第4話 ニンニクマン惨状

ふう 馬にも慣れてきた。

目の前にはリーファの馬が走った足跡が見えているので追いかけることが出来そうだ

けど リーファはかなり進んでしまっているようで見えない。


・・・・リーファ視点・・・・


「アケミを助けて 私 アケミと結婚する。そしたらあの男 用済み 殺す ふふ」


まっててアケミ。

手綱を強く握って 馬にムチを入れた。

勢いを増してグングン進む

岩を飛び越し グングン進むと南の岩山に人影が見えた。

2人の男と 岩に縛り付けられている人は・・アケミ


「アケミ! 男 ゆるさない」


馬に乗ったまま 突進をすると地面から木の根っこが飛び出してきた。

馬が暴れ出し 振り落とされたが叩きつけられた

でも 痛みに負けるわけにはいかない。

とっさに受け身を取って弓やを構えて矢を放った。


しかし 男に放たれた矢は再び地面から根っこが現れて防がれてしまった。


ゴゴゴゴゴゴゴ

男の後ろの地面から 枯れ木の化け物が現れた

「リーファよ。ワナと知ってよく来たと褒めてやる。だが 俺の魔物 ウルドでお前の息の根を止めてやる がはは」


ゴゴゴゴゴゴゴ


「アケミ! お前たち アケミ 離す。ファイアボール!!」


リーファは手のひらから火球を作り出した。

植物系の魔物に火の魔法は効果的なはずだ。


だけど リーファの後ろから声がする。


ベチャ!! 


体に液体状の何かが巻き付いてきた。


後ろを振り返ると 大きな腹にヨダレを垂らしたトロールがこん棒を持っていた。


「もう一匹 いた」


人間が二人いたことを 忘れていた。

次の瞬間 リーファの体が宙に舞い 口からは血を吐いた


ドガン!!!!!!!!


「がはは だから罠だって言っただろ・・ん? キサマ 何者だ!! うわぁぁぁ」


・・・・トシユキ視点・・・・


ゴゴゴゴゴゴゴ


俺がたどり着いた時 リーファとモンスターが戦っていた。

しかし なぜ気づかない?

先頭に夢中で俺には気づいていないようだった。


チャンスだ。


俺は岩山の裏側から忍び込み

魔物の根っこに縛り付けられているアケミと合流した。


「・・アケミ。・・アケミってば」


アケミは意識を失っているようで 大きな胸もダラリと垂れ下がって力なく見える。


「確りするんだ!」


テロリン!!


普通は肩をさすって起こすのかもしれないが 俺は乳をゆすってしまった。


「目を覚ますんだ!」


甘い吐息を上げたが目は覚まさない。。



バギ!!


キャァァァ!


リーファが どこからか現れたトロールに殴られて宙を舞っていた。

小柄のエルフにトロールの一撃は強烈だろう。



そして バカ笑いが聴こえてきた。

「がはは だから罠だって言っただろ・・」


俺はコブシを握った。

「うりゃ!」


「・・・これでエルフの村の女は暴力のいいなりでやんす! え? 何者でやんす!!」

「ん? キサマ 何者だ!! うわぁぁぁ」



ゴゴゴゴゴゴゴ


男を殴りつけると 枯れ木の魔物は地面の中に沈んでいった。

確かゲームの世界だと テイマー自身の力は弱いはず。

こいつらは 殴り倒せる


「おい! お前へ!」


俺はこぶしを振り上げて突進した。

しかし それに合わせるように トロールがこん棒を振り回す


ドッカン!


こん棒は空振りだったが地面に与えられた衝撃で吹き飛ばされた。

「ちくしょう 近寄れん」


トロールは ヨダレを垂らしながらこちらに迫って来る


もう 後がない。。


親切にしてくれたリーファも瀕死にされ、俺までやられてしまえばアケミも男の毒牙に侵されてしまうだろう。

悔しさに心臓がバクバクと波をうち 血液が逆流しそうだった。


そのとき 俺の心に何かが語り掛けてきた。

半透明のニンニクが目の前に映し出された。


「夢に出てきたニンニクじゃないか?」

「話はあとじゃ のう。あの娘を救いたいか?」


体が熱い。

俺の体は みるみるうちにニンニクのような見た目に姿を変えていった。


「ニンニクマン!! とぉ~!」


これじゃ ニンニク人間だ。

心に声が聞こえる


「球根マンじゃ では ワシはそろそろ逝く お前は短い時間だが相手にデバフを付与できる力を得たはずじゃ 

短い旅じゃったが楽しかったぞ さらばじゃ」


球根マン? デバフ? 最後はなんかいいヤツ気取りで逝きやがった。


ドッカン!


こんなときにトロールがまた一撃を振ってきたが 大振りなので当たらない。

俺は トロールの目玉を攻撃してやろうとこん棒にしがみついてやった。 


こん棒を持ち上げたトロールは 俺の方にその目玉を向ける。


チャンスだ。

飛び掛かってやろうと考えたが トロールのヤツが笑っているように見えた。


ヨダレが垂れる。。


旨そうだ。。 え? 俺食べられるのか?


球根になってしまったばかりにトロールは本能の赴くままに こん棒を高く放り投げると

落下してくる俺を食べようとしてきた。


ヤバイ ヤバイ ヤバイ


力が入る


俺のお尻が思わず叫びを上げた


ぶぶぶ~!!!ステータスブレイカー


くっさい オナラがトロールの顔を直撃した。

これはたまらない・・

目も開けられないほどの 強烈な匂いだ。


※スキル:暗闇混乱・臭いフェチを付与しました。


たまらず トロールがヨロヨロと歩きだすと放り投げたこん棒が頭に当たり気絶してしまった。


「トロール! お前何をやっているでやんす!!」


俺は男を睨む


「覚悟しろ!」

「ニンニクパンチ たたたた!!!」


ニンニクのボディーから繰り出されるパンチにキックは 人間の力を超えているようで

元々ひ弱な男どもを殴るには十分だった。


「これで良しっと」


男の上着をはぎ取って アケミに着せた。

そしてリーファを抱きかかえてみると さっきまでしていたはずの息をしていない。

このままでは 死んでしまうかもしれない。

俺は人工呼吸を試みることにした。


う~~~~ ぶっちゅと


※スキル:吊り橋効果・魔力暴走・感情暴走を付与しました。


ドガ!


とつぜん腹部に痛みを感じた。

リーファは 気づいて俺の腹部に蹴りを入れてきたのだ。

溜めて言いた息は 飲み込まれ代わりにお尻から吹き出した。


「ぶぶぶ~」


「うっ 臭い・・ なに する! 化け物 殺す!」

「よかった 気が付いたのか?」



殺す! 殺す! 殺す!

真っ赤な顔で リーファが襲い掛かってきた。


「くらえ! ファイアボール!!」


ドッカン!


リーファが手から火球を出すとそれはいつもの炎りよも大きかった。

オナラに引火したのか?

炎は大きな火球になり リーファを焦がした。


「キャ!!」


リーファの服から肌があらわになりミニスカートにも穴が開いていた。

再び気絶をしたようで 抱き起してみたけど今度は・・大丈夫 

息をしているようだった。

さっきまでは興奮覚めあらなかったけど 徐々に落ち着きを取り戻すと球根マンだった姿から自然に人間の姿に戻った。

これで リーファが再び目を覚ましても襲われることはないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る