第10話 レトルトカレーもあるでよ。

 ※ ※ ※ ※ ※


『コンコン』  『コンコン』


 ロッジの戸をノックするのは俺っちである。不審者ではない。目覚まし時計と言うスマホのアプリで文明的な生活をしているのだ。いつもよりかなり早い時間だが、彼女達に日の出前に起こしてくれと頼まれていたので、律儀な俺っちは夜明け前にアラームをセットしたのだ。


 冒険者達が町の外で野営する時は交代で不寝番を立てるそうだが、安全なこのキャンプ場では必要ないとしたらしい。青き深淵の森では散々魔獣に追いかけまわされたのでホッとした事も有るだろう。で、俺っちが夜明け前にドアをコンコンしている訳である。


 早すぎないかと思ったが、日差しを有効利用する為には寝坊したくないらしいのだ。彼女達の生活時間の感覚は朝には日の出とともに起きて、夜に陽が沈んだら休むというリズムらしい。


 かつては日本もそうだったと思うが、冒険者達の世界では人々の生活は陽と共に始まり終わる。社会的に照明用の油や器具の値段が高いのだろうと思う。今の日本は24時間中、動いているからな。その感覚は薄くなっているがね。


 もっとも、異世界の1日が地球と同じように24時間とは考えづらい。むしろ23とか、25時間寄りも有りかなと思う。事務所の掛け時計を見た彼女達が12時間刻みを見て驚いていたが、1日を何等分するかは地球と同じでなくとも良いはずだ。


 30時間は大袈裟かもしれないが、少しは前後しているのが当たり前と言おうかごく普通であるような気がする。むしろ、朝昼晩という風に1日を大雑把にして、時間単位でそんなに細かく区切る生活をしていては窮屈と思うかも知れない。


  季節的には日本も青き深淵の森も秋なのだろうか? そもそも同じ季節とは限ら無いし、時間も同じなのだろうか? マァ、今日で彼女達とはお別れだ。深く考えても無駄かも知れない。と、その時は思っていた。


「朝早いと聞いていたから起こしに来たけど。5時で良かったかな?」

「ありがと、リョウター様。ミレナ以外は起きているわ」

「じゃ、朝ごはんにするから事務所に来てくれ」

「「「「「はーい!」」」」」


「じゃ、頂きまーす」

「旨い」

「これ、いいねー」

「普通のトーストセットだよ。飲み物と、パンにベーコン付き目玉焼き」

「フーン。このピリッとするのがコショウなんだね」

「そうそう」

「そんなに振りかけると……」


「クシュン」

「ハクション。ウーン、効くわー」

「言わんこっちゃない」

「目玉焼きには、マヨネーズよりウスターソースだろ」

「ほっといて」


 何だかんだあったが、ミレナも起きだしてきて朝食終了。この時期、外はまだ暗い。出発まではあと少し、夜明けとともに出発だそうだ。


「この包みは?」

「アァ、これか。お八つのジャムサンドイッチだよ。パンに甘い2種類のジャムを挿んで作ったんだ。早めに食べてくれ」

「この前、食べたサンドイッチの一種だな。イチゴは分かるがピーナッツ?」

「ピーナッツは豆の種類だよ。それを磨り潰して甘く味付けをしてあるんだ」

「へー、そうなんだ」

「俺っちは、おいしいと思うよ」

「「「ワー、ありがとねー」」」


 ロッジを出て、西の出入りに着く頃には外はほんのりと明るくなっていた。怒り疲れたのか、くたびれた顔をしたエルフのミレナと、何故か元気なアネットが冒険者達をリザードマン達の遺跡と化した白き塔へと出かけて行った。そこからカルロヴィの町の北にある転送陣へ移動するそうだ。


