死人の顔はどんな顔
尾八原ジュージ
こんな顔
父方の祖母が亡くなった時、祖母の幽霊が家を訪ねてきた。チャイムが鳴ったので母が玄関の戸を開けると、目を閉じて大口を開けた、滑稽で不気味な顔をした祖母が立っていた。幼かった僕は母の肩越しにそれを見て、三日ほど魘された記憶がある。
「おばけはどんな顔してた?」
ある日、近所のおばさんに聞かれた。「怖い顔だった」と答えると、おばさんは顎をがっくりと下げ、目を閉じて、
「こんな顔ぉ?」
と言った。そっくりだった。
僕は恐怖で泣きながら家に逃げ帰った。おばさんは翌朝、心不全で亡くなった。
成人してから母に、封印していた祖母の幽霊の話をしてみた。
「そんなことあったっけ? 覚えてないわ」
母は首を傾げ、僕は無性に安堵した。
死人の顔はどんな顔 尾八原ジュージ @zi-yon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます