第11話 家族会議1

「シャル父上と母上のとこに行こう?」


 兄上が手を差し出してくる


 その手に手をかけ椅子から立ち上がる


「わかった~でもしゃるちちうえとははうえのばしょしらないよ?」


 嘘だよ第三の目でバッチリ発見してる


「父上と母上とは最初に場所の約束をしていたんだ。だからこれからそこに行くよ」


「わかった~」


 そう言うと外の方に向かって駆け出そうとする


「あぁシャル約束の場所は外じゃなくて懺悔室なんだよだから中だよ」


「ざんげしつ?なにするおへやなの?」


「うーんとね……悪いことしちゃった人が神様にその話を聞いてもらってゆるしてもらう部屋だよ」


「うーん……ごめんなさいするへや?」


「えっとね……ちょっと違うけど同じようなことかな」


 そんな説明を聞いてゆっくりと手を引かれ歩き出す


 今思ったことだけど私が普通に歩けるってことは兄上は私のスピードに合わせてエスコートしてくれてたってことだよね?感謝しとこう


 そして子どもたちの人混みを通り抜けて扉を開けて廊下を進み奥の方にあった部屋につく


 兄上が私の前に立ち扉をコンコンと鳴らす


 すると母上の入ってらっしゃいという声が聞こえてきたから兄上と一緒にしつれいしますと言って扉の中に入る


 するとそこには家の客間の一室と言ってもいいくらい家具のシリーズや気配も一緒だった


「おうち?」


「クスクスいいえ違うわここはうちが貸し切っている懺悔室よ」


 母上がクスクスと笑いながらこちらにやってくる


「それよりも二人ともお疲れ様二人とも暗殺の心得があったからうちの話をしようと思う」


 父上はそう言うと私達をソファーへ座るよう促した


「うちの家ラ・モール伯爵家は王族の影ということはレンは知っているね?」


「はい」


「影ということは暗殺……人を殺すこともするということだ二人にはその技術を身に着けてもらう」


「しゃるはしつじになりたいのそれでもあんさつはおぼえなきゃめ?」


 そんなこと思ってないし、むしろ習いたいけど一応ね


「そうだねシャルがもし執事になったとしてラ・モール伯爵家の人間なんだから暗殺をしてこいという命令を出される可能性はあるし、暗殺してくるものから身を守る方法も教えるから必要かな」


 父上は私に少し申し訳無さそうな顔をした。


「それからねシャル。シャルは執事になりたいのかな?」


「うん!しゃるはしつじになりたいの!」


「だったらその暗殺のやり方を家で習いながら執事養成学校に通ってほしいんだ本来は執事養成学校には12歳から5年間17歳までの間に通うんだけどその年には魔術師学校に通ってもらいたいんだ。だからこれから執事養成学校に通いながら暗殺なんかの手段を身に着けてもらうよ」


「うん!しゃるはしつじになる!よーせーがっこーはいる!」


「それと鑑定式で欠陥と出たからね司祭様の検査を受けることになった」


 ふむ、これは予想外だけどこれで子供を作れないと分かれば跡継ぎへの道は完全に閉ざされるだろう。面倒くさいことは嫌だからねこの機会に潰しておこう


「けんさってなにするの?」


「体を調べるんだよ」


「ふうんどこでするの?」


「このソファーに寝転がっていればいいよ」


 そう言われたので兄上の膝の上に頭を乗っける


「ごろーん」


「あらあらうふふ」


「シャル……!」


「ぐぬぬ……!」



 上から母、兄、父である。兄上はもう限界オタクだってわかってたけど父上……あなたもか


 兄上は限界オタクで父上はただ嫉妬深いオタク?オタクまみれかうちは


コンコン


「サークレーです。入ってもよろしいでしょうか?」


 サークレーが来たらしいこのままでいいのだろうか?兄上の膝からどけた方がいいのでは?


「どうぞ入ってくださいまし」


「失礼します」


 扉を開いて入ってきたサークレー少し微笑ましそうにしている


「兄弟で仲がいいようですね」


「そうなんですのよふふっ」


 母上はどこから出したかわからない扇を顔の前で開いていた


「それでは診察をさせてもらいますね」


 サークレーはお腹に手をかざし、何かを唱えた


「神よ我、サークレーにお力をお貸しください。サーチ」


 そう言うと光がキラキラと降り注ぎ私の体を包み込んだ


 そしてそれが十数秒続いた


「ふぅ。これで診察は終わりです。お疲れ様でした」


 サークレーは額に汗をかいていた魔力をすごく使う魔法だったのだろうか?


「まほーきらきら!」


「すいません。これは魔法ではないんですよ」


 魔法ではない?どういうこと?さっき言ってたように神の奇跡だとか言うの?


「まほーじゃないならなぁに?」


「これは魔術と言うんです。違いはですね魔術はこれを使うので神様おねがいしますと頼む形なのですが決まった魔術しか使えないんです。」


 ふむ、きっと神の作ったシステムだな


「魔法は完全に自分の手で威力はとか見た目はとか属性はとか細かく決めれるのですがイメージがはっきりとしていないと思っていたのと違ったりするんです」


 それじゃあ私はクールジャパンの文化に浸ってたから魔法の方がいいと思われたのかな?


「それで、結果ですが……シャル様はお子様を授かれないという欠陥があるようです」


 ひゅっという息を呑む音が聞こえた


「ハニー!」


 母上が倒れた。ショックで気絶してしまったようだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る