 ※ ※ ※ ※ ※


「もうお昼だ。今頃、リョウター様は何を食べてるかなー」

「アァ、目に浮かぶようだ。おそらくマヨネーズたっぷりのポテトサラダだな」

「あれも美味しかったね」

「お腹、すいたー」

「少し前に、お八つのサンドイッチ食べたでしょ」

「イチゴとピーナッツって言ったかな」

「贅沢な甘いジャムですね。砂糖がたっぷり入っていたのでしょう」

「帰っても、忘れる事は出来ませんね。あの味の饗宴」

「イレナ、味の饗宴って、すごい言い方だな。その通りだったけど」

「戻れるものなら、またあの頃に戻りたいですねー」


 冒険者達5人は、まだ遺跡都市の転送陣を使ってカルロヴィの町へ帰る途中だ。頂いたお八つは彼女達の腹に収まり、既に影も形も無い。


 無事に転移門から移動して、拠点のカルロヴィの町まで後10日、およそ90キロとなった。また、恐ろしい魔獣の徘徊する青き深淵の森だが、エルフの実力者が護衛してくれればさしたる危険はない。


 ミレナと別れる分岐点からは、自力で帰還しなければならない。だが、そこからは3日あればカルロヴィの町に着くだろう。


 ミレナと別れる分岐点からは、自力で帰還しなければならない。だが、そこからは3日あればカルロヴィの町に着くだろう。無事、5人揃って帰還である。喜ぶべきであろう。ただ残念な事に、ギルドの素材依頼は果たせなかった。


 依頼失敗となればペナルティを覚悟しなければならない。事前情報と異なりオークの群れの情報が無かったのはギルド側のミスである。と言う事でギルドも強くは出てこないだろう。


 それに、このオミヤを売れば罰金を払っても余りある大金を手に入れれるだろう。5人の顔は自然と綻んでいた。


 ※ ※ ※ ※ ※


 冒険者達を見送り、定時のルート見回りも済ませた俺っちはカレーライスの用意をしていた。ウン、カレーは日本人の好きな料理ベスト10に入るよな。しかも、確実に上位になると思う。


「リョーター、良い薫りだね」

「確かに、得も言われぬ。食欲を刺激する香りじゃ」

「ワハハハ、そうだろう、そうだろ。リョーター様の手作りカレーだぞ」

「「ヘー! そうなんだ」」


 カレーはインドの食べ物と言われるが、日本人にとってはもはや国民食である。日本のカレーは世界的なブランドになっており、嘗てのスシ・天プラ・ゲイシャ・フジヤマに匹敵する物だろう。


 おそらく今後はサムライ・忍者・オタク・アニメ。イヤ、行く行くはスキ焼き・カツ丼・妖怪を越えてゆく逸品である。(少しなら異論は認める)


 一般人が製作するカレーでさえも、メーカーの企業努力でかなりの物が出来る。ましてや、カレーの専門店や凝り性の者が作るカレーは完全体ともいわれ、薬事法にぎりぎり触れるか触れないぐらいの恐ろしいほどの薬効があるのでは無いかと言われているようだ。


 一口にカレーと言っても各スパイスの調合された物や、メーカー作成のカレールー、はたまたレトルトカレー等、実に多岐に渡る。


 食する者も老若男女は言うに及ばず、ちゅばちゅばとパックから摂取する事が出来るので宇宙飛行士や小児でも食している。又、災害時の保存食としても優秀であり、その香りは被災者達に元気を齎すであろう。


 もっとも、俺っちの作るカレーは道の駅で購入した某有名メイカーのカレールーである。今までレトルトカレーばかりであったのは、一人では量も作る必要がなかつた為である。


 今回は人数も増えているからね。それにパッケージの裏面に書かれている製作手順通りに作るのだが、これだけでもそこそこ旨いのだ。


 もちろん、スパイスやアレンジを加えれば料理通でも満足できる味になるだろう。だが、今回はなにも手を加えずに指示通りに作り上げる。マァ、スパイスを加えたり手間も掛けたりなくとも美味しいし、大鍋で作れば一晩おいたカレーも堪能できるしな。


「凄い凄いよ。カレーがこんなにあるなんて」

「アネット、よーく聞くが良い。俺っちは二日目のカレーが特に美味であると思うのだよ。故に一日目での、お代わりは禁止なー」

「ガーン。なんて事を、それは悪魔の仕打ち」


 冗談だ。お前がお代わりを繰り返しても、大盛りマシマシの俺っちの一皿の4半分にもならんわ。


「だが、今宵は、特別にお代わりを許してしてやろう。お前達、感謝しろよ」

「ワーイ! さすがリョーター様」

「香りと良い、量と良い、 まっこと、黄金の腕を持つ料理人じゃな」

「そうそう」

「鍋一杯のカレーとは、かくも見事な景色になるのじゃのー!」

「オオ! 2人とも、もっと褒めるのだ」


 冒険者達が、ここを出た日の、お昼ご飯である。面倒だったので、レトルトカレーにしたのだ。レトルトのカレーに、冷凍のご飯。レンジでチン。美味しく頂きました。カレーも、ご飯も3個パック。アネットも居るが3個で正解であろう。ここまでは、ごく普通である。


 ところが、2人に今晩食べたいのはと聞くと、カレーが食べたいと言うではないか? フォフォフォー。おぬしら、中々やるな。そして迫りくる夕食の時まであとわずかである。で、今は某有名メーカーのルーを用いた本格派? のカレーを製作中なのである。


「剝いて、トントン、きざんでトントン♪。もひとつおまけにトントンと♪」

「フムフム」

「カレーはな、昼も夜も良いが朝も良い」

「一日中、イケるんだね」

「オゥ、朝に食べるカレーは結構いけると人気だしな。某、大リーガーだった有名野球選手も朝カレーが好きだそうだし」

「ホー。そうであったか」

「マ、自慢では無いが、吾輩が作るカレーは絶品だぞ」

「そうか、そうか。それは楽しみじゃのー」

「ワクワク。ルンルン」

「広く親しまれているカレーゆえ、その具材は多岐にわたるのだよ。先ずはお肉に、人参、玉ねぎと入るのだが……」

「それで?」

「でな、ジャガイモは入れぬ入れるで、今もって人々の論争に決着がついておらんのだよ」

「ホホーゥ」

「カレーの神々が、いるいないとの話が有るように、このジャガイモの話は永遠に続くかもしれん問題だなぁ」

「そうなのか。で、神とは?」

「マ、正直なところ俺っちは、○○○○のカレーを食べてからは、カレーの神々はおられると思っているがな」

「なんと! カレーは神々が食される物なのか」

「そうさなぁー。待て待て、このような時に、神学論争してもつまらんな。話を戻そうか」


 マゼマゼ、炒めて。鍋にトップン入れて、グツグツと♪


「フフッ、好き者の間ではな。昔からカレーは飲むのもと言われておる。そのくらいの勢いで食べるのがマナーなのだよ」

「「フムフム」」

「謂われも色々あるぞ。よく聞く話ではな、カレーというのは曜日を知る大切な食事であってなー、兵士達の間では、金曜日のカレーが無いと、にっちもさっちもいかんとなるらしい」

「そのように大切な料理とは思いもしませんでした。アネットめは、うつけ者に御座いました」

「良い良い。分かればよいのだよ。そこで今日は特別に、先人達が極めたカレーの奥儀を教えてやろう。よし、頃合いな。火を止めてな。よく見ておけよ」


 カレールーを、ポッシャンとな♪ とろ火で、とろとろ煮込んで、ハイ出来上がり。


 カレーでこんなにテンション上がるとは、ちょっと、恥ずかしいのだが……。マァ、のりだからね。だがな、アネット、嬉しいからと言って走り回るんじゃない! 危ないだろ。

エベリナも、ドラゴンだからと言ってシッポを振り回すな! 怖いだろ。


「ウムーこの薫り。俺っちの予感では、カレーの神が降臨されるかも知れんな」

「そうなのー!」

「なんと! そのような事が。大変な事が起きるのではないのか?」

「ゥ、マァ、なんだ……。そんな事は……大丈夫だと思うよ」


「今宵はご機嫌だからな。お代わりするのもオーケーにしてやろう」

「そうなのか! リョーターはホンに気前の良い男じゃな」

「お師匠様! なんとお優しいお言葉でしょう。一生ついて行きます! これからも、ご指導をお願いいたします」

「オイオイ、アネット。お前の師匠は、ミレナだろ。簡単に節を曲げるなよー」


「仕上がった様だな。リョウター様特製カレーの誕生である。皆の者、テーブルの用意は良いか?」

「もちろんです。カレーの、み使い様」

「フフフ、上手い事を言いよる。ガラスコップにカレースプーン。これは紙ナプキンでぐるりと巻いてあれば、老舗の喫茶店の作法になるようでなー」

「そんな作法が有るのか?」

「オォ、スプーンをコップにちょっと漬けてから戴くという、この優雅ともいえる所作は、一部地域とある年齢層でしっかりと守られておる。各々それぞれのカレー流派が並び立つ所以なのだよ」


