第11話 先生ごめんなさい

図書館によく行く。

そして本を借りて帰って、ページを開くと、

そこによくレシートみたいな紙がはさまっている。


それは図書館でくれる、借りた本と返却日の書かれた紙だ。だからそれをはさんだまま本を返却してしまうと、他人に自分の借りた本がバレてしまう。


だからその紙に、


『死にたい夜にかぎって』

『自殺予定日』


そんなタイトルが書かれていると、この人は大丈夫か、心配になってしまう。


でも今日はさまっていた紙にはこう書かれていた。


『エロスでよみとく万葉集』


エロでマンヨーだ。


だが私は、もう一冊の本に私は目を奪われた。

そのタイトルは、


『エロシェンコ全集』


これほエロいのだろうか?


『エロシェンコ』


エロにシェンコ。

なんだこの妖しげな響きは。


私はスマホですぐに検索した。


ヴァスィリー・エロシェンコ。

ロシアの作家で、言語学者、教育者と書かれていた。


失礼なことを想像してしまいました。

そんな立派な方を、その名前だけでエロいものだと。


私は心の中で謝った。

エロシェンコ先生ごめんなさい、と。


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