第33話 記者会見?
※ ※ ※ ※ ※
先日から全力で換金手段を考えていたのだが、 ああでも無い、こうでも無いと、色々と考えたが埒が明かなかった。ウン、だったのである。閃いたのだよー!
ハウツーウェブ小説も読んで(世の中の事の半分は「チャンとなろう」で学んだかもしれないなぁー)いたし、なるほどねと思うし、俺っち自身も潜在的に思っていたのだろう。そう。俺っちの結論は、第7の選択(大罪では無い)である。
この際、某ネット小説のユーチュー〇ーにならい、動画を投稿し、再生回数から生計を立て、アフィリエイトで副収入を得るのである。マァ、一時に比べて厳しくなっているらしいがね。姑息だとか二番煎じだと言われようが、下手な換金手段を探すより、合法的に稼げれば良いのである。
なにも、異世界との交流等と言う社会的貢献を目指している訳では無い。主に俺っちの財布事情の為である。最初の交易品購入の日本円は、俺っちの少ない資産を使用するとしても良い。だが、少し先には枯渇して破綻するのが見えているのだ。
いずれにしろ、異世界に物を持ち込む為には日本円が必要である。問題になっているは、購入する為の日本円が足らないので有る。で、身も蓋も無い話をすれば、稼げばよいのである。
おそらく、一番お金になるのは……。イヤ、ニーズが高いのは異世界人関連だよなー。この場合はカルロヴィの町になるのだろう。幸運な事に、転送魔法陣でかなり近くまでは行けるしな。
もちろん、深淵の森には、角ウサギ、ゴブリン、オーク、オーガ等と映像素材は豊富にあるのはずだが、怖くて撮影できる自信がない。
マァ、オーガ程度には効くという魔よけの指輪は有るが、どのぐらい効くか確信が有るとは言えない。違っていたら、痛いでは済まないだろうしな。君子、危うきに近寄らずである。
動画の視聴回数であるが、何がバズる分からんし。なに、動画用カメラを買わずとも、スマホでビデオ撮りや写真撮影すれば良いだけだ。
題材だって、ありふれたもので良いだろう。なんなら、異世界人の生活レポートや物品紹介をすれば、信憑性も増すだろう。事実をアップするだけだし、賢い視聴者の皆さんなら判断できるだろう。ひょっとしたら、真贋の有無は関係ないかも知れん。皆、話題を求めているだろうしな。
待てよ、信憑性かー。異世界だからな。社会人としての信用力ねー。やはり、異世界の公表は田中町長に頼るべきだろう。既にこのキャンプ場で起きている事は報告済みで、アネットやエベリナには顔合わせも済ませている。
キャンプ場の事を表に出せば、あおい町としてやれる事も、田中町長の夢も広がると思うんだよ。現に温泉だって出来たしね。話は早いだろう。
田中町長は「チャンとなろう」派ではあるが、民主主義選挙で選ばれた公人であるからな。一個人の俺っちが発表するよりも社会的な信用がある。
そう考えていた時に、田中町長から電話が有ったのだ。まさに天の配剤である。ウン、全知全能の存在が伺われるのだー。
※ ※ ※ ※ ※
「もしもし、森君?」
「ハイ、町長。何でしょう」
「この間はありがとうね」
「温泉の事ですか?」
「アァ、助かったよ」
電話で一通りの業務報告をしたあと、温泉施設の進み具合を聞かれた。もちろん、エベリナのご機嫌を取りながらも男風呂だけではあるが完工したと伝えたのである。
浴槽には、半身浴が出来るように段々を付けたり、手摺を付け加えたりもした。俺っちとアネットにエベリナ。わずか3人で、随分と凄い施設を作ってしまったと思う。この調子で作業して行けば立派な温泉施設が出来るだろう。
その後、田中町長とは親睦を兼ねて世間話を少々したのだが、異世界の公表はどうなっているんだろうと思った。
「ところで、このキャンプ場の事って、世紀の大発見ですよね」
「そうだよ」
「発表しないんですか?」
「アァ、その事かい。選挙も無事に終わったから、したいんだけど」
「ア、遅くなりました。当選おめでとうございます。で、良いんですよね」
「もちろんだよ。マァ、対立候補なしの無投票だったからね。でも、ありがとね」
