第10話 聖騎士と魔術師と勇者と


 あなたのあだ名はトーレよ


『トーレ?まぁいいんじゃないかしら?』


 まっ嫌だと言っても変えなかったけどね


『ちょっと酷くない!?』


 クスクス


 トーレは私のことを気にかけてくれてるみたいだから私も仲良くしてあげてもいいよ


 クスクス


『ふふっなら私達はお友達ね?あら称号についちゃったわ隠しとくわ――デル』


 クスクス


 ふふっ主様に呼ばせる名前にしといておこうと思ったけどあなたも呼んでもいいよ


「『ふふっあははは』」


『そろそろあなたも戻ったほうがいいわねマップの機能にダンジョンの場所を入れといたから冒険者にでもなって行ってみるといいわ』


「ありがとトーレ」


『どういたしましてデル』


 そう言って神の像の前に立つとトーレが消えてカチンッという音と同時に世界に色が戻った


 すると少しだけ光が差し込みキラキラと輝いた


「それでは鑑定に移りましょう」


 最初に祈った人から順に鑑定されていく


 特に私の興味をそそる子はいなかった


 そして私の番になった


ステータス


名前 シャンデル

レベル1


職業 執事


適正 水・氷


魔力量 極大


スキル 暗殺の心得レベル1 魔法の心得レベル1 武器の心得レベル1 テイムレベル1


称号 欠陥


 鑑定盤に触るとこれが現れた


 えっ?極大って?私ほんとにちょっとしかまとわせてなかったのに?


 ざわざわと周りがざわつく


ボソッ「魔力量極大ですって」


ボソッ「だが、欠陥とある。子が孕めなかったらうちに加えても意味が無い」


 欠陥ねぇ?私にとっては祝福なんだけどね生理がないとか最高じゃん?


 そしてまだ若干のざわつきを残しながら辺境伯と侯爵家の鑑定が始まる


 何人かの子が普通に祈って普通の祝福を得た


 するとまた光がキラキラと強く降り注いだものがいた


 その子が鑑定盤に触れる


ステータス


名前 シュヴァリエ

レベル1


職業 聖騎士


適性 光、聖


魔力量 小


スキル 武器の心得レベル2 馬術の心得レベル2 魔法の心得レベル1


称号 聖騎士


加護 イル・クレアトーレの加護(小)


 ザワザワという声の中からよくやったという大声が聞こえた男の声だったからきっと父親だろう


 少年……シュヴァリエはとても誇らしそうに嬉しそうに頬を赤らめて胸を張っていた


 何この茶番?クソうざい貴族なんだから人前ってことを理解しておけよ


 それ以外は稀に魔力量中とかが出てちょっと騒ぎになったくらい


 そして次は公爵家


 ここらになってくると魔力量中がチラホラといた


 その中でもものすごい光に照らされる女の子がいた


「当然の結果ね!」


 プライド高そうだなうざ絡みしてきそう


ステータス


名前 アマリリス

レベル1


職業 魔術師


適性 火、水、土、風、炎、氷、植物、雷


魔力量 大


スキル 魔法の心得レベル2 魔力操作レベル1 魔力回復レベル1


称号 魔術師


加護 イル・クレアトーレの加護(小)


 適性は4属性とそれの上位属性が使えるんだ?へぇますます図に乗りそう


 魔力量大は兄上と一緒だけど加護が小だから弱そう……まぁまだレベル1だしね


 そして公爵家は終わった


 最後の、王族第三王子が出てきた


「ふんっ」


 そう言って神の像の前でふんぞり返った


 私でもそんなことしなかったのに


 そして……何も起こらなかった


「は?何故祝福が起らんのだ!神のくせに生意気な!」


 そう言って第三王子が神の像に手を出そうとしたときサークレーがその手を掴み止めた


「殿下、神には祈る気持ちが必要ですよ」


「ならあの花冠の男女は違うのか?祈ってなかったじゃないか!」


 花冠の男女……もしかしなくても私だよね~面倒くさい


「彼女は彼女なりのやり方で祈ったということです。ですから殿下もお祈りください」


「チッ」


 そうすると殿下は立ったままで腕を組み祈った


 すると強い光がキラキラと差し込んだ


「フハハハ!ほら見ろ俺こそが選ばれしものなのだ!ハッハッハ」


 途端に機嫌を良くして威張り散らす


 何でトーレはこんなのに加護あげちゃったんだろう?クズじゃん


「それでは鑑定盤に手を」


「フハハハ!見よ俺のステータスを!」


ステータス


名前 ルイ

レベル1


職業 勇者


適性 火、光、聖


魔力量 極小


スキル 魔法の心得レベル1 武器の心得レベル1


称号 勇者 転生者?


加護 イル・クレアトーレの加護(極小) 地球の下級神の加護 (極小)


ザワザワ


ボソッ「転生者とはなんだ?」


ボソッ「地球とは何処なんだ?」


クスクス「下級神の加護ですって」


クスクス「魔力量も極小ですって」


「うるさいうるさいうるさ~い!!俺こそが勇者なんだ!創造神の加護もあるだろう俺を褒め称えろ!」


 うっざ……何こいつ転生者だし地球の下級神の加護とか付いてるから下級神が勝手に送り込んだとか?


 うわ~ありえるわ私のこともおもちゃにしてたみたいだからねそれも多分だけど創造神レベルが


 だからきっと下級神も遊びでこの世界にこいつを送り込んできたんだ


 最っ悪兄上はきっと関わることになるから私もきっと関わることになるよね?うわ~


 やだなーもう無視しとけば良くない?


 というかみんな第三王子の発言に呆然としているか、呆れ返って返事もしてないし


 いや~可哀想だね~(笑)


「お前ら!」


 と何か叫び始めようとしたところでストップが入った


「殿下、貴族には殿下の凄さが伝わっていないのですよぜひ王にご報告なされてはいかがですか?」


 サークレーだった


「ふむ、そうか?まぁ父上ならわかってくれるだろう。ではこれで帰るとしよう。それと、創造神の加護があったものは城に呼び出すから来いよ?いいな?」


 はいフラグ回収乙兄上はきっと勇者パーティーの一員となるんだろうね


 面倒くさいことになりそうだね


 そう言うと第三王子は帰っていった


 そして第三王子が見えなくなったところでサークレーが前の方の真ん中に来た


「まず初めに先程貴族の皆さまを侮辱してしまったことお詫び申し上げますそしてこれを持ちまして本日の鑑定式を終了とさせていただきますありがとうございました」


 ペコリとお辞儀をすると去っていき貴族たちがざわざわと動き出した

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る