第43話 天使さん
「そうそう、私ヒュアリーになるんだよね?それの詳しい説明してよ」
そう言うとトーレは後でねといった。なんでだろう?
そう思っているとトーレが魔力を出すとSF映画でありそうな半透明のキーボードと画面が現れた
『ちょっと待ってて頂戴。妖精王ではない新しい管理者を呼ぶから』
あ~確かにあれでも管理は(誰かに任せていたかもしれないけど)やっていただろうしその引き継ぎが必要ってことか
というより異世界の女神もコンピュータ使うんだね。まぁ私も百ぐらいの頭脳で考えたり情報処理しているから似たようなものかな?
そういえば管理者ってどんな生命体なんだろう?やっぱり神の手下といえば天使とか?天使って一対の羽がついた人間のような姿をした存在なんだよね?
まぁ、強いほど羽が増えていくっていうのもゲームでよく見るけど強い存在が来るのかな?それとも一対の羽の天使が来るのかな?
そう思ってワクワクしているとアニメとかで大げさに表現させられるようにパンっと最後の……多分エンターのようなものを押すとトーレはSFチックなコンピュータを消して近寄ってきた
『これで呼べたと思うから少し待って頂戴』
その言葉通り十数秒後足元に魔法陣のようなものが出てきて光を放つと次の瞬間には真っ白な人がいた
髪も肌も服も羽もすべてが白い。そしてとても……美しい
『ふーん。デルは美しいものが好きなのかしら?私だって美しいわよ?』
「うーん。確かにきれーだけどそれよりも私を執事にしてくれなかったからぶっ殺してやるっていう気持ちが強すぎて仇としてしか見れなかったから」
トーレはちょっと傷ついた顔をした。……しょぼんって感じ
『……酷くないかしら?それじゃあ今は?』
「うーん……友達に美しい!愛してます!とか思わないしな~。……うん。きれーなんじゃない?」
今度は何かを堪えるかのように拳をグーにしてる。もしかして殴ろうとしてる?どうしよう……倍返しにしてやろうかな?
『やったわ!デルに私を美しいと言わせたわ!』
どうしようかと思っていると拳を振り上げて感涙を流すかのような仕草をとった
「「…………はぁ」」
ん?二人分のため息がした?ああ!天使さん忘れてた
「こんにちは天使さん?」
「こんにちはヒュアリーさん……いや、まだ人間さんでしたっけ?」
「うん。まだ人間。天使さんなの?」
「はい。天使ですよ?ほら、」
そう言うと天使さんは羽を羽ばたかせて宙に浮かんだ
思わずおおーと声が出たので拍手しておいた
「お粗末様です」
そう言って胸に手を当てて軽く礼をしてきた
私よりずっと執事らしいことしてない?私まだ主様に出会えてないし、執事の職業にもついてないし、というか学校に行かないとだし、スライムの主様になってるし…………
「ヤダヤダヤダ!何で私は主様に出会えないの!早く主様に会いたいのに!どんな姿かすらわかんないなんて!うぅ……!」
何でうまく行かないんだろう?昔はこんなに感情に振り回されることなんて無かったのに……
嫌になってもう何かやる気が出なくなって三角座りしてなえているとギュッと後ろから抱きしめられる
「大丈夫ですか?私はあなたのことをよく知りませんが神の子ならば私の仕える相手です。よろしければお話していただけませんか?アドバイスはできないかもしれませんが話をするだけで楽になると言いますし、ね?」
背中越しに伝わる暖かさと柔らかい胸の感触にこの人も女性だったんだと思った
っていうか、この人悪くないよね?悪いのはトーレだよね?あれ?トーレをしばけばいいだけな気がしてきたんだけど?
「大丈夫です」
そう言って天使さんの腕を解くと立ち上がりトーレを見つめた
「ねえ、トーレ?何か言い残すことはある?」
指をポキポキと鳴らしながらトーレに笑顔で近づいていく
『なんのことなんのこと!?私何もしてないわよ!?何か悪いことしたなら謝るから!その物騒な指鳴らしをやめて頂戴!』
うんそうだねー何にもしてくれなかったし悪いことはしたよね?
「歯ー食いしばれや!」
『ヒィッ!』
むしゃくしゃした気持ちを晴らすためにぶん殴ってやると思って振り出した拳はある一人の手によって止められた
「主様が何かしてしまったようで申し訳ありませんが攻撃なさるのなら私に攻撃してください。主様の不始末は家来の不始末。どうかそれで気を収めていただけませんか?」
………………
「私は主様に会いたいだけなのに……主様はどんな姿かすらわからない。会えば分かるのかもしれないけど、わからないかもしれない。不安なの……主様が私を必要としてくれるのかなって思ったりしてるの」
はぁ……ままならないね
「そうですか……私も主様に出会う前は暴れていました。そんな私でも主様に拾っていただけました。ですから必要としてくださっていると思いますよ」
必要としているのがその時だけとか思わないのかな?
「一時でも主様に必要としてもらえればそれだけでいいのではないですか?」
ふふっ
「天使さん……私は欲深いから一時だけの幸せを何度も何度も欲しがってしまうと思う。それが得られないなら私は……」
私はどうなるんだろう?壊れるのかな?それとも……
「壊しちゃうんだろうな……ふふっ」
なんだか楽しくなってきた。そうだよ。壊されるぐらいなら自分で壊しちゃえばいいんだよ。ふふっ
「天使さん……私は主様を壊してでも手に入れるよ。いいよね?」
「それがあなたの本当の望みならそうすれば良いのです」
天使さんは仏様のようにすべてを許すような顔で微笑んでいた
『いやいやいや!駄目でしょ!』
いい気分だったのが即座に消え失せる
「は?」
『だって苦労してここに呼んだのにその意味なくすじゃないの!どうせ壊したら死ぬ気なんでしょ?』
「それの何がいけないの?」
『大切なものを壊してあなたまで死んだら私の友達はどうなるのよ!私の友達なら一緒にいなさいよ!バカぁ!』
そう言い切るとトーレはバビュンッと離れてかなり遠くでジメッとしてた
のの字まで書いてるし
「はぁ……めんどくさい友達を持つと大変だね天使さん」
「そうですね。めんどくさい主を持つと大変ですね人間さん」
そうだ!元はと言えば管理者についての話だった
「そういえば天使さんが妖精王の代わりに妖精を管理することになったのは知ってる?」
「はい。では管理者としてヒュアリーについて説明しましょうか」
「は~い」
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