第19話 おばけちゃんとセバス……えー説明しなきゃいけないの?


「シャル」


 母上が急接近してきてニッコリと笑った


「説明してくれるわね?」


「おばけちゃんに執事のお仕事を教えてもらってました!」


「……というと?」


「ある晩のことです……何か薄ら寒く感じ目を開けるとそこに彼女がいたのです!そして言ったのです!見えてるんでしょ!って!」


――――


「見えてるんでしょ!」


「えぇ……まぁ……そうですね」


 面倒くさいことになりそうだな……


「あなた執事になりたいんでしょ!」


「……!はい!」


「教えてあげるわ!」


「ありがとうございます!何でもします!」


――――


「っていうことがあって教えて貰うかわりにもしセバスがうわぁ~んってなったら彼女を見せれるようになる魔法を教えてもらっていたので見せるって約束です!」


「頭が混乱するわ……という話じゃなくて幽霊に何でもしますって言ったら体を乗っ取られるわよっていう話よ!3歳の頃にお話してあげたでしょう!?……ってもしかして」


「はい2歳のときです」


 母上がズーンってしてる


「その時じゃしょうがないけど気をつけなさいよ?」


 母上は諦めたようだ


「シャルは魔法が使える……?」


 父上がこちらを見て驚きの目をしている


「クロ、これは……」


 母上は止めようとするが私はそれをやめるよう言った


「なんて素晴らしいんだ!」


「へっ?」


 母上が呆然としている


「もしかしてハニーは知っていたのかい?何でそんな素晴らしいことを教えてくれなかったんだい!?」


「父上は魔法バカだからね」


「酷い!シャルが酷いよハニー!」


 母上はぽかんとしたままだ


「どういうふうにしたんだい?」


「ただ見えるようになれーって感じです」


「見えるようになれとは?」


 段々と面倒くさいな(というか最初からめんどくさかったけど)と思い始めるとついに母上が割り込んできた


「ちょっと待ってちょうだい!私もそんなことを知らないわよ?クロ?他に隠してることはないかしら?例えば愛人とか……」


「そんなものいるはずないだろう!?隠してることは……無いとは言えないけど……」


 最初はすごい強い否定だったけど段々と弱くなっていく


「何を隠してるって言うのかしら?」


 母上が凄む


「そ、それは……」


 はぁとわざとため息を吐く


「シャ、シャル!」


 父上は希望の光を見つけたとばかりにこちらを見てくる


「父上、私が母上にその話をしてもいいんですか?よりいっそうむっつりスケベだと思われますよ?」


「そ、それは……ああ!もうわかったよ!ハニー!」


 そう言うと父上は母上に向かって覚悟を決めた目を向けた


「僕は!君の美しい美貌を見ているうちに女装がしたくなって君の服を勝手に借りて女装していました!すいませんでした!」


「え?」


 母上はほうけた顔をした


「私の下着を持っているところを見られたとかではなくて?」


「ぐっ君の下着は見られていないけど僕専用の胸当てくらいは見られたかな!」


「どういうこと……?まさか!娘の前で服を脱いだの!?信じられない!」


「そうだよドレスを脱ぎかけた……」


「シャルに裸を見せたなんて!」


「へっ?」


「あなたという人は!シャルに!下着姿を見せて!あまつさえ裸になったというの!?あなたをそんな人だと思ってなかったわ!?」


「いや、違うよ!?ドレスのボタンを外して脱ぎかけて少し胸カップつきの下着がちょっと見えたときにシャルが入ってきただけだよ!?」


「ほんと?シャル!」


「父上……嘘はつかないでください……」


「何言い出すの!?それ以外は見せてないよ!?」


「あの胸当ては母上と同じぐらいバインバインでした!あれを少しとは言いません!」


 そうなのだ!母上はすごい胸をお持ちなのだ!そして父上と身長は同じぐらい……ちなみにだけど父上が低いわけじゃなくて母上が高いだけだ


「そこ!?たしかにさぁちょっと小さく言っちゃったかなって思ったけど……」


「それだけじゃありません!」


「何を今度は言い出すの!?」


「あの胸は!」


「胸は……?」


 ゴクリと息を飲む音がする


「あの胸はふるんふるんしてたんです!ただの布を突っ込んだだけの胸パットじゃあありません!」


「たしかにちょっとこだわってスライムで作ってもらったよ!?でもそれは結果的に世の女性とオネエ様方に喜ばれてるからいいじゃないか!」


「しかも!父上は言ったのです!」


 ハッと気づいた父上は静止の声をかけようとするがもう遅い!


「いわないd……」


「いや~んと!」


 その場はシーンとした


 兄上は引き、メイドはガチ目のキモッこいつという目を向け、執事はこれは現実なのだろうかという顔をした


 そして母上は……


「……クロ、あなたに女装の趣味があったことは初めて知ったわ」


 父上はビクリと肩をすくませ下を向く


「そんなあなただったとしても私は嫌わないわよクロ」


 母上は父上を抱きしめてポンポンする


「それじゃあ今度一緒に仕立て屋に行きましょう。そして一緒に着せ合いっこしましょう」


「……!うん!」


 母上と父上はラブラブ空間を作り出した


「ねぇシャル……どうやって父上の女装と魔法好きを知ったの?」


「父上が手帳を落としたので見てみたら魔法についての考察が書かれていたのでおばけちゃんが詳しいよって教えてあげようと思って手帳を持って父上の部屋に行ったらドレスを脱ごうとしてる父上とご対面したわけです」


「父上が女装趣味だったとはね」


 兄上は引き気味だ


「私だって男装しているじゃないですか?たしかにいや~んはないかもですけど女装は見るのに支障がないなら私は別にいいと思いますよ?」


「うーん。そうなのかな?」


「兄上もしてみますか?」


「しない!」

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