第14話 武器選び……の前に部屋を移動しましょ
「そういうわけだから早速暗器を選んでそれを使うトレーニングから始めるよ」
やっと父上が回復したみたい
「冒険者ギルドには登録に行かないのですか?」
兄上は頬を染めてるからやっぱり冒険者という響きにつられるんだろうね
「シャルは行きたくないのかな?」
「とりあえずぶきにさわれるようにならないとたたかえないからべつにこんどでもいいよ」
父上は一瞬固まるとまたすぐに笑顔で言い出した
「よし、シャルも行きたいんだね!それじゃあこのあとすぐに行こうね!」
「えーぶきは……」
「これからここで選ぶんだよ!だからいいね?」
父上はどうしても連れていきたいらしい
「まぁちちうえがそんなにいきたいならついていってもいいよ」
「なんだかシャルが冷たくなった気がする……」
また父上が影を背負い始めた……面倒くさい
「ちちうえはこんなしゃるはきらい?」
唇は尖らせてちょっとそっぽを向く
「そんなことないよ!どんなシャルでも愛しているよ!あぁやはりシャルは至高だ……!」
今度は拝み始めた……ウザ……
「はやくえらぼー?」
とりあえず自分の武器を手に入れたい
……だからこんな体をくねくねさせて悶えてる父上には関わりたくない
遅いかもしれないが私の話し方は子供っぽくしているのだ
5歳児がもっと喋れるか否かはわからない
兄上はさっきの鑑定式でも見たように神童だから3歳のときにはもうペラペラと喋っていたのだ。流石にちがうのではないかと思い子供っぽく話しているのだがいつ止めればいいかも分からなくなっているのだ
カオスな父上を打壊するためか、母上がパンッと手を叩いた
「それじゃあ二人ともこちらへ来なさい」
そう言うと母上はトーレの像に近づいた
兄上と私は顔を見合わせてから手を繋いで母上に近づいた
母上はトーレの右腕に触れると下に下げた
するとトーレの像の前に光る文字の入ったサークルが現れた
なんだろうと見ていると突然文字の意味が少しだけわかるようになった
今確認するわけにはいかないけどきっと言語系の何かが生えたのだろう
「これは転移陣よ名前の通り転移をすることのできる魔法陣よ」
「まじゅつじんじゃなくてまほーじん?」
「偉いわねシャル魔法陣と言われる理由はこの文字は魔法語と呼ばれる太古の言語なのそれを組み合わせて陣を作ると魔術より自由な魔法をつかえるの。でも事前に書いておかないといけないし、普通の魔法陣は一度使うとなくなってしまうの」
それが欠点ねと言いながら頭を撫でてくれる
家族だからか頭を撫でられるのがすごく気持ちいいんだよね
だから無意識に頬が緩む
「ふふっ頬が緩んでるわよシャル?それじゃあ転移するからクロも来て」
「ハッ……うん今行くよハニー」
そう言うと父上は私達を促して一緒に陣の中に入る
母上はすでに陣に入っている
「それじゃあ……転移!」
母上が魔力を陣に込めるのが見えた
心眼を使ってたかな一応魔力コンタクトしよう
そしてパーッと陣が光り、余りの眩しさに目を閉じて開いた次の瞬間には真っ暗な部屋にいた
「神よ我、ハニーリアに力を貸したまえ、光よ――ライト」
母上がそう唱えると周りを照らせる光の玉が出てきた
「えっと……たしかここに魔導具が……」
天井の方に光の玉を移動させ母上が何か探しているとランプのようなものが見えた
「あったこれで……っと」
ランプらしきものに母上が光の玉を当てると光の玉は消えてランプに明かりがついた
「ははうえ、なんであかるくなったの?」
母上はふふっと笑ってこちらを見た
「あれは光の魔導具よ。そして光の玉の魔力をランプに移して光をつけたの。魔導具は魔法陣を組み込んだ道具なの魔石で動くものがほとんどなんだけどこうやって魔力で動くものもあるのよ」
「ませき?」
「魔物を倒すとドロップアイテムを落とすのその時に絶対出てくるものが魔石で魔石は魔物の動力源ではないかって言われているの。属性を持っていることが多いわ」
「ふぅん?それよりもぶきは?」
何かうずうずしてきた何かに呼ばれているような……そんな感じがする
「ふふっ待ちきれないのね?それじゃあシャルは私とレンはクロと武器を見ましょう」
「「えっ!?」」
父上と兄上が同時に絶望した顔をした
「だってシャルは女の子ですもの……いつも男性の服装をしているけどいつか女性の格好をすることもあるでしょう?その時のためにも私が一緒に女性のときに使いやすい武器も教えてあげるのです。」
母上の口撃は止まらない!
「それにレンは武器はあまり触っていないでしょう?だからクロに教えてもらいながら選びなさい」
「「ぐはっ!」」
正論で論破されたらつらいよね
「それじゃあシャル選びましょうか?」
「うーん。ははうえ、なんかねよばれてるきがするの」
「あら、そうなのね。そういう感覚は大事よ。それじゃあ呼んでくれている武器に会いに行きましょうか?」
「うーんなんか別々の方からよばれてるの」
「ふふっ大丈夫よ。武器は一つなんて言ってないでしょう?一つずつ会いに行きましょう」
「うん!」
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