「じゃ、いよいよですね」
「ウーン、どうしたもんかな。やっぱり、有線放送かなぁー」
「イヤイヤ、それじゃインパクトが足らない気がします。記者会見とか大きく公表しないとダメじゃないんですか」
「そうだなぁ、森君の言う通りかも知れないなぁ。でもねぇ。僕はともかく、世間一般の人が信じてくれるだろうかな」
「確かに、異世界ですからね。ここはひとつ、町長のお力で」
「頑張るけど、金もいるからねー。実はね、異世界が有ると言うのは、それ程大きな話題では無いのだよ」
「へー! だって、異世界ですよ。妖精やドラゴンがいるんですよ」
「ウーン、言い方が悪かったかな。異世界はある。もちろん、ニューフロンティアだし資源だってあるだろう。妖精やドラゴンもいたしね。だけど、マスコミがその気にならないと、事実であっても事実にはならないんだよ」
「エー! どう言う事です?」
「だって、ニュースは作られるんだからね。で、ニュースにはお金の話が付いてまわるんだ」
「そうなんですか」
「そうなんだよ」
「何とかなりませんかね」
「ウーン、この際だ。僕の政治ルートを使うかなー」
「政治ルートですか」
「ウン、県庁で記者会見してみるかね」
「県庁ですか。いいですね! これでOKですよ」
※ ※ ※ ※ ※
「田中町長。その、お話なんですが本当なんですか?」
「もちろんです、知事。間違いありません」
「同じ派閥の田中さんが、それほど言うんだから間違いないと思う。思うんだが……」
「私は政治家です。ウソ、偽りは申しません」
「イヤイヤ、政治家って。分かりました。でも、次の知事選も地区の取りまとめをお願いしますよ」
「分かっています」
「なら、一丁やりますか」
こうして衝撃的な事実が県庁で公表される事になったのだ。翌日、町の公用車で田中町長は県庁に向かった。
※ ※ ※ ※ ※
「では、最後に記者会見という事で、あおい町の田中町長をご紹介させていただきます。記者クラブの皆さんよろしく」
「オイオイ、知事も腰が低くなったな」
「アァ、選挙が近いからな」
「幹事をさせていただいてます〇〇新聞の北沢です。早速ですが、先ほど配られた資料内容の確認なんですが、質問よろしでしょうか?」
「どうぞ」
「最初に聞きますが、これって本当ですか?」
「ハイ」
「ハイじゃ分からん。責任者を呼べ。……ア、失礼、いつもの口癖でした。では、こんなのを信じろと、知事は言われるのですか」
「ハイ」
「だから、ハイじゃ分からんと言っているだろう。オゥ、……度々失礼。知事、田中町長の発表ですが、どう証明されるんですか?」
「田中町長、どうぞ」
「ありがとうございます。知事。ハイ、論より証拠。百聞は一見に如かずと申します。ですから、明日は、県庁前からあおい町までのマイクロバスで視察便を出す事にしております。もちろん、このご時世ですから参加希望の方には、昼食の弁当も有料ですが格安にてご用意しております」
と言う具合に定例の記者会見は順調に進んで、それ以上の質疑応答も無く15分ほどで終了した。オマケのような感じではあったが、あおい町での異世界発見と視察便の案内は無事報道各社に伝達されたのだった。
ああー、幸か不幸か、はたまた偶然のなせる業か、県庁の記者会見場には「ちゃんとなろう」系の読者が、いなかったのが悔やまれたのあった。
なんと言う事だろう、翌朝のマイクロバスの発車時間になってもテレビも新聞も連絡が来ない。普通はもう少し積極的な取材があるはずだが、無かったのだ。イヤ、皆無では無いのだが、微妙な反応だったのだ。
この時、せめて俳優の離婚報道位の熱意で取材されていれば、日本政府の精神状態と対応はいささかかなりとも違ったかもしれない……。
※ ※ ※ ※ ※
翌日、明かりが灯る頃。ここは日本の某所。某出版社。取材に行けと言われた女性記者と敏腕編集長との会話である。
「オー。帰って来たか。マイクロバスでの視察団はどうだったかな」
「編集長! 大変でしたよ」
「ウン、ウン、ご苦労だったね」
