第8話

 ケーキバイキングの後は、2人で服を見たり、書店行ったり、喫茶店に足を運んだ。

 やけに樹里亜はくっついて来る。

「あまりすり寄るなよ‥」恥ずかしいだろ。

 腕を絡ませてくる。

「家ではいつものことでしょ」すまして言う。まあそうだけど、世間の目が冷たい。

 通りすがりの若い男性は、樹里亜に気付き、見つめ、その腕が隣の男の腕に絡められているのを知り、圭を睨みつける。その繰り返しだ。

「もう、学校でバレても良いもん」

「俺が困る!」

「私じゃあ、嫌だって言うの?」

「そうでなく、今の様に全男子の恨みが怖い」

「大丈夫よ、私の方がクラスの女子から陰湿な悪さをされそうだけど、仕方ないわ」ため息して、

「私、負けないんだから」

「俺は勝つ自信が微塵もない‥」


 樹里亜は焦っていた。

 高校生になったと思ったら、圭に興味を持つ女子がで始めた。山下こころ