第17話 母上は巷で聖女と呼ばれているらしいです
母上に髪に髪留めをつけてもらうと、とても嬉しく思った
「嬉しいです母上……」
ちょっと顔が上気している気がするけど嬉しいしね
「ふふっ良かったわ」
そう言って頭を撫でてくれる猫だったら喉を鳴らしそう
「そういえば母上はなんの職業なんですか?」
「んー。魔物とかに偏見ってあるかしら?」
「例えば?」
「魔物はこの世から根絶やしにするべきだとか魔物と関わるものは魔族だとかね」
魔物関連の職業なのかな?
「うーん特になんとも思いませんね味方だとしたら傷つけたりはしませんけど敵なら人でも魔物でも滅ぼす……ただそれだけですね」
そう言うと母上は驚いた顔をした
「レベル上げに必要だからではなくて?」
「確かにそれもあるかもしれませんが必要以上には狩りませんよ」
母上は少し寂しそうに笑った
「今くらいの年なら魔物を悪だとか言うものなのよ?それに人と魔物を同等として上げるなんていけないのよ?」
「わかりました。それでは人間の方が邪悪だと思います。武器というものを創り出し、それを使うのですもの。そんな発想が邪悪ですね」
「ふふっふふふふふっ!そんなことを言うなんてね!予想もしてなかったわ……いいわ教えてあげる」
本当におかしそうに笑うと母上は真面目な顔でこちらを向いた
「私の職業は魔物使いよ。滑稽よね魔物に同種争いをさせるのだもの。意味のない殺し合いをね……いつもは森の中にいるから見たことないのは当たり前よ。今度見せてあげるわ」
「どんな魔物なんですか?」
「スライム、アサシンスネイク、ドラゴン……いろいろね爬虫類系の魔物が多いわ……あっカードも見せるわね」
そう言って黒色の冒険者ギルドカードを渡された
冒険者ギルドカード
Sランク ハニー レベル16
職種 魔物使い
「レベルいくつでドラゴンって倒せるんですか?レベル16で倒せるものなのですか?」
「あぁ私の属性は光と水なんだけどね死にかけのドラゴンがいたから光と水で回復魔術をかけたら浅い傷は残ったけど治ったからお礼にってテイムさせてくれたのよ」
テイム?
「私にもなかったですっけ?テイム」
「あぁあったわねじゃあ見せるときにスライムでもテイムしてみる?」
「はい!」
ぷにゅぷにゅのスライム!もちもちのスライム!冷たくて気持ちいいスライム!
こういうスライムって進化するんだよね?
ベビースライムとかから育てたほうがいいのかな?
っと思考がズレたっていうかレベル16がドラゴン治せるの?
「母上は回復魔術の天才とかでした?」
「ふふっ巷では仮面の聖女って言われてるわ」
「その母上でも魔力暴走を止めることはできなかったんですか?」
「だからこそね魔力が多いことに胡座をかいて循環とかをせずにただ魔力を神に回復魔術に変換してもらうだけだったから循環して整えるっていうことができなかったの」
うーん?
「循環してたら魔術で有利なことがあったんですか?」
「循環していたら魔力が暴走しにくくなるのと魔術を使うときに魔力が濃くなっていて魔力の消費量が少なくて済むわ」
「魔力はどうやって回復するのですか?」
「魔力ポーションを飲んだり、食べ物を食べたり、休んだりすれば回復するわなんでそんなことを聞くのかしら?」
「私疲れたらすぐ寝ちゃってまた起きたら元気いっぱいだったから。回復ってどうやるんだろうって思って」
「そうだったのね」
危ない危ない不信に思われるとこだったよ
「それじゃあそろそろ戻りましょうか」
母上がそう言って歩きだしたのでついていく
するともうすでに兄上と父上がいた
兄上は双剣とウエストポーチをつけていた
「ああ!アイテムポーチを忘れてたわね」
待ってましたとばかりに父上が躍り出て来た
「ハニーはうっかりさんだからね代わりに私が持ってきておいたよ」
父上はフフンとばかりに兄上と同じウエストポーチを持っていた
「シャル、これはアイテムポーチと言ってねポーチの中に広い空間があるんだこのポーチはうちくらいかな」
うちくらいって相当広いよね
家だけだとしても広すぎて私まだ行ってないところが沢山あるもん
「すごくいいものだと時間の進みがゆっくりになるんだけどそれは広さが狭いから広さをとってこれにしたんだ」
ふうんゲームメニューのアイテム欄は時間停止の効果があるから出すときのカモフラージュにいいかもね
「これの中にナイフを入れておくといいよ」
そう言われてナイフをウエストポーチに入れていくが重さも感じないから楽かも
「それはそうとシャルは弓を武器にしたんだね矢は持ってきていないのかい?」
「あぁそれも忘れてたわね持ってくるわ」
母上が早歩きで矢を取りに行った
「兄上の武器はなんですか?」
「双剣と言って二本の剣を両手で持ち替えたりしながら使うんだ」
「どんな動きなんですか?」
「うーんまだやったことがないからわからないな」
「父上はどんな武器なんですか?」
「私?私は長剣だよ。ちなみにハニーは鞭だよ」
「私は弓です」
「そんな弓あったかなぁ?でもシャルに似合ってるしいいか」
「シャルに似合ってると思うよ!」
兄上が頬を上気させて言ってくる
「兄上にもその白と黒の双剣似合ってると思いますよ?」
「ほんと?嬉しいなぁ」
「シャル!私にも長剣似合ってる?」
「父上は持ってないのでわかりません」
父上がガーンとした顔でこちらを見てくる
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