第32話 カード!


「んじゃ、そろそろ冒険者カードを発行するか」


「ギデン!それ僕が言いたかったのに!」


「んあ?あーすまねぇ」


 そういえば父上最初俺とか汚い言葉遣いしてたのに今は元に戻ってる


「父」


「どうしたんだい?シャル?」


 この文字だけ見たらものすごく気を使って気遣った顔をしているんだと思いそうだけど実際はデレデレの顔なんだよね


 そこもやっぱり残念な人だな


 残念な人だから惹かれるのかもしれないけど


「最初は俺とかギデンみたいな話し方してたじゃないですか。なんで?」


「いやぁ……それは……えっとぉ」


 おめめキラキラビームを父上に向ける


「ぐはっ」


 ちちうえにひゃくのだめーじをあたえた!


 ちちうえはひんしだ!


「それはね、簡単よシャル」


 母上はパチンとウインクするといった


「カッコつけよ!」


 かっこつけ……「」つけ……カッコつけ?


「ださ……」


「ぐはあぁ」


 ちちうえにせんのだめーじをあたえた!


 ちちうえはたおれた!


 フフンと妄想していると


「あーそろそろカード発行の話していいか?」


「うん」


「おお、随分食い気味に来るんだな」


 だって主様のためのモンスターを手に入れたいしそれに……


「スライム仲間にする」


 そういうとギデンにガハハと笑われた


「何がおかしいの?」


「いや、流石ハニーの娘だと思ってな」


 スライムを仲間にするなんて言うのはハニーぐらいだぞと続ける


「スライムぷにぷにしてそう」


「いや確かに弾力あるけど」


「美味しそう」


「いや、食べるなよ!?」


 えー水まんじゅうみたいで美味しそうじゃない?


「ふふっスライムは消化液を体内に宿してるから消化液を処理してから食べなさいね」


「分かった、母」


「いや、食べさせるなよ!」


 美味しいんだろうか?味つけないと美味しくないかな?あんこ欲しいな……


「ああ、もう!早くカード作って帰ってくれよ!ソフィアを呼ぶから待ってろ!」


 そういうとドスドスと足音をたてながらドアの方へ行った


 ドアから出るとすぐにソフィーを見つけたようで大口を開けて話してる


 でも防音の結界のお陰でかその声は全く聞こえない


 あら?何処かへいってしまった……と思ったらソフィーを引きずってやってきた


「それじゃあカードを作るぞ……ソフィア、いいとこ見せるチャンスだぞ?」


 そういうとソフィーはガバっと頭を上げニコニコスマイルで近づいてきた……正直怖いから逃げたい


「それじゃあカードを作りましょう」


 そういうと執務机のようなところにあった両手で持つぐらいのサイズの水晶玉のようなものを取って対応するためのかよくあるソファとテーブルの方へ歩いていき机に水晶玉(仮)をおいた


「どうぞお二人共座ってください」


 兄上と二人目を合わせて目で会話する



 行った方がいいんだよね?


 そうだと思います


 じゃあ行こうか



 二人で手を繋いで三人掛けくらいのソファに腰掛ける


 すると向かいの三人掛けのソファにギデンとソフィーが座った


「それじゃあまずはどちらから作りますか?」


 ソフィーがそう聞くと手をあげようかなと思ったら兄上がすでに手を上げていてはいっと言った


「それではえっと……」


「レンです」


「それじゃあレンさん、この水晶玉に触ってくれる?」


「分かりました」


 兄上はそう言うと水晶玉に触れた


 ソフィーとギデンは現れた半透明の板を覗き込むとうなずいている


 こちらからは見えないようだ。あのテレビとかで首相とかが話す時に写っている透明の板に首相からは文字が見えるようなの原理と一緒だろうか?


 まぁそんなことはどうでもいいとして多分だけどステータスが表示されているんだろうちょっと見てみよう


 サードアイを二人の間ぐらいに移動させて……


ステータス


犯罪履歴


なし


レベル1


 ふうん犯罪履歴とレベルが表示されるのか


「それじゃあ少し操作するから待っていてね」


 ソフィーがそう言うとそのウィンドウに触れた


【名前は?】


 操作をすると


【レンでいいですか?】


 と表示されまたタッチすると


【何ランクとして登録しますか?】


【D、E、F、仮】


「何ランクですか?」


「Dランクだ」


 そう言うとウィンドウに触れた


【Dランクとして登録します】


 すると水晶が光を放ち白い煙と共に銅色のカードが出てきた


 兄上はキラキラとした目でそれを見ている


「はい、それではレンさんのカードができました。魔力認証がついているので誰かに利用されることはないと思いますが紛失には気をつけてください」


「はい!」


 兄上はカードを受け取ってカードをジロジロと……うーん……キラキラとした目で見回している


「それじゃあ今度はえっと」


「シャル」


「シャルさんね。それじゃあ水晶玉に触れてくれる?」


 そう言われたので触れてみる


 少しだけ魔力が吸われているあくまで他の人間の感覚だったらだけど


 いや、普通の人間だったら魔力操作がここまでできないだろうからわからないか


 だって蚊に血を吸われて痒いな以外でいることに気づく?ってレベルだからね吸われている量


「はい、それじゃあ操作するから待っててね」


 コクリとうなずいておく


 そして少し経つとまた光ってカードが現れた


「それじゃあシャルさん。このカードはなくさないようにしてね」


 またコクリと頷く


 見てみると


 Dランク シャル レベル1


 職種 ――


 あれ?職種が書かれていない……


「職種書かれてない」


「ああ、それは個人の戦闘スタイルを知られることはその人の稼ぎの秘密を知るようなものだから表示するかは自分次第なのよ」


 なるほど


 きっと執事って出るだろうから冒険者カードでは表示しないほうがいいだろうな

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