第2話 執事喫茶 Takashima

文化祭当日。校庭は屋台やショー、体育館はコンサート会場、廊下はまるで商店街のように店が連なっていた。

高島たちの喫茶店も廊下にある。店名は、[執事喫茶 Takashima]……いやダサッ。

高島曰く、時間がなかったらしい。こういうことにこだわりを持つ栩義は、[甘いため息]とか、[学の憩い場]などとアイデアを出したが、店長の高島が結局自分の名前にすることにしたらしい。





「8時半から文化祭が始まって、それと同時に開店するから急いで」

「高島、これでいいか?」

奥から接客担当の奴らが、執事が着てそうなスーツ?と白い手袋をつけて現れた。

「皆んな似合ってんな。僕も着替えてくるから、先に準備しといて」

高島は更衣室へ行く途中で調理室を覗いた。室内には有島と栩義がいた。栩義が量産した調理ロボットが、食材や調理器具の準備などをしていた。栩義もレシピを覚えようと、部屋の隅で本を片手に歩き回っていた。

しかし、有島は……、イスに座って何もせずに、文化祭のパンフレットを読んでいた。

「おい有島何してんだよ」

「僕も客側がよかった〜!見てよこれ、UFOキャッチャー作ったんだってよ」

「ああそう!!!!!!」

「もちろん……………車も………」

「ナニ⁉︎……いやダメだ。今日は我慢」

「………えぇ、けど執事喫茶の料理なんて知らないよ?」

「栩義が持ってるレシピ本を見ろ」

高島は更衣室へ急いで向かった。










校内に、校長先生の声が響く。

「皆さんお待たせしました。今日は待ちに待った文化祭です。皆さん今日は勉強なんて忘れて、思う存分楽しみましょう!!!!!!」

放送が終わったと同時に、廊下中のほぼ全ての店が開店した。もちろん高島の執事喫茶も。

「皆んな、練習通りいこう!」

「練習してないけど?」

「へ⁉︎」

「だってなんも言ってなかったじゃん」

「いや、今の掛け声の方がそれっぽいって思っただけだよ気にするな」

カランコロン

早速1人目の客のようだ。

「よし、じゃあ配置につけ!!!!!!」

4人は女子の前に来ると。

「お帰りなさいませ。お嬢様」

その相手は、浅野あさの奏美かなみだった。

「は?」

「は?」

高島と浅野は一瞬戸惑いながらも、話した。

「なんでお前がここに来るんだよ!!!!」

「なんで来ちゃダメなんだよ!!!!!!」

この2人は幼馴染なのだが、相当仲が悪く、目と目が合ったら喧嘩するほどなのだ。

殴りかかろうとする高島を弾劾が抑えた。

「やめろ!今日は文化祭なんだから、やめろ!!!!!!」

「ぐっ!!!……………わかった。どうぞお入りください」

高島は浅野を店に入らせると、弾劾の耳元でささやいた。

「僕は絶対あいつの接客したくないから、お前がやってよ」

「は、はい」

浅野はさりげなく店内を見渡した。

「(栩義がいない………)」

やがて、ドンドン客が入ってきた。

何凸守は女子が落としたスプーンを咄嗟に拾ってテーブルに戻した。

「あ、ありがとうございます……」

「いえいえ、これぐらi(ダメだ、もっとカッコよく振る舞わなくちゃ)…全く、お嬢様は僕がいないと何もできないんですから、大人しくそこで待っててください…………(ダメだ、恥ずかしすぎる………)」

「(可愛いさが滲み出ちゃってるけど、生意気ショタ執事かな?)」

すぐ隣りで、弾劾が料理を運んでいた。

「お待たせしましたお嬢様」

キランッッッ

ウィンクしながら料理をテーブルに置く。

「イ、イケメンにウィンクされた!もう死んでも後悔ない………」

「これ以上褒めても何も出ませんよ」

「キャ〜〜〜〜〜」

「(弾劾は演技がうまいなぁ)」

カランコロン

何凸守はそう思いながら、入ってきた客へ向かった。

「あぁ、お帰りなさいませお嬢さm」

ズドン

突然弾劾は客を壁に押し当てると。

「お嬢様。俺が一生忘れられないエスコートをして差し上げますよ」

「ちょっと弾劾。お嬢様は………僕のものですから」

「あなたのような未熟者にお嬢様は任せられません。では、お嬢様に決めてもらいましょうか。どちらがいいか、を」

「他の執事を選ぶなんて、いくら許しませんよ」

「(イケメン執事とショタ執事……どっちもステキ♡)」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る