「「「ごちそうさまでした」」」

「美味かったな」

「美味である。妾は満足じゃ」

「エーン。もっとお替り欲しいよー」

「ダメだ」

「「ガーン」」

「その代わりと言っては何だがカレーの話をしてやろう」

「「ウン、お願い」」

「良いとも。だが、俺っちに、カレーを語らせると少々長くなるぞ」

「是非ともご教授をお願いいたします」


「ウンウン、2人ともよいかな。今晩作った、ルーをポッチャンのカレーも良いが、カレーはルーばかりで作る物ではない。レトルトカレーも奥が深いのだぞ」

「ホー」

「何しろレトルトカレーは手間いらずだからな。コスパの良いのも多く有るんだ」

「そうなのー」

「謎を秘めたエキゾチックなあの香り~。たまらん。味・辛さ・値段・メーカー、この4っが一つでも欠けてはいかんのだよ」

「なるほど、左様な決め事があったのか」

「もちろん、どのレトルトカレーもな、食すにあたって厳しい基準を己に課すのだよ。滝に打たれるなど修行を積む者も居るのだよ」

「なるほど己を厳しく律するのじゃな。それでは、話に聞く荒行と同じではないか。そのような厳しき道であったのか」

「さすがはお師匠様」

「俺っちはせんけどな」

「そんなー」

「マァいいじゃないか。話を続けるぞ。先ず、レトルトカレーの一番の選考基準は味である。欧風カレー、またの名を王風カレーと言う者もいるも。王道のカレーだ。いきなりタイカレーなどのエスニック調カレーが出す訳にはいかんからな」

「フーン」

「諸君、あえて言おう! カレーはイメージであると! 一皿に盛られたカレーは味と香りの饗宴なのだ。確かにドライカレーも捨てがたいが、ここはご家庭で作られるもっとも馴染みのある物を選ぶべきであるのだ」

「フムフム。なるほど」

「次は辛さである。甘口・中辛・辛口・そして激辛(極辛とか大辛ともいう)。多くのレトルトカレーには、辛さが表示されているのだ。因みに5段階評価もあるぞ」

「ヘー」

「見栄を張らず、己の好きな味を選ぶべきである。だがなぁ、成人男子たる者が甘口を好きだとしても、中々、口に出せないのだよ。そんなのが知り合いに居るんだよ」

「辛いのが苦手でも?」

「辛い方が強い男と思われがちでな」

「漢としてのイメージを保つ為なのじゃろう。妾は好みの味の方が良いと思うのじゃがな」

「そうだよなー。俺っちもそう思うよ。漢なら激辛。というイメージに惑わされず、漢が甘口を食べても、全然良いのである。それにカモフラージュとはいえども、いつもいつも幼児を食卓に招く訳にはいかんからな」

「お師匠様は、お優しいですねー」

「誠、その通りじゃ」

「で、レトルトカレーの辛さは、メーカーでさえバラバラなんだ。同じメーカーのカレーでもブランド名でも違う。紙箱から出したらレトルトパックには小さな字で甘口と書いてあるだけなんだ。だから、成人男子が幼児用の甘口を買い求める事が出来るんだ」

「なんと! そのような裏技が……」

「なるほど、それで万人に愛されているのじゃな」


「まぁね。三番目は価格だ。レトルトカレーにはお値段も100円ぐらいからあるんだ。中堅どころは200から400円台と幅広い。是非、お財布と相談してお値打ち品を求めたい。高級パッケージに惑わされず、多少具が多めだったりしても、はたまた素材が地元直結で選びぬかれた御当地カレーなる物であってもな」

「フムフム」

「大手メーカーが出している商品には、比較的安くコスパの良い商品もあるのだ。これもまた正解なのだよ。スーパーなどのPB商品も狙い目である。パッケージが簡素でも、味が良いものも多いし、価格は抑えられているからな」

「イヤー、誠に勉強になるのー」

「高級品は、見栄を張るソロキャンや、お家でデートの時だけで良い。その場合は、カレー専門店や肉店の商品も押さえる事になるが」


「4番目はメーカーだ。レトルトカレーを発売しているメーカーは、元祖ボ●カレーの●塚食品だが、ルーを発売している大手食品会社、専門店、輸入商社などが多くあって侮りがたい存在なんだ」

「ホホウ」

「大手メーカーのレトルトカレーは、安心感も有り、万人受けする味だがな。商社系の商品は本格的と言われておる。マァこれは、食べる人の好みに左右されるだろう」

「ウム、ウム」

「良いか、2人ともこれだけは忘れるでないぞ。全てのカレーに貴賤は無い! カレーに良いも悪いも無く、ただカレーは食べられる為に、そこにあるのだ!」

「深いねー」

「アァ、言いたい事はわかる。だが中々、そこまでの奥儀には行くまい。道は遠く、極めようとしても果てしなく続くものだ。故に、お前にレトルトカレーの3条と言われる奥儀を教えて進ぜよう。心して聞くのだぞ」

「「ありがたやー、ありがたやー」」


1つ レトルトカレーは、チンする前に袋のまま50回振ると美味しくなるそうです。

2つ カレー用のご飯を炊く時、もち米を少し入れたり、古米にもち米を入れたりしても美味しくなるそうです。

3つ ほんの少し、和風ドレッシングを、カレーに混ぜるとコクと香り(油と醤油だと思いますが)がアップするそうです。以上、3つのそうですじゃ。ゆめゆめ忘れるでないぞ」

「ハハー、しかと承りました」

「善きかな、善きかな」

「でも、リョウター様。お昼の時、一つもしなかったよねー」

「それは、急いでいたとか。そんな面倒な事はしたくないというか。そんな事しなくても、ほどほどに美味しいとかで……」


 ※ ※ ※ ※ ※


 お待ちかねの夕食である。すでにカレーは出来上がり、胃袋を含めて準備万端だ。絶対に変えられない状態とも言う。


 俺っちも経験したのだが、帰宅途中の一般人にとって帰り道にあふれる芳醇な香りは、ここの家は今晩カレーだな。俺っちも食べたいなー。コンビニで買って行こうかなと思わせる。もしくは、私、今晩のメニュー変更しようかしらと言わせるほどの物である。


「お前ら、本当にカレーなら何でもいいんだな」

「パク、パク。そうじゃな」

「リョウターちの食事は全部美味しいけどカレーが一番!」

「ちぃちゃい子が、あんまり刺激物を食べてもいかんのだぞ。ほどほどにな」

「リョウター、私もうすぐ300才に成るんだよー」


「そうか、忘れていた。でも5杯目のお代わりはダメだぞ」

「けちー」

(5杯食べても、俺っちの1杯ぐらいにしかならんがな)


 今では、キャンプといえばBBQだ。定番だ。だがキャンプ場で、カレーという時代も良かった気もする。せっかく、お米を炊くなら飯ごうを使ってお米を炊こう。電気釜で炊くよりも、ご飯がおいしい。


 湯煎をしたパックご飯もそれなりに重宝するが、太めの木の棒で火加減を見たりすると、ちょっとサバイバル気分を味わえる。


 多めに作ると、次の日もウマイ。カレーは一日寝かせると、更にコクが増しておいしくなる。ただ、夏場にやると傷んでしまうので、やるなら涼しい季節だけにしてな。と、人生の先輩が言っていたっけ。


 夏はカレーというのも良く分かる。別に某メーカーのコマーシャルのせいでは無いが、夏はカレーなのである。おそらくインド由来の物であるという連想ゲームにも似た感覚なのであろう。


 だが、インドの人に言わせると食事は全部がカレーなのである。スパイスを言い当てるのはもちろん調味料を言い当てるのも普通だと言う。


 北インドの王宮料理であるカレーにはナンが付き物、日本ではそうナンですと言われる例のお決まりである。南の方はサラッとしている感じでライスが主流だという。いずれも薬膳効果が有りそうである。因みに、インドの人がタイカレーを辛いというのは日本人と同じである。


 フーム。おいしいけど、夜中に食べると大変な事(何が大変かは個人によるだろうが)になるというカッ●ヌードルカレー味。しかも、このカレー味が突然食べたくなるのは何故だろう?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る