「エェ、私も業務命令ですからね。あおい町へ行ってましたけど、地方の小さな町の記者会見場だからと、入社2年半の私が新人扱いされて行って来いと言われたんですよー」
「ウン、ウン」
「早く後輩を入れて下さいよ」
「追々な」
「チッ。でも、これスクープですよ」
「チッ、と聞こえたが気のせいだよな」
「そうですよー。では順番に話しますね」
「アァ、頼むよ」
「県庁発の送迎用マイクロバスには、他社の記者もいませんでした。席は十分に余裕がありました。バスがキャンプ場に着いたのは11時過ぎでした」
「そうかー」
「バスの中では、記者の数が少なすぎるのが気になりました。何しろ私1人だったんですからね。先に現地入りしているのかなと。でも、チョットだけ女の先輩によるイ〇メかと思いましたよ」
「フーン」
「エェ、今回のような公的な記者会見は初めてなんですよ。やる気満々です。何と言っても会場の雰囲気が違います。何が違うって、私を舐め回す様な視線がありませんでした。さすがは人の少ない地方の小さな町の会見だと思いました」
「……」
「マァ、この身の不運と思って諦めていました。私は、生まれついての俊英で美人であり教養もあるんです。加えて肉感的な外見の為、会見の取材は芸能系やスポーツ系と、色々行かされましたしね」
「……だれだ? こんな奴に取材に行かせたのは」
「編集長です」
「そうだっなー。マァ、それで?」
「で、さっきも言ったように、これはどえらい事です」
「ウン、ウン、ご苦労さんだったね。現場が遠かったんだろ」
「イイエ、違います。これは事件なんです!」
「またまた。次は軽めのにするから。かんべんなー」
「何を言っているんですか。編集長、これをすぐに見て下さい。さっきみたいに電話だと切られてしまいますから」
「ごめん。ごめん。急ぎが入ったんでな」
「もういいです。今度は離しませんよ。これスマホ録画になりますが、現場の映像が有ります。見て下さい!」
「分かったから離してくれよ。見るからー」
「絶対ですよ。いきますよ」
「オ、このスマホ良いカメラ積んでるな。高かっただろう」
「ボーナスが出なかったんでヒーコラです」
「すまんな。我社も売り上げがなー」
「もう! そこじゃない」
「話を進めますね」
「アァ」
「キャンプ場では事務所前に金屏風と紅白の幕が設置されていました。選挙事務所のを再利用したそうです」
「ホー。チャンとリサイクルしているんだな」
「ですよね。違う! 会場なんですが、てっきりカメラの砲列があると思いましたがカメラマンがいないんです。バスの中で取材する記者自身がスマホのカメラを使用してくださいとの言われたんで、おかしいと思ったんです」
「そうか」
「マァ、最近のスマホは優秀ですから、経費削減でカメラマンがいないのかなとも思いました」
「なるほどね。でも、取材は出来たんだろ」
「ハイ、ほぼ独占取材となっています」
「君だけなら、そうなるわな」
「エェ、まあそうですね。これがプレス用の発表文です。知事の部屋と言う県のホームページに各町役場の便りとして掲載してあるそうです。記者会見の内容は2・3日でネット配信されるそうです」
「じゃ、ネット配信を待った方が良かったかな?」
「そんなー。1日かけて行って来たのに」
「アァ、そうだったな。見るだけ見てみるか」
参考文献ウェブサイト
知事の部屋 県ホームページ 各町役場の便り 出演 あおい町の町長
町長記者会見を、録画及びテキストでご覧いただけます。原則、毎週月曜日午前10時30分から開催されます。予定日は、会見中継の欄でご確認ください。
尚、ハッキングが有った場合やアクセスが集中してシステムがダウンした時は、ご覧いただけない場合や、視聴しにくい場合があります。ご了承ください。
※ ※ ※ ※ ※
「記者会見場で歌うというのは、アネットさんとしてはいかがでしたか」
「とても楽しかったー。歌で皆と仲良くなれるような気がするの」
「オイ、チョット待て。アネットと言うのはなんだ?」
「途中から録画したんで、オープニングからじゃ無いんですよ。カメラマンがいないんですから。アァ、本人は可愛い妖精だと言ってましたよ」
