第46話 やっと……やっと!
まあそんなことよりもトーレも反省してくれたみたいだからこれで許そう
「それじゃあトーレ、ヒュアリーについて教えて」
『ええ、ヒュアリーはね、人間と妖精の特性を持ついいとこ取りの種族なの。そして、どちらの特性も持っているからどちらの存在も進化させることができるの』
んー?どういうことだろう?
『わかりやすくするなら人間は進化すればハイヒューマンになれるの。そして妖精は下級妖精、中級妖精、上級妖精、そして妖精王となるの。その上もあるけど今はいいでしょう』
ふむふむ
『デルには最初の人間であり、下級妖精になってもらうわ。下級妖精は下界に居続けることができるけど知能が低いの。だから上級妖精たちが人類や害のあるものからは見えなくなる魔法をかけてもらっているの』
だから妖精は見えないと言われているということか。
『だけど、あなたは下級妖精であり、人間でもあるから人から見えるし、頭も人間くらいにはあるわ。まあ魔法を覚えれば見えなくする魔法も使えるけどね』
つまり頭がいい状態で下級妖精になれるってことかな?
『次に中級妖精。下界にはあまりいられなくなるわ。そして知能が人間程度には上昇するわ。そしてようやく自分で見えなくする魔法を覚えさせてもらえるようになるわ』
ふーんじゃあ私は中級妖精になるまで見えたままなのかな?
「私は中級妖精になるまで妖精の姿が見えるの?」
『下級妖精の間は妖精の姿になったら上級妖精が魔法をかけるから見えなくなるわ』
私もその範囲に入れてくれるということか
『中級妖精のときには人間だから下界にずっと入れるわ上級妖精でもそれは一緒ね中級妖精になったら下級妖精に指示が出せるわ。聞いてくれるかはわからないけどね』
あぁ……知能が低いからか
『そして上級妖精。殆ど下界には行けないわ。そして強大な力と知能、そして中級妖精より下のものに指示が出せるわ。下級妖精に魔法をかけなきゃいけないけどあなたは別に人間だからしなくていいことにしてあげる』
なるほど、ほんとにいいとこ取りなんだね
『悪いところもあるけどね』
「何が悪いとこなの?」
『このヒュアリーはあなたしかいないから力が弱ければ捕まえられたり、いじめられたり力が強いと恐れられると思うわ』
それでもなるのかと脅すかのように覇気を出してくる
これが神の覇気。強いなぁ流石にこれにやり返すことはできないかも。
でも!
「私はなってやる!そしてトーレを勝る戦闘力を得て主様を守る!それができなくても助けることはできるはず!私は主様のそばにいたい!そのためなら……!」
何にでもなってやる!そんな意思を込めた目線をトーレに送る
『ふふっ……ふふふ……私に喧嘩を申し込むかのように言ってくるなんて!あなたは本当に面白いわね?デル。いいわあなたをヒュアリーにしてあげる』
私の込めた気持ちに応えるかのようにニヤリと笑って言う
『一つだけ教えてあげる。あなたの主様はあなたが強くなったときに思いもよらぬ姿で現れるわ。覚えておきなさい』
思いもよらない姿?私の家族の姿にでもなるの?でもとりあえずは
「分かった。ありがとトーレ」
『どういたしまして、デル。それじゃあ種族を変えるから今は休みなさい。おやすみなさい。良い夢を』
トーレが私の額にキスすると段々と眠たくなってくる
ふわぁ……おやすみなさい
………………
…………
……
あぁこれは夢だとわかる
よく見えない青年が立っている
だけどその姿を見えいるだけで私の主様だとわかる
主様が私を抱きしめて耳元で話す
"むちゃばかりしおって、そんなにむちゃばかりしておったら私はいつ安心できようか?"
すみませんと返したいが声も体も出ないし動かない
"言わんでもいい。お前は私に近づきたいのであろう?強くなってくれ。そして……"
………………
…………
……
目が覚める。なんの夢を見ていたかは覚えていない。でも、ただ……強くならなければならないことだけは分かった
ムニュ
ん?ムニュ?
下を見るとクレールが私の下にスライムの状態でベットになってくれていた
ありがとうという気持ちを込めて立ち上がってからぽんぽんっと軽く叩く
するとおまんじゅう型のスライムになって、ぴょんっと飛びついてくる
"シャルー!僕心配したんだよ?急に倒れちゃったから。少しの間だったから良かったけど寝ちゃ駄目なんだよ?"
ぷるぷると震えながら怒ってくるクレールが可愛くてゴメンね?とナデナデする
すると腕から離れて美少年の姿になる
「もう急に倒れないでね?」
本当に心配そうな顔をしているので
ごめんなさいと謝った
「少しの間ってどれくらい倒れてたの私?」
「5分くらいだったよ。だから主様のお父さんやお兄さんはこっちに来てないし、お母さんはまだ気絶してるよ?」
ふーん……って母上倒れたまんまなの?
急いであたりを見回すとあのダンジョンの中で少し離れたところで母上が倒れてた
急いで起こそうと思ったけど立ち止まる。うーん……母上を起こす前に妖精になる練習をしといたほうがいいんじゃないかな?
そう思うとそれが正解かのように思えてくるから恐ろしい。
「よし、クレール。ちょっと練習してみるから待ってて」
「え?うん?」
クレールはよくわかっていないようだったけど私は気にせずに妖精になる練習をしようとする。
あの駄王を元に考えてみるか。大量のエネルギー体だったよねもっとたくさんの魔素を取り込んで、魔素の割合を増やせばいいのかな?
それならやってみよう!
幸いここには大量の魔素と精霊がいるからね取り込もう
歌を歌うように腹式呼吸で魔素を取り込みその魔素に寄せられた精霊を分解して私の力に
すると段々と体から青白い光の粒が出てくるそして周りが見えなくなるくらい青白くなったらぽんっという音とともに体が変わる
目に見えて手が小さくなって体も短くなった服は冒険者の服そのままだけど
そうか魔力を放出して体を包めばいいんだ
よくわかりましたよ!
「あ、主様?妖精様?」
クレールがこちらを向いて驚いた顔をしているクレールの近くによるクレールの手のひらくらいの大きさか……ちっちゃいな
背中には半透明で虹色の羽が生えているでもこんな大きさじゃ支えれないからきっと魔法を使っているんだろう……無意識のうちに
「主様!」
はっと気づく。クレールは私の姿に困惑しているみたい
「私よ。神様に妖精にもなれる体にしてもらったの」
少しの間は戸惑っていたけれど徐々に慣れてきたのか真面目な顔になる
「主様、そろそろ主様のお母さんが起きちゃうから戻って」
そう言われ忘れてた!と思い解除しようと思って魔力を拡散させる
するとまたぽんっという音とともに人の大きさになっていた
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