第28話 この国のクソ


 兄上のことはトーレがかはしらないけど次期跡取りになっているから父上もそう考えているんだろう


「ジャル゛~」


 あぁ忘れてたというか思考したくなかった人が出てきた


 こうなった父上は面倒くさいから無視するのが一番なんだよな


「兄上も見えなかったんですね?」


「シャル!?無視かい!?」


 兄上は父上と私を見比べてちょっとアワアワしているけどそんなことはどうでもいい


 だって……


「兄上?」


「そうだね。僕にも見えなかったよ」


 ぶりっ子してれば兄上は反応してくれるからね


「レンまで~!」


 酷い酷い!と癇癪を起こす父上


 面倒だなと思っていると後ろに黒い者が立った


「ク・ロ?」


 その声を聞いた父上はビクンっと肩を跳ねさせる


 その人物は


「ハ、ハニーこ、これには訳があるんだ!」


「何が訳があるんだ!ですか!」


 あなたはいつもいつも……!と母上が叱ってくれる


 スカッとするし一番いい方法だと思うんだよね


 るんるんしていると兄上がこそっと話しかけてきた


「母上をあのままにしておいていいのかな?」


「何故あのままにしておいてはいけないと思うのですか?」


「だって父上がこっちをガン見してくるんだものものすごく気になるんだけど?」


 スッキリした~と思って見ていなかったけどそちらを振り向いたら父上がすがるような目でこちらを見ていた


 なので私は……


▶母上にチクる


「母!父が私たちの方を向く元気があるみたいですよ~!」


「「な!?」」


 父上と兄上の声が聞こえる


「あ・な・た?」


 父上の後ろに死神が見えるそれでも


「ざまぁ!あはっ!」


 そして数分後


「わかりましたか?」


「はい!」


「はぁ……今回はこれくらいにしておきますけど次はないですからね?」


「はい!」


 ボロぎぬの父上と死神の母上が語り合っている


「シャルって意外とえげつないよね」


「なにか言いましたか?兄」


「ナ、ナンデモナイデスヨ~」


 調子に乗ったら困るからちょっと牽制しとこうかな


「今回はいいですけど、次はないですよ?」


「はい!」


 なんか同じことをした気がするけどいいや


 それよりギルドカードはどうしたんだろう早くほしいんだけど


「イチャイチャしてないでこっち来やがれこの万年新婚夫婦が!」


 ギデンの声を聞いて父上と母上の方を見ると確かにイチャイチャしてた


「ケガさせちゃってごめんなさい」


「いいんだよハニー」


「クロ♡」


「ハニー♡」


 キスでもしそうな雰囲気だ。確かに万年新婚夫婦だな


「ギデン~!私のランク何になるの?」


 母上たちは放っておいてギデンの方にかけていく


「おう、坊主たちは二人ともDランクからだな」


「それっていいランクなの?」


「Dランクまでは下級ってされてて初めて登録するときには最高でもDランクなんだ。で、BとCが中級大半がCになってから上がれずに終わってくんだそしてS、Aが上級だ。ここらになると国が囲おうとする」


 ふうん囲うって貴族にするってことだよね?


「ギデンは何ランク?」


「ん?元Aランクだが?」


「じゃあ何で囲われてないの?」


「あぁ、貴族になってねぇっつーことか?俺は平民でいてえからな。それに……」


 ギデンの表情が暗くなる


「この国には尽くす気になれねえんだ」


「ふぅん、そうなんだ?」


 ギデンはハッとした顔をして訴えかけてくる


「別にこの国が嫌いっつー訳じゃねぇんだ」


「じゃあ何が嫌なの?」


「……国王に昔会ったことがあってな。勝手に俺のことをこの国の騎士にしようとしてたんだ」


「騎士になりたくなかったから?」


「いや、その手段がいけ好かないんだ」


「どんな?」


「メイドに手を上げたことになってた」


 へぇ?


 続きを促すように首を動かすとギデンは語りだした


――――――


 俺がまだ青臭えガキの頃だった。次期国王からのお呼び出しっつーことで呼び出されるのを断れそうになかった


 だってなー騎士たちが俺の泊まってた宿に雁首揃えて来やがってな?宿の主は嫌そうな顔をしてるし部屋には小さな光を取り入れる窓しかなかった


 騎士たちはめーギンギラに光らせて出世欲っつーんだろうけど欲に濁った目で俺を見てて逃がす気はねーみてーだったから付いてったのさ


 そして連れて行かれたのは王城のなんつーんだっけな?あの王がどっしりと座って構えて俺等を見下す場所……ああ!王座の間ね?そこで当時王子だった今の王が生意気そうに座ってたんだ


 そこには王しか座っちゃならねぇはずなのに座っていたから注意してやろうと思って話しかけたらな?


「無礼者が!わしの騎士にしてやろうと思って呼んだのになんという口をきく!打首だ!」


 なんて言いやがってよ?むしゃくしゃして部屋を出ようとしたら今の宰相があのときはただの息子だったやつが出てきてあれよあれよと言う間に何故か城に泊まることになってた


 その晩、気配を感じて起きるとメイドがしなだれかかっててその時女のいた俺は出てけって言ったんだけど


「そんなこと言わないで……」


 なんて言いながら服を脱ぎ始めたんだ


 もうあれはメイドというより娼館の女だった


 気味が悪くて離れろ!って肩を押して離れてから見てみたらベッドに倒れててな、大丈夫だと思って部屋を出たらあの宰相がいてな


 部屋を改めさせてもらうとか言って部屋ん中入ってきて


「な!?」


 とか驚いて


「あなたはメイドに手を出したのですか?」


 とか言いやがってよムカついて勝手に入ってきて服を脱いだんだって言ったんだけど


「この指の跡は?」


 それは俺にしなだれかかってて来たから逃げるために押したんだ


「ベッドに押し倒したのではなくて?」


 勝手にそうなっただけで俺はそうしたくてしたわけじゃねぇ


「この者をメイドに手を上げた罪で捕らえよ」


 なんて言って本当に捕らえようとしたからな


 みんな気絶させて逃げた


 そしたら俺は何故か王子の妃に手を上げたことになってまた呼ばれて


「騎士になるなら罪に問わん」


 とかぬかすから本気の威圧をしてやったらそいつ小便漏らしやがってきたねぇきたねぇ


 俺のことを罪にとうなら小便漏らしたその姿を張り出すぞっていって脅して帰った


――――――


「これが宮仕えしたくねえ理由だ」

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