「ホントかよー。確かに、途中で消えたり現れたりしているが……人間、じゃないのか? オイ、画像処理じゃないだろうな」
「違います。生データーですよ。これ」
「頼りになる管理人さんもいるしー?」
「そうなんですね。でも、?なんですね」
「ウン、みんなー優しいよー。特にリョウターは、アクションの演技指導も付けてくれるの。時々、ステイって言うの」
「ア、アネット。違うから。イヤー、あれは訓練と言うか、犬の躾じゃないですよー」
「ホー、そうなんですか」
「エベリナさんはレッドドラゴンのお姫様だそうですが?」
「その通りじゃ」
「いつ頃から、人になれたのですか?」
「人化じゃな」
「すると人に化けているという事でよろしいですか?」
「化けていると言うのは何じゃが、概ねそうであるな」
「女の私が言うのもなんですが、凄い胸部装甲ですね。見ほれました」
「お褒めに預かり、恐悦至極であるな。マァ、お主のもそれなりにあるではないか」
「グググッ……確かに、男女とも振り返るようなボディですね」
「そうかの」
「それに振り回ましているシッポは意表を突く、良いアクセントになっていると思います」
「そうか。中々、愛い事を申すではないか」
「リョウターさんは、キャンプ場の管理人さんで第一発見者という事ですが」
「そうです。第一発見者の森良太と言います。僕の場合は管理人と言われますけど、臨時のアルバイトですし。もちろん、仕事があるだけでも、ありがたいなと思っています」
「中々、腰の低い方ですね。ところで、アネットさんとエベリナさんには今回初めて出会った訳ですが、いかがでしたか?」
「エェ、最初はすごくビックリしました。異世界の人ですしね。ですが二人とも明るい性格なので助かってます。とにかくキャンプ場の雰囲気が明るいんですよ」
「そうなんですね。妖精に、ドラゴンなんですから、色々あったと思いますが?」
「そうですね。アネットのお師匠のエルフの方や、エベリナさんのお父様で、赤きドラゴン族の絶対的な破壊者と言われる方がお見えになった時は、もうダメだと思いましたが。ハハハ」
「そうなんですか」
「なにしろ急な出現をされたので緊張感でいっぱいでした。人生終わったーと覚悟しました。でも、最初の印象と違っていい方達でした」
「そうなんですねー」
「もちろん緊張感はあるんですけど、エルフの方は弟子思いだし、ドラゴン族の方は子煩悩な方した。本当に楽しそうにしておられたので、それに感銘を受けたというか」
「ところで、アネットさんには、何か妖精さんぽい事はやってもらいましたか」
「そうですねぇ。得意技と言う訳では無いようですが、赤ずきんを使えますね」
「赤ずきんですか?」
「エェ、機嫌が悪い時や都合が悪くなったりする時は突然消えますね。ほらね」
「確かに、かき消すように見えなくなりましたね。今のは機嫌が悪い……」
「イエイエ、ただの演出です。気にしないで下さい」
「田中町長は、今回の事はどうお考えですか?」
「もう、話題としては完璧です。我が町の名誉町民になって頂きたいぐらいです。グラビアモデルとしていけると思います」
「私から見ても、エベリナさんのボディはちょっとムカつくくらいに良いですからねぇ」
「記者さんから見ると、何点くらいなのですか?」
「99点ですね。1点引いたのは、シッポのお化粧が若干強すぎる様なので」
「リョウターさん。冒険者の方は、今回はお出でになられ無いそうですけど」
「そうですね。今はカルロヴィの町にいると思いますけど。町まで遠いもんで、確か遺跡都市の転送門からは歩きで9日ほどかかると聞いてます。ですから連絡が付かなかったんです」
「アァ……、そうなんですか。本当に残念ですね」
「今回のご訪問では、お食事はどの様にされているんですか?」
「リョウターが、作っておる。まっこと美味である」
「エ! いいなー。私、料理の出来る人募集中です」
「そんなに褒められると恥ずかしいです。僕は料理も好きだし、手先が少し器用なんですよ。でもやっぱり、レンチンに慣れているからじゃないかなー」
