第37話 母上洗脳


「あの~」


 私がクレールを犬みたいだなと思っていると声をかけるものがいた


「なぁに母上?」


「その子ピュアスライムだった子よね?」


「うん。そうだよ」


 私が返答する前にクレールが返す


「なんで話せるの?」


「主様に進化させてもらったからだよ」


 なんかクレールが見よこの体を!とばかりに威張っている


 何故だ?


「何故進化したの?」


 なんか母上が警戒している魔力の練り上げをし始めた


 この世界で魔力の練り上げをするのって珍しいのかあんまり見たことないんだよね


 戦闘にしか使わないのかな?


「シャル?どうかしたの?まさかこの子になにかしたの!?」


 そう言ってクレールを見る母上


 私はなにかされたのか?母上の思い違いじゃない?


「したというより、さ、されちゃったって言ったほうが正しいというか……」


 キャッ!とか言ってるし


 私、なにかしちゃいましたかね?


 うぅん……カオス


 母上はクレールに私がなにかされちゃったように思っているしクレールは私になにかされたって言い張ってるし


「「シャル!」」


「ん?」


「この子になにかされちゃったのよね?」


「この人頭おかしいんじゃないの?僕が主様になにかするわけないじゃん!」


「そんなのわからないじゃない!シャル!このスライムに魅了でもされてるんじゃないの?」


 魅了なんてスキルなかったけどな?


「まず私は操られてない。それから私はクレールになにかした?」


 そういうと二人はガバっと近づいてくる


「本当に操られてないの!?」


「わかんないの!?」


 二人で真剣な顔で見つめあう


 そして……!


「「最初はグーじゃんけんぽい!」」


 じゃんけんをした!


 えーじゃんけんかよって思う奴がいるかもしれないけどこれは彼ら彼女らにとっての真剣勝負なのだ!


 ……ってなんか実況みたいに言ってみたけどそこまで面白くもないよね?


「やったわー!」


「ッチ!」


 なんかクレールから聞こえてはいけない音が聞こえた気がするけど気の所為だよね


 どうせ小さな声でなにかボソボソっと言うんだろうから耳を強化してっと


「なんで僕が負けるわけ?主様のためにも勝たなきゃなのに……!主様の手下がよわいだなんて許されないでしょ」


 ちょっと下を向いていて表情が見えない


 仕方ない慰めてやるか……


 "クレール、あなたは頑張ろうとしたんでしょ?ならいいんじゃないの?私の部下だからって胸張りたいなら負けたってことでくよくよして下向いてないで次に繋げなさいよ"


 ハッとしたようなすがるような目で見つめてくる


「ほら、おいで?」


 仕方ないなぁかわいいから許すけど


「主様~!」


 涙を流しながら私にぶつかってくる


 それを抱きとめる


 かわいい……


「それよそれ!」


 えーなに?邪魔しないでほしいんだけど


「シャルちゃんはなんにも興味ありませんみたいな感じだったのに急に大好きです!って感じ丸出しになっちゃって!きっと洗脳されているのよ!」


 うわぁ~うっざ……これ絶対説明しても説明しても大丈夫あなたは洗脳されているだけなのよって言いそう


「母上、私洗脳されてなんていないってずっと言ってますよね?」


 ちょっとだけ威圧をかける


「いいえ、大丈夫よ。あなたはそう言わされているだけなの。安心して……私にはわかっているから」


 これぐらいじゃ怯えたりしないか……面倒くさいな


「それじゃあ母上の回復魔術を私に使ってくださいよ状態異常を回復させる技もあるんじゃないですか?」


「それは……あぁ!もう!埒が明かないわシャル!早くそのスライムから離れなさい!急激に力をつけるなんて怪しい魔物よ!きっと魔王の配下なのよ!」


 母上が回復魔術を使わない?……もしかして母上こそ乗っ取られている?


 状態異常回復魔法を範囲展開して回復を試みる同時に私にもかける


 けど何も変わらないでも母上は


「ギャアーー!!」


 頭を抑えて暴れまわるこれは浄化とかかけたほうがいいのかな?


「あ……あぁ……」


 浄化をかけると母上が倒れて母上の体から黒いものが出てきた


 なので私は浄化をかけた手でそいつを掴んだ


[ギャアーー!!]


 そいつは体を大きく揺らして私の手から逃げようとするのでもう一方の手にも浄化をかけて両手で掴んだ


[グギャ……ギャア……]


 するとそいつは力を失ってシューっという音をたてて消えた


 母上は乗っ取られていたのか……誰に?いつの間に?


 父上が気づかないなんてあり得るのだろうか?それだったらダンジョンに入って別れてから?


 そうだ……私がクレールと話をしているとき何も確認していなかったからその時に憑かれたのかな


「シャル……大丈夫?お母さんに憑かれたのはシャルのせいじゃないよ?悪いのは憑いた魔物とその主だよ」


「魔物の主?」


「そう、僕たち魔物は生まれたときから少しだけ魔王の干渉を受けているんだ。人間をおそえ、もっと強くなれってね」


「そうなの?」


「普通の場合はね、でも僕みたいなピュアがつく魔物は魔王の干渉を受けないんだでも危険分子として殺されるんだ」


 だから……分裂したスライムが殺そうとしてきたのか


「その情報はどこから手に入れたの?」


「ピュアたちは殺され続けているからとピュアの中で強くなった存在が集まる国がピュアの系統に情報を送ってくれるんだ。その情報は莫大だから知能補正もつけてくれてね」


 だからそのスキルがあったのか

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