第47話 冒険!……ってなんだ父上と兄上かよ


 人の姿に戻るとすぐに母上のもとに向かって肩をゆする


「母上!母上!」


「ん……」


 身じろぎをして薄っすらと目を開ける


「母上!」


「ん……?シャルちゃん?」


 そう言って母上は体を起こす


「……ってその子誰?」


 母上はクレールを見ると意識をすぐに覚醒させて立ち上がり距離をおいた


 あぁ、意識を失ってたから記憶もないのかと思ってクレールを紹介しようとする


「クレール、スライム」


 母上は怪しそうにクレールを見ている


「ほんとにスライムなの?」


「はい、僕はスライムですよ?主様のお力によってプペスライムへと進化したばかりのスライムです」


 何か知らないけど誇らしそうにしている


 まあ気に入っているならいいけど


「プペスライム……聞いたことのない種族ね……本当ならスライムの姿になってみて貰えないかしら?」


 クレールがこちらを見てくる。戻ってもいいかってことかな?いいという気持ちを込めてうなずく


 するとムニョンと形が崩れて虹色の水まんじゅうに戻った


 かわいい食べたいと思っていると母上が驚いたような声を上げた


「本当にスライムだったなんて……」


 母上は信じられないようで本当に?と自問自答している


 それを見ているのも飽きてきたころ草がガサガサっと鳴った


 母上は反応すると鞭をどこからか取り出した


 ほんとに鞭使うんだ……


 いやだってあんなおしとやかな母上がSMのSの方である鞭を使うんですよ?


 実は母上隠れSだったりして……


 草むらのガサガサという音が大きくなっていくそしてひときわ大きいガサッという音とともに黒い影が飛び出してくる


 一体何のモンスターだ!と思ってひっそりと母上の後ろから覗くとそれは……


 父上と兄上だった


「あら、二人共そんなに慌ててどうしたの?」


「何ってハニーに内緒でかけてた魔法が消されたから急いで来たんだよ!」


「シャル!大丈夫?」


 兄上が走って近づいてきてぶつかると思ったら急減速して私のことをジロジロと観察してきた


 兄上も私を心配してくれたというのはわかる。わかるんだけど……


「うっざ……」


 そう言うと兄上はピシッと固まって動かなくなった


 ウザいものはいなくなったと思って母上と父上の方を見る


「ねぇあなた……私に魔法は勝手にかけないって約束してたわよね?」


「えっと……で、でも!」


「でもも何もありません!」


「は、はい~」


 父上撃退(笑)


「で、でも今回は何で魔法が消されちゃったの!?僕のレベルは高いはずなのに!」


「はて?なんでかしらね~」


「ハニー!……僕に心配させないでよ、ね?」


 突然父上のまとう雰囲気が雨に濡れたわんこになった


「わ、私は気づいたら倒れてたわ。さっきシャルちゃんに起こしてもらったの」


 母上崩落。父上の視線がこちらに向く


「シャル、ハニーが倒れてた理由わかるかな?」


 正直に言おうか言わまいか


 うーんあとからバレたり私の嘘がわかりやすかったらいけないからホントのこと言おっかな


 うん!そうしよう!


「母上は何かに取り憑かれてたので追い払っときました」


 うん。嘘じゃない。状態異常回復魔法を使ったことと聖属性魔法を使ったことを言っていないだけで嘘じゃない。うん


「……ハニーがなにかにつかれた?……僕の防御魔法を超えるくらい強いものが?そんな存在がいるのか?」


 父上は自分以上の存在がいることが信じれないようだ。もっと強いモンスターは普通に存在しそうだよね


 そういえば死にスキルのゲームメニューのワールドメモリーを使って見ようかな


 メニュー!


メニュー


→ステータス

 アイテムボックス

 地図

 ワールドメモリー

 クエスト

 ニャイン


 そういえばメニュー自体開いてなかったよね~。こんなに機能あったんだ。今日のうちのことなのに忘れちゃってる


 まぁいいや。ワールドメモリーっと


メニュー


 ステータス

 アイテムボックス

 地図

→ワールドメモリー

 クエスト

 ニャイン




 ワールドメモリー


 GuruGuru


 検索          決定


 音声検索 画像検索 思考検索



 まんまグルグルじゃん。まあ調べやすくていいけどさ……これじゃない感が


『うるさい!これでも頑張ってワールドメモリーって名前をつけたんだよ!』


 ……何か文句が聞こえた気がしたけど気のせいだろう。うん。気のせいだ


 それじゃあ「父上よりも強い敵は?」っと


 グルグル~グルグル~


 グルグルは検索のときに猫の喉を鳴らす音が聞こえるのが大きな特徴なんだよね~


 この音って意外とクセになるよね~


 グルグルを作った人の話だとパソコンで準備中のときに回るあれからグルグルは来てるらしいけどそこに何か音をつけたいときに目をつけたのが猫の喉の音らしい


 最初はよっぽどの猫好きなのかなと思ってたけど意外と落ち着くものなんだよね


 グルグルっていうよりはゴロゴロかもだけど


 ピコン……


 検索結果が出たみたい


Q「父上よりも強い敵は?」


A ドラゴン、魔人、魔王、精霊、妖精、神


 ドラゴンは父上より強いんだ。まあそうだよねうーん。でも魔王と魔人どっちが仕向けてきたんだろう?


 もしかして調べたら出てきたりして


 「誰が母上に取り憑いた?」


 グルグル……グルグル……


 ピコン……


 さて……一体誰が母上に取り憑いたのかな?

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