第31話 やっぱり闇はここにも
「ギデン。悪かったな。どこまで説明してくれた?」
「ん?冒険者カードには殺しの履歴が残るって教えてやった」
「そうか」
殺しの履歴って……たしかにそうだけど
……ん?待てよ?それなのにどうやって父上は殺しをやってるんだ?
「どうやって父は人を殺してるの?」
「んーその話は部屋の中でしようか」
「んじゃ入るか」
そう言うとギデンはドアを開けてズンズンと入っていった
父上は母上をエスコートして入っていった
「シャルもいこう?」
兄上が手を差し出してくる
兄上のエスコートで入るのかまぁいいけど
キュッと兄上の指先を握る
「それじゃあ行こっか?」
兄上は心なしか弾んだ声でいう
そんなに手を握られるのが嬉しいのだろうか?
赤ちゃんのときも指をよく握らせてたからな
よくわかんないけど害にならなければいいや
「うん」
「ふふっ」
私の手をキュッと握りしめて部屋の中に入る
するとそこには試験の前にお茶を取りに行くと言っていたソフィーとか呼ばれてた人がお盆を持って立っていた
見ると机の上にカップに入った紅茶らしきものと木のコップに入った果実の匂いがするからジュースらしきものがおいてあった
きっとお盆に乗せて持ってきたのであろう
「ソフィー。部屋から出ていってもらえる?」
「いくらハニー様のお願いと言えど了承しかねます!」
「だって……!」
だって?
「せっかくハニー様に会えたのにろくな会話もせずに退席なんて意味分かんないんですけど?」
もはやこいつもか
なんか知り合いになる人とか家族とかオタク多すぎない?
ちなみにおばけちゃん……フェリスもセバス推しのオタクですよ
やはりオタクの周りにはオタクしか集まらないのか?
私は主様推しです。推ししか勝たん!
どんな姿かさえ教えてくれれば絵画を描いて崇拝するのに……今度トーレに聞いて見ようかな
「ソフィー……あなたは私を困らせたいのですか?」
「ち、違います!ただハニー様とお話したいなって思っているだけで……!」
「ソフィー」
「……ッ」
ソフィーは顔を背けた
おお、母上が怒ってる……でも悲しんでもいる?
「あなたもこんな問答をし続けるのもつらいでしょう?私もつらいのよ?」
バッと音がつくほど勢いよくソフィーが振り向く
「そ、そんな……私は……すいませんでした」
そう言って深く腰を折るととぼとぼと部屋を出ていった
可哀相だけど自己中だったからね
他山の石として私も気をつけないと
パタンとドアの閉じるのを見守ると母上がこちらを向いてにっこりとした
「さぁ、これでお話ができるわね。念のため防音の結界も張るわね」
そう言うと母上は詠唱して結界を張った
魔力の動きからしてすべて……防御防音防視の効果を付与できそうなのに別々に分けて発動させるっていうのがトーレの悪いとこだよね
魔法一回に付き少し魔力を取るとかありそう
「それじゃあ、話そうか」
父上はそう重々しく言った
兄上がゴクリと唾を飲む
「簡単なことさカードに魔力を通せばいいんだよしてみせるよ。すると……」
父上が魔力をカードに流して循環させる
するとウインドウが表示された
「ほら、これを触るんだ。すると……例えばこれ」
父上が指さしたところには
【ゴブリン討伐×152 原初のダンジョン】
と書かれていた
「これを触ると」
【警告】
【ゴブリン討伐×152 原初のダンジョン】
【この履歴を削除すると永遠に見れなくなりますよろしいですか?】
【はい/いいえ】
「こんな風に表示されるからはいを触ると」
【削除中……】
ピロン♪
【履歴を削除しました】
「こんなふうに履歴を消すことができるんだ」
ふうん?でもこんなふうに一つずつ消してたらたくさんあったら面倒じゃないのかな?
「複数選択したり、すべての履歴を消すこともできるよこのゴミ箱と言われるボタンを触るんだ」
そう言うと父上はゴミ箱のマークのボタンを触った
「このボタンを一回触ると複数選択ができるこんなふうに」
そう言って父上が文に触れていくと触った文たちだけ背景が濃くになった
「もう一度文に触れると選択解除」
父上が触れると他の文と同じ色になった
「そしてまたゴミ箱のボタンを触れば」
【警告】
【選択された4つの履歴が削除されます。削除されると永遠に見れなくなります。よろしいですか?】
【はい/いいえ】
「こんな画面が出る。今回はいいえを触るよ」
すると選択も解除されたようで見える範囲のすべての文の背景が同じ色になった
「さっきの問、一つだけ選んだときのもいいえを選べばこうなったよ。そして最後にこのゴミ箱のボタンを2回触ると」
【警告】
【すべての履歴を削除しますか?履歴を削除すると永遠に見れなくなります。よろしいですか?】
【はい/いいえ】
「こういうようにすべての履歴を削除することができるよ。この操作はギルドの職員しか知らないことになっているから言わないようにね」
そういうことになっている……闇が深いね
「このことはここだけの話にしといてくれよ?俺も本部に知られたくねぇんだよ」
怒られたくねぇからなと締めくくる
身勝手な理由だけど信用できるそういう身勝手な理由なら誰かに普通は言わないもの
だけどこれに気づいたのって……
父上を見るとさっと視線をそらされる
やっぱりそうなんだ
残念な人だな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます