第12話 魅了の腕輪

魅了の腕輪:魅力が上がるがその魔力によって自分さへも魅了されて高飛車女になってしまうという恐ろしいアイテム。

墓荒らしによってある王妃の墓は荒らされ、長く眠りについていたその腕はは再び地上に現れてしまったのだとか・・・。


・・・・・


魅了の腕輪を手に持つと キラキラとせてこちらに見せてきた。

二人とも やけ顔だ。

ミリーは ローブをバサバサとさせて風を送り込みと女性特有の甘い香りがローブから伝わってきた。


「二人ともその顔はやっぱり 行ったのか?この短い時間でた・た・たのしんで来たのか?どうなんだ??」


「ええ 色々と見られて楽しかったわ(色んな露店が見られて楽しかったわ)」


「そ・そ・そ・んな見せあいだとぉ!巨乳と微乳、巨尻と微尻・・じゃぁ勝負にならん じゃぁ どことどこを見せやっ子してきたと言うのだ?」


ミリーは ニタニタとした顔になりその場にしゃがみこんで妄想を始めてしまった。

幸せそうで何よりだ・・・じゃなくて 魅了の腕輪だ。

装備はしていないからよかったが 二人の顔を見る限りすでに腕輪の魔力の影響を受けてないか?

まさか その腕輪本物なのか?


「持っているだけでも危ないんじゃないか?

アクセサリーに夢中で婆さんの話が聞こえていなかったのかもしれないけど

その腕輪には呪いに近い効果が付与されているぞ」


アケミが気絶しそうな顔でヘラヘラとした笑顔を浮かべた

「そんなことないわ。道を教えたくらいでもらえたのよ。きっとそこらへんの露店で売っている安ものなのよ。

それより、リーファ。

トシユキの前でその腕輪ハメてみたら?ホレちゃうかもよ(戻りたがってるトシユキが惚れることはないわ。飽きたら私が異世界のお土産としてもらってあげる)」


リーファは俺の言葉に少しためらっているようでうつむくとエルフの水の様な透き通った金髪が

腕輪にかかった。


「ホレる。。一緒に暮らせるか?」


真に受けてしまった。

もしかして俺と暮らしたいなんて

リーファはそこまで考えていたのか?

アケミが 砂の団子を持ち上げるようにフォローに入った。


「リーファも 私たちの世界に来ればいいじゃない?うつむくなんて似合わないわよ(ヤッベー)」


それでもリーファは顔を上げなかった。

透き通った髪は 夕日の光を浴びてオレンジ色に染まって見えた。


「それでも いい。でも 付いて行くだけ・・。」


リーファは首を振って笑顔を見せると


「腕輪 せっかくもらった 私が持ってる。こんど アケミにも貸してあげる」


アケミは手を合わせると ウィンクをした。

「ほんとぉ~ 嬉しいわ。お願いね」


俺達は宿へ戻ることにした。

ミリーは妄想の世界から戻ってこれないようなので俺が負ぶって宿まで帰ったが

ローブの中の皮の鎧はゴツゴツとしただけで感触は楽しめなかった。

バーサーカー状態のミリーは 水着のような鎧を着ていたから期待していたのに。

「ポッポー」

おまけにハトまで飛んできて頭の上に止まると俺の髪の毛をむしって飛び立っていった。


・・・次の日・・・


宿屋1階のテーブルで朝食を食べてたがリーファだけが遅れているようで

2階からなかなか降りてこない。

心配になって様子を見に行こうと階段のほうを見たら

コツ コツという靴の音を立てて誰かがおりてきた。


「リーファ!!!」

「ウソでしょ?」

「その姿はどうしたのだ!」


ミニスカートから見える美脚に大きく突き上がったお尻と胸。

腕には煌めく魅了の腕輪とその手からかき上げられた髪は

水のように潤っており、奥にある瞳は魔眼の魅力を宿していた。

もう たまらない。とにかく リーファを近くで見たい。

話がしたいと思ったので俺の席のとなりを促した。


「こっちだ。俺のとなりに座らないか? ここ! ここ!」


リーファはコツコツと靴のいい音をさせて歩み寄ってきたのだが

俺の前に来るとピタリと足を止めて 俺の顔を見下ろした。


「私 魅力的に見えるか? ふふふ。残念だったな。今のお前 私と釣り合わない ふふふ」


リーファはそのまま宿屋の外の扉へコツコツといい音を立てて歩いて行ってしまった。


ギギィィー


どこからともなく宿屋の扉が開くと 外には6人組の男たちが待っていたかのように

リーファを迎えた。


「リーファさん・・いいえ リーファ様。わたくしたちはあなたのしもべにございます。どうか私たちをお連れ下さい。美しきリーファ様」


「お前たち 私に尽くしたいのか? いいだろう。付いてこい」


一同は 土下座をした。

「ははぁ~・・・。」


リーファと何度も呼び掛けたけど俺の声は届いていないようで

俺たち3人は 取り残されてしまった。

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