第30話 対決――爬虫獣人のヴィクトリア

新人想いだった、ギルドの仲間を毎日のように励まし続けていた、そのヴィクトリアがなぜここにいる?

獲物を巣穴に引き込んで拷問を使って同齢契約を結ばせる爬虫類の化け物か?行方不明になった仲間がいると相談されて一緒に探そうとしてくれた頼もしい尊敬できる人物だと信じたい、、、、気持ちもあるがこの状況――あの顔には隠し事をしようという意思を微塵みじんも感じない。


「ヴィクトリア!|お前なのか?」


「ふふふ 最短、裏技、一ヵ月、これが若者たちを集める魔法の言葉なの。奴隷の印を自分から胸に押しちゃう可愛い子もいるわ。ふふふ」

爬虫類のヴィクトリアはとんでもない事を言っているのに気持ちはむしろ上機嫌。舌だし、目をぱちくりさせて爬虫類のお姉さんだ。


「でも 聞き分けの悪い子はそうやって拷問してでも奴隷になってもらっているのよ」


「何が目的た」


人身売買、、、、に決まってるじゃない。いつまでも童貞の治療も受けづに、いつ暴れ出すかもわからない魔物を体に宿して、逃げて、逃げて、、ならず者になった人間に価値なんてないわ。だけど こうして奴隷化することで安全な戦闘兵器として武器商人に売りつけることが出来るようになるのよ。 素敵でしょ?」


今まで魔物の召喚に目覚めた奴らを見てきたけど、最初は感情が高ぶり過ぎて気絶するんだよ。

俺が善とか悪とかを語るつもりはないけれど、元いた世界で俺みたいに我慢し続ける生き方だって

違うんじゃないか?、、、、、、、

ギルドでトップクラスのスリースターのメンバーの一人だ。

爬虫類の体を見る限りヴィクトリアの防御力は高いのか?

ミリーの斬撃よりもリーファとアケミの攻撃の方が有効だろう。


「アケミ セクシーショットだ!リーファはファイアボール」


アケミはセクシーショットを放つとトンネルいっぱいに衝撃はが伝わる。

ヴィクトリアは逃げ場もなく衝撃で飛ばされて追加効果でノックバックの軽いマヒ状態になった。

そこに付かさずファイアボールが撃ち込まれ、これで終わる、丸焦げだと思ったのだが

そこにヴィクトリアの姿は無くなっていた。


声がする方向を見るとそこはトンネルの天井だ。

爬虫類の獣人族は壁を登ることが出来るのか?でもあの状況でどうやって?

アケミのセクシーショットから抜け出したというんだ?


「やっぱり セクシーショットの追加効果は女性には効きにくいようね(女を落とせる女に・・私はなりたい・・)」


壁をはい回ることが出来るのがヴィクトリアの能力

敵地に侵入したり建物の壁をよじ登ってありえない角度からの暗殺なんかをすることが出来ただろう。

俺たちにとっては逃げ場のないトンネルだが、ヴィクトリアにとっては自由に動き回ることが出来る、絶好のフィールドと言える。

もう アレをやるしかない!


「アケミ!リーファ! 三人でやるぞ」


俺たちは天井にいるヴィクトリアに三人で同時攻撃をした。

ヴィクトリアが自由に動き回れるといっても天井だ。

アケミのセクシーショットでノックバックを受けて落っこちてきたところに俺のオナラ玉バブルクラッシュとリーファのファイアボールの同時攻撃をお見舞いしてやった。


ドッカン!


もしも 出会った場所が身を隠せる廃墟はいきょだったとしたら?出会い方が悪ければおそらくやられていたのは俺たちだった。

そのぐらいの実力を持った相手だったがなんとかヴィクトリアを倒した。


後はこのことをギルドに報告するだけだな。

大騒ぎになるぞ。

「クン・・ クン・・」

だけどギルドに向かう前に犬のロリをツリーグルのところへ返してやった方がいいだろう。


俺たちはトンネルを出ようとしたがそのときミリーが叫んだ。

「トシユキ! 後ろに下がれ!!!」

とっさに後ろに飛びのいた。何も起きていないし体にも服にも髪の毛一本すら何もないと思ったが次の瞬間に斬られてしまったことに気が付いた。

心だ。

重たい重圧感が重くのしかかり心が叫びをあげた。

トンネルの暗闇の奥から足音が聞こえて目を凝らすとそこにはラムネの姿があった。

「何があったのニャ?」

ラムネは俺たちを素通りして囚われていた人たちのところへ行くと

状況を確認するためにクンクンと臭いをかぎ始めた。


そのときヴィクトリアが叫ぶ!

「トシユキだ! 犯人はトシユキたちだったんだ!逃げろ ラムネ!」

「ニャ?!」


ラムネはロープの匂いを嗅ぐ。

確かに俺たちは囚われている人を助けるためにロープに触ってしまったぞ

「独特のオスの匂い――トシユキの匂いだニャ・・・」


ラムネは剣を抜いた。

説得するか? 

あんな凄い重圧感を押し付けてくる相手と戦いながら少しずつ誤解を解いていくなんてできるのか?

「違うんだ!聞いてくれ!」


「大人しく斬られるニャ」


倒れているヴィクトリアに俺の匂いが付いたロープが置いてある。

大人しく捕まったとしてもヴィクトリアの拷問による虚偽の自白をさせられる状況が待っているかもしれないし

違っていたとしても危険な方法だ。

俺は感情がピークに達した。


「ニンニクマン!とう!」


「にゃんだ その姿は?」


「みんな 口を塞いで出口に走れ!」


「そんな事出来るわけないニャ」


ラムネはゆっくりと腰を落とすと剣に手を添えた。

もしかするとさっきの重圧感を感じたのはスキル攻撃だったのかもしれない。。

相手の心を斬るスキル、心をくじいて無力にする力。さっきは後ろに飛びのいたけれど、まともに食らっていたら一撃で無気力状態にされていただろう。

さらに 追い打ちをかけるように剣劇けんげきを撃ち込まれたらどう反撃をすればいい?

だけど スキルが使えるのはラムネだけじゃない。


ぶぶぶ~ステータスブレイカー


スキル:マタタビを付与しました。


「今だ逃げろ!」


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