お金に冷める

その後、斎藤さんは県外へ、愛さんは海外へとお嫁に行ってしまいました。私も別の教会へと通うことになりました。

そこには年の近い女の子が4人居て、全員が宗教2世でした。私はこの4人のこともとても大好きでした。

店長との過ちを話しても、皆が「大丈夫大丈夫!うちもあったし!」と笑って跳ね除けてくれたのです。

うち2人はすでに祝福を受けていて相手が決まっている状態でした。その2人も母が厳しく、信仰の厚い方だったのでなるほどと納得したものです。

その時は私も看護学校を卒業し、働き始めていて、5人揃って献身生活をしたらどうか、と青年部の担当の人から提案がありました。

しかし、私が看護師をしているので他の誰よりも給料がいいから給料の1/10は献金するのと、皆が住む家の家賃を払って欲しいと言われたことに私は酷く驚きました。

私が店長に急激に冷めた原因もこれだったのです。

「めぐちゃんが働きだしたら俺の生活費とかぜーんぶめぐちゃんが払ってね。俺の金は俺のためだけに使うから。」

と、にこやかに言われたことですーっと冷めていったのです。私が実家に居るからお金を入れるよ、と母に言うと母にも

「良かったー!めぐみがお金を入れてくれるって言ってくれて!私の育て方は間違ってなかったんやねー!」

と、言われました。何なんだ、金さえ出せば正しい育て方なのか。皆して金、金、金。今回も同じような冷めた感覚が私の中を駆け巡りました。

私は正直、看護師には向いていないと思いました。先輩から患者さんの前で怒鳴られる、無視される、嫌みを言われる、それの繰り返しで私は精神的に参っていました。

なのに周囲にはお金がたくさん貰えるんだから何としてでも働きなさい、と言われているようで私の気は更に滅入っていました。

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