第20話 そういえば……


 残念、兄上に女装をさせるのは無理なようだ


「第一僕みたいな凡人顔にきらびやかな服は似合わないだろう?」


「平凡だから諦めるのならメイクしてあげましょうか?」


「メイク?」


「化粧のことです」


「化粧は女性のするものだろう?」


「男性がしてはいけない決まりなんてありません。興味があるなら今度母上に許可をもらってやってみますか?」


「だけど……」


「平凡な顔はメイクが乗りやすいってことですよ。じゃあ(先は)男装と女装どっちがいいですか?」


「……男性の服装がいいかな」


 ちなみにかっこの先はは兄上にいってないよ~ふふっ心のなかでは言ったもんね~


 それと父上と兄上はとても似ていて父上は焦げ茶の髪にめで兄上は焦げ茶の髪に母上の緑の目を受け継いでいる


 母上は金髪に緑色の目のオットリ系の顔の美人さんだよ


「シャル!セバスはどうしているんだい?」


 父上と母上の二人の時間は終わったらしい


「おばけちゃんとお話しをしているんじゃないですか?」


「そのおばけちゃんというのはあの血まみれの女性?それとも女性の執事さん?」


「どっちとも同一人物で血まみれが殺されたときの姿で執事姿は過去の姿らしいよ」


「セバスからそんな女性の話は聞いたことなかったのにシャルには話すんだな。私は信頼されていないのだろうか?」


 主語も戻ってるみたい


「そんなことはないと思うよ?セバスはきっとおばけちゃんと私の姿が重なったのと感情的になったから話したんだと思うよ」


「そうだといいけどね」


 そう言うと父上は裏庭を向きながら聞いてきた


「そのおばけちゃんの話を聞かせてもらえる?」


「人の話を人から聞くなんて父上は無粋ですね?聞いてどうするんですか?」


「そのおばけちゃんの主様消してあげようかなってね」


「ふうんそうなんですか」


「うん。セバスはよく仕えてくれているからね彼が望むならそうしてあげたいんだ」


 普通の人なら殺すなんて……とか思うんだろうけど


「いいんじゃないですか?」


 私は賛同する


「セバスはきっと一人の罪として背負おうとするだろうからね。先に殺っといてもいいんじゃないかな」


「それじゃあ話してくれるかい?」


「彼女は執事養成学校に通うことになった一生徒でした。セバスに出会うまでは……」


――――


 ですが彼女はセバスに出会いました。


 それは一目惚れでした。サラサラとした指通りの良さそうな焦げ茶の髪、つやつやと光る唇は細くしまっていて微笑みを浮かべている


 体は細いけれど体の動きからもわかるようにしっかりと鍛錬しているであろうことがわかる


 そして瞳ははちみつを溶かしたようなきれいな金色


 おまけに顔も整っていた


 彼女は彼が気になってしまっていて彼を見かけるといつも目で追っていた


 だけど彼は優秀でいつも人に囲まれていた


 だから彼女は必死に勉強し、他の人達と交友を深め、彼に近づくための努力をした


 そうすると次第に彼女の容姿も磨かれ何人かの生徒に告白されるまでに至っていた


 でも彼女はそれには応えず、ただひたすらに自身を磨き続けた


 そして運命の初めての試験の日、そこで彼女はトップに躍り出た


 彼は2位だった。そこから彼と彼女は関わるようになり春が過ぎ夏が過ぎ……そして卒業が間近になった


 その頃には恋人にほど近いほどに関係を進めいてた彼女は就職先が彼女の応えなかった家しかないことに気づいた


 もしかしたらそいつが私に迫ってくるかもしれない


 そう思い彼女は彼に一夜を求めた


 彼はそれに応え二人は甘い夜を過ごした


 そして彼女は妊娠した


 これこら巻き込まれるであろう最悪に巻き込まないため彼を突き放して彼女は就職を諦めた


 そして彼女は妊娠を家族に伝え家にとどまったが実家に圧力をかけられて仕えなければならなくなった


 嫌だが、断れないと言う父たちにこれ以上迷惑をかけれないと思い彼女はその家に仕えた


 月日が流れ腹が大きくなっていくといつの間にか主となっていたその男から太ったのではないかと聞かれたので妊娠していることを伝えた


 すると主は激高し、彼女を殺した


 彼女は気づくと殺した男を俯瞰して見るような視点になっていた


 なんでと思って手を見ると半透明だった


 そうか死んでしまったんだなと理解する


 彼女を刺した主はようやく刺したのをやめたかと思えば彼女の日記に何か書きだした


 なんだろうと彼女が見ているとそれは彼女の自殺の偽装だった


 彼女の字に自分の文字を似せ、巧みに書いていく


 彼女は呆れていた何が主の子を孕んだから自殺せねばなりませんだ


 そう思うとこんな男に負けたのかと思いアホらしく思え、彼女は最愛の人の元へ行くことにした


 同じ伯爵家でもずいぶん違うんだなと思いながら彼の仕える家を見て回る


 そうして彼を見つけた


 彼は主様に仕えて幸せそうだった


 だから彼女は一緒にいるために彼についた


 そして彼は彼女が死んでしまった話を風のうわさで聞き絶望した


 数日間仕事を休み彼女の情報を集めた


 すると自殺したようにみせかけられていたので皆自殺だと思っていた


 そして彼もそうだと思い深く絶望した


 見ていられず彼女は主だった人の元へ向かって懲らしめてやろうとした


 だが、彼女は気づいた。自分が殺された人の名前を覚えていないと……


 それだけではない家族の名前も友達の名前も……


 覚えているのは執事の勉強と彼のことだけ


 そのことに気づき震えるが返って良かったのかもしれないとも思った


 家族や友達のことを覚えていたら違うと誤解を解きたくなるし、主の名前を覚えていたら殺してしまったかもしれないと思ったからだ


 主は殺してもいいがもしかしたら彼と交わったことを誰かが知っていて彼が犯人だと言いまわるかもしれないのでちょうど良かったと思った


 そして彼を見続けていると秋が過ぎ、冬が来てそれを何年か続けていると子供が彼の主にできたという


 彼は辛そうに見ていたが主様にはそんな顔を見せなかった


 そしてまた何年か時を進めるとまた子供が生まれた


 その時にはその子に興味はわかなかったけど魔力の動きを感じて見てみるとあのこどもが魔力を動かしていた


 まだまだ幼いのに将来有望だなと思って子どもと目があった気がしただが気のせいだろうと思っていると子どもは執事になりたいと言っていた


 彼女は自分の知識が活かせるかもしれないと思って枕元に現れ言った


「あなた執事になりたいんでしょ!」


 と


――――

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