第3話 閉店

弾劾と何凸守は割と人気だった。一方高島は……。

「すみません、ケーキをお願いします」

「はい、かしこまr」

「あんたじゃなくて、その隣りの執事さん」

高島の隣りにいたのは不士稔だった。

「(えぇ?俺か。ちょっとドキドキさせるかwwwww)」

不士稔は客のあごを掴んで上げると、真剣な眼差しで話した。

「俺とお嬢様の関係がバレたら、ご主人様にクビにされてしまうのに、君は我慢できないんだなぁ。……全く、しょうがないですねぇ」

「(顔が近い………肉食系執事なのね)」

高島はその近くにいること自体が気まずく感じ、そっと離れた。

「店長は僕なのに、僕が1番人気ないんだけど」














何凸守と弾劾は、営業成績を競い合っていた。

「お嬢様、お紅茶をお持ちしました」

「ありがとうございます。ああ、パフェもください」

「食べすぎですよお嬢様。こんなところは僕だけにしか見せちゃダメですよ?」

「キャ〜〜〜〜〜〜」

「お嬢様、パフェをお持ちしました」

「(先越されたか!!!)」

「必ずあなたのお望みに応えますよ。なので、これからも一緒にいてください」

「キャ〜〜〜〜〜〜」

「(何凸守、かなり上達してるな。負けられない。お前よりも必ず女性の心を撃ち抜く)」

「(やっぱ弾劾はプロだな。しかし、僕は何凸守。その名に恥じぬ、なんでもできる男だ!!!!!!)」

2人の目と目の間に、一瞬ガチの火花が飛んだ。

「(執事同士が私を取り合っている……。幸せ……………)」











カランコロン

「お帰りなsって、結衣ゆいじゃん」

「おお高島。お前ここで喫茶店開いてたんだ。下級生が作った車の展覧会にも行かずに」

「直前まで知らなかったのもあるけど、今年こそはあっと驚く出し物したかったんだもん。ねぇそんなことより聞いてよ、ユイえもん〜。僕が店長なのに僕が1番人気ないんだよ〜」

高島は飯田いいだ結衣に抱きついた。

「ちょ、こんなところで……わかったわかった。じゃあ高島を選ぶよ」

「ありがとうございます。お嬢様!!!!」

「(なんなんだコイツ)……えっとじゃあ、ケーキをください」

高島は張り切ってケーキを運んだ。店内を走りながら。

「お嬢様…。お待たせしましt aaaaaaaaaaaa aaaaaaaaaaaa!!!!!!??????」

床にあった雑巾で滑ってしまった。その瞬間、店内の時間がゆっくりに。

「(え、僕、終わりなのか)」

キキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!

「んぐっ!………あれ?」

「……ふぅ、危なかった」

なんと落下していた高島を有島がキャッチしたのだ。

「…なんで…」

「……えっとぉ、魔法でワープした瞬間、お前が飛び込んできたから…反射的にな?」

「……ありが………とう」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

店内中の女子が、有島に夢中に!!!!!!

「ハァァァァァァァァァ??????」

「私、彼に紅茶お願いします」

「私はマカロン」

「パンケーキを彼にお願いします」

「………いやあの、俺は執事じゃないんですけど」

「ツ、ツンデレ〜〜〜〜〜〜」

うまい具合に勘違いされる有島。

「……そんな……僕の店なんですけど……」

「完全に漫画のモブキャラ」

「は?今結衣なんつった?」

「なんでもないよ〜〜〜」

結衣にも馬鹿にされ、反論する前に帰られた。

「……なんか、もうどうでもいいや」

客を追い出し、閉店と書かれたポスターを壁一面に貼った高島。

「えぇ⁉︎終わりにするの⁉︎」

「執事喫茶やろうとした僕が馬鹿みたいだからやめます。車見てきま〜〜〜す」

彼は手袋をポイポイ捨てながら、廊下を泣きながら走り去っていった。あんなんじゃやっぱり執事には向かないだろうな。

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