「朝も、インスタント味噌汁を作ってくれたし、頼めばおにぎりを作ってくれるの」
「具は、鮭の瓶詰めが一番じゃの」
「日本食がお好きなんですか?」
「ウン」
「左様じゃ」
「みなさんの分を作られるんですか? イイナー」
「いやいや、そんな僕なんかが」
「お願いしたいと思ったんですけどねー。そう言えば、もうお昼なんですけど」
「エー、コホン。記者さん、昼食の弁当も格安にてご用意しております。そろそろ、会見はお開きにして食堂に移動しましょうか?」
「ハイ、ここでテロップが入ります。エェ、手回し良くボードが置いてありましたので、それを使いました」
「そうなのかね。テロップがね。君、記者やめて映像の方に行ったらどうだ」
「またまた。編集長は冗談が上手いんだから」
※ ※ ※ ※ ※
「町長さん、このカラ揚げ弁当。美味しいですね」
「道の駅の特製ですからね」
「そうなんですか」
「町主催の記者会見だから張り切って発注したけど。美味しいと喜んでもらって嬉しいですよ」
「特産品で売りだしたらどうですか? 良いと思いますがー」
「イヤー、さすが記者さんですな。実は、隠れた名物なんですよ」
「そうでしょう。そうでしょう」
「680円です」
「そうなんですか。モグモグ」
「680円です」
「分かりましたから、後で会計しますからー。領収書もお願いしますー」
※ ※ ※ ※ ※
ここで、俺っちの事を少し。
もちろん、取材を受けたら気を付けて話すつもりだった。調子に乗って、色々と開示したらヤバい事になるかも知れん。現状、俺っちは誰よりも深くかかわっているんだ。
町長はともかく、他の人には魔法が使える事を知らせないようにするべきかな? だなー、やはり今まで通り、慎重に行動すべきだな。
動画再生路線で行く事にしたが、商売も捨てがたいなぁ。待て待て、悪い癖だ。俺っちは素人だし、日本の物を持ち込んで大儲けなど、捕らぬ狸の皮算用になるかも知れん。異世界にだってやり手の商人が居るだろう。
俺っちの交渉レベルでは異世界人にいいようにされてしまう恐れが十分にある。異世界だけじゃない。こっち側だって、同様の危険性は有るだろうしな。
仮にだよ、大成功をして巨万の富を築いたとしても、日本の事をさっぱりと忘れて異世界に移住出来る訳が無い。
冒険者達によれば貴族がいる階級社会らしいし、俺っちは一般人である。知識や物品の為に、向こうの権力者に目を付けられるかも知れん。下手すれば命を狙われるだろう。
低いと思われる医療水準で病気やケガの回復が出来なかったり、魔法や魔獣が居たりする危険性が高い世界である。
お話のように、道具や料理等でマウントをとる事など出来はしないだろう。お話のような生まれ変わっての転生なら、ワンチャンスあって良いかも知れんが、異世界転移なんてのが本当にあったら迷惑この上ないわー。
だから、チートでないとやってけないんだろうが、社会経験も少ない22才のニート気味の一般人が生き抜く事は容易ではないだろうからな。フム、だとすれば今の俺っちはどういう状態なんだろう?
転移でも転生でも無いが、異世界と直に繋がっているじゃないか。これって! ひょっとしたら、危ない? ひょっとしなくても、大変な事になっているのかー!
公表されると、場合によっては俺っち達は拘束されて自由には動けなくなるだろう。でも、俺っちは知っている。社会に出れば色々と不自由な事も有るんだ。金儲けには、イヤ、社会的責任と言うやつだろう。
公表した後に、異世界と外交や政治問題が起きたとしても、一般個人よりはるかに有能なお役人が代わりに考えてくれるだろう。たぶん……。
マァ、大事になる前にFBIの例の2人が来て、アメリカ政府証人保護プログラムを適用してくれるかもである。あれって国籍が日本でもいいのかしらん? 無理かも知れないなー。
フム、某映画に出てくる地球を守っているという、例の黒服の人達が来てしまうよりは良いかも知れないが……。
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