第36話 クレールの進化


 ニコニコスマイルを見てやっちゃったかな?と思って母上を見ると


「大きくなってよかったわねベビスライムから普通のスライムになったのかしら?」


 ……もういいやそういうことにしておこう


「そうなんじゃないですかね……?小さかったのが周りと同じくらいになりましたから」


「普通は名前をつけると強くなったりスキルが増えたりすることがほんとに少しだけどあるらしいわ。私は一度もそんなことはないんだけどね」


 はぁ……と母上は憂いを帯びた顔であーくんを見つめる


 あーくんは上に伸びたり横に伸びたりしながら母上の方を向いている


 きっと母上を慰めているのだろう


 "主様、主様!"


 そう思って癒やされていると……クレールが二頭身の半透明の男の子になっていた


 "僕に癒やされて~"


 ゲームのちびキャラのようにちっちゃくちまちま動く……かわいい


 私の癒やされるという気持ちが漏れて嫉妬したのだろうか?


 かわいい


「あら?……え?」


 あ、母上やばい。なんでこんな姿してるの?って顔してる


 "やばいの?"


 "うん、というかどうやってその姿になったの?"


 "それはね、主様への忠誠ってスキルがあるでしょ?そのスキルをどういうふうに使うのかなとと思って魔力を込めたら主様の情報が頭の中に入ってきて主様がかわいいって言ってたちびキャラになってみたんだ!"


 どうかな?とでも言うかのようにもじもじしながらこちらを見つめてくる


 あぁ!もうかわいい!


「かわいい……!」


 えっ私声にだした?


「かわいいわー!」


 その声が聞こえるとクレールは母上の胸の谷間にいた


 え?


「こんなにかわいい子がいたなんて!こんなスライムがいたのね!かわいいわ!ねえシャル!この子頂戴?」


 ……は?


「母上……わたしの子をとるの?この子はわたしの子だよ?ねえ……なんで?」


 母上が少し怯えているまぁそんなことはどうでもいいわたしの愛しい子を盗もうとするなんてたとえ母上でも許せないから


「シャル……その殺気を抑えて頂戴?」


 殺気?わたしは殺気立っているの?そうだよねだって略奪は許せないもの


「……ル」


 でも、あれ?私にとって主様こそ至高の存在のハズ。なんで?なんでこんなあってすぐのスライムに愛おしいなんて思うの?なんで?


「シャル!」


 ハッとして母上を見る


「大丈夫よ、あなたがスライムを大切にするか見たかっただけなの」


 そう言われて少しだけ混乱が収まるとクレールがわたしの足に手を当てているのに気づく


 "主様、僕のこと大切に思ってくれてありがとう。僕は主様の心がわかるよ。主様を探し求めてるんだよね?その時に僕を大切にしたいと思って混乱しているんだよね?"


 私は思わずコクコクと救いを求めるように頷く


 "僕は一番じゃなくてもいいよそれは今は関係ないか……僕みたいに大切にしたいって自分から思うものに初めて出会ったんだよ主様は"


 そうなの……かな?


 "今までのは絶対に愛を返してもらえるから愛してくれるんだってわかっていたけど僕は初めてあったからまだ信頼しきれてないんだよ"


 私は信頼しきれてないの?


 "だけど……安心してほしい僕は絶対に主様の味方でいると誓うよ"


 真剣な瞳に見つめ返される


「本当に?」


 声が震える


 "本当だよ。だから僕が大きくなったら主様を安心させることができるぐらい甘やかしてあげるからね?"


「愛してくれる?」


 "うん。僕の大好きだって気持ちが伝わるようにドロドロに甘やかしてあげる"


「ふふっあげるなんて主様に対して言う言葉じゃないわよ」


 "ふふっそうだね、じゃあ甘やかして差し上げますのでご覚悟を"


 ドクンと心臓が脈打つのがわかるそれぐらい私の心は湧き上がっている


 嬉しい……嬉しい嬉しい嬉しい!


 頬が火照るのを感じるあぁなんて甘美なのだろう!まるで…………ん?主様のことを考えさせないかのよう?


 "あれれ?もう気づいちゃった?"


 クレールはおどけたような仕草でごめんね?と謝る


 "一番じゃなくていいと思うけど僕もあなたに狂気的な愛を向けられたいんだ。そのためには僕だけのことを考えさせなきゃね?"


「ふふっ。私の心は主様に……私の愛は一体誰に?そんな感じかしら」


 精一杯背伸びして大人な顔をする


 "ふふっそれでこそ僕の主様だよ。僕の愛は主様に……"


 クレールがジャンプして私の近くに飛んで来たので受け止める


 私は主様とこのスライムどちらが大切なんだろうか?


 それはわからないけどわかるときがきっと来るだろうからその時に私は……


「愛するの」


 その人を


 そう思っているとクレールが元の形に戻った


「大丈夫?」


 "うん、僕の力が尽きちゃっただけだからまだまだ生まれたばかりだからね"


「魔力?」


 "うん。もしかして僕に分けてくれるの?"


「うん」


 "ありがとう。そうしてくれると嬉しいな。そうしたらまた強くなれるから"


 魔力を練り手に送る


 そしてクレールの魔力の通りを良くするため魔力循環を私がする


 "ヒャッ!くっくすぐったいよ!"


 "大丈夫、私の魔力で通りを良くするから"


 "んっはぁん……きもちいい"


 そうして魔力の通りを良くして私が満足するくらいの通りぐわいになったので心眼で見ていたのを普通の目で見てみた


 すると虹色に光る美少年を持っていたのでびっくりして落としてしまった


 "痛っ!もうシャル!僕のことを落とすなんて酷いよ!"


「えっクレールなの?」


 "うん。僕だよ?あれ?僕人形になってるすごい!これで喋れるようになったかな?"


「あーあー。やったー僕喋れるようになったよ!嬉しいな!」


 クレールが私に抱きついてくる。ひんやりしてて気持ちいい……じゃなくて!


「進化したの?」


「多分?」


 コテンと首をかしげてくる。かわいい


 じゃなくて!心眼で見てみよう


鑑定


名前 クレール


種族 プペスライム


スキル 知能プラス補正 主様への忠誠 魔力循環レベル3 人化


 人形か……


「どうかした?」


 確かにお人形さんみたいにかわいいよね


「かわいいだなんて、嬉しいな」


 なんでだろう犬の耳と尻尾が見える気がするブンブン振ってる

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