第18話 そろそろ帰ろうか?


「シャル矢を持ってきたわよ」


 母上が大量の矢を両手いっぱいに持ってきた


 一束ずつポーチに入れていく


「さて、そろそろ怪しまれるだろうから戻ろうか」


 そう言うと父上が元の転移場所に歩いていく


 私達は転移陣に乗った


 今度は父上が呪文を唱え始める


 また光が差し込むかと思ったら今度はすごく暗い闇に包み込まれたそして一瞬後にはあの神殿の神像の前にいた


 父上はトーレの像の腕を上げた


 すると転移陣が消えた


 ほんとに世にも不思議な光景だ


「それじゃあ二人とも武器もポーチに仕舞ってね」


 父上が促すので私達は渋々武器をそれぞれのポーチに仕舞った


「それじゃあ行こうか」


 父上はドアを開けるとさぁとこちらに手を伸ばした


 神殿から出て馬車乗り場に行くともう馬車はほとんど残っていなく、うちの家の馬車がわかりやすい場所に停めてあった


「ご苦労」


「はっ!」


 騎士が馬車の御者兼護衛をしていたようで胸に拳を当てて父上に返事をした


 そしてその騎士が馬車のドアを開けた


「おいでマイリトルプリンセス」


 父上が跪いてこちらに両手を伸ばす


 まぁいいかと思って私は父上のとこに歩いていき片方の腕に乗る


 そうすると父上がデレデレしながら私をクッションの上に乗せる


 そして母上に手を差し伸べる


「マイレディどうぞお手を」


「えぇ」


 母上はいつも通りというか行きと同じように私の隣にかける


 父上が反対側に乗り、最後に兄上が父上の隣に座る


 ちなみに母上と私が進行方向を向ける席だ


「それでは扉を閉めさせていただきまして出発させていただきます」


 騎士さんがそういうと父上があぁと返事すると扉を閉めて御者台に乗り込んだのかピシッという音と馬のいななきとともに馬車が進みだした


 ガタガタと揺られながらそういえばニャインは返ってきたかなと開いてみる


 本当に干渉されてたわ。魔物が

 出るようになる前の人類の争い

 もそいつが起こしたみたい世界

 を作った時点から干渉されてた

 みたいで気づかなかったわ


 マジですか。やばいね


 何か影響はあるの?      既読


 あの第3王子に地球の魂を仕込

 んで転生させたらしいわこの世

 界のもう一度魔王が出てくるこ

 とをゲームで知っていて魔王を

 倒して聖女と魔術師の両方を后

 にしようとしているみたいね


 一度そこで区切られる


 そのゲームであなたは死んでい

 ることに事になっているから生

 きていることに気づかれない様

 にしたほうがいいかもね女なら

 強いなら組み敷きたいと思って

 る下半身野郎だからね


 うわあ……神にまで下半身野郎って言われるなんて救いようがないね


 わかったありがとう      既読


 どういたしまして


 ほんと面倒くさいことになりそう


「父上、私ほんとに第3王子サマだけは仕えたくないからそれだけは覚えておいて」


「あぁそうだね。そのほうがいいね。わかった覚えておくよ」


 父上の許可が降りた良かったー


 そう話していると馬車が止まった


 外を見ると我が家についていたみたい


 騎士さんがドアを開けると父上が一番に私をまた片腕抱っこして降りて母上にもう片方の手を差し出した


 母上はその腕につかまって降りると兄上が最後に降りた


 玄関の扉の前には使用人たちがズラッと並んでいてひとりセバスが進み出て来た


「おかえりなさいませ旦那様、奥様、坊ちゃま、お嬢様」


 そう言うと後ろの使用人たちがおかえりなさいませと言い頭を下げる


「セバス、シャルが執事になりたいらしい執事養成学校に入学手続きをしておいてくれ」


「お言葉ですがお嬢様はまだ勉強を始めていらっしゃらないのでは?」


「レンと一緒に受けていたと聞いているが?そして教師も良くできていると言っていたではないか。それに勉強をしていないもののために最初から勉強すると聞いているが?」


「旦那さまはお嬢様が執事になることには了承されているということで?」


「あぁ」


 セバスが跪いて私に視線をあわせて聞く


「お嬢様、執事は男がほとんどで女性は一握りです。そして男よりも下に見られます。それでもなられたいのですか?」


 セバスは真剣な目でこちらを見て言ってくる


「私はね、セバス……そんなことどうでもいいと思うよ?」


「どうでもよくはございません!私は執事になろうとした女性を知っています!ですが彼女は……っ!」


 セバスはとても辛そうな顔をしている


 事実辛いのだろう


「彼女はとても成績のよい人でした。そして人柄も良かった。ですが彼女は……いやだからこそ自殺した。主様の子を孕んだのです」


「ふふっそうなんだ~へぇ~」


「お嬢様!」


 セバスは怒った声を出した


「その人は幸せだったんだろうねぇ愛した人に執着されてね。だからこそ死んだんだよセバス」


「どういうことですか?」


 セバスは泣きそうな不安そうな顔をした


「その人はセバスを愛しているんだよ。あなたが彼女を愛したように……ね」


 セバスはわからないようだ


「彼女はセバスの子を孕んだ。それに激高した主様に殺された。ただそれだけだよ?」


「えっ……?彼女は私を望みましたが一度きりですし……何より彼女の日記に書き込みが……」


 ふむふむ


「彼女の言うには一度で孕む方法というのがあるらしいよ?それにそれは主様が書いたものだともね」


「彼女がいうには……?」


「彼女はあなたを愛しているの!だからね……ついているのふふっ!」


「彼女がいるのですか!?どこに!?」


 つかみかかろうとするのを寸前で避ける


「見せてあげるよ――愛する人との夢のひとときを!」


 そういうと彼女は現れたというか見えるようになった


「話してあげるといいよ」


 そういうと彼女は血まみれのナイトウェアから執事服に変わるとセバスを殴った!


「……!?」


 セバスはもろに喰らって倒れた!


「ハハハッ!セバス殴られちゃった!」


 彼女はセバスをお姫様抱っこすると父上に頭を下げて裏庭の方向に向かっていった


「いい夢を!」

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