテーブルを囲み昼食を取る事で今では連帯感も出来ている。
「今は食べたくない気分なだけさ。心配ない」
心配してくれる同僚の背中を叩く。
「おっと! あぶねぇな! 大切な
俺たちは笑いながら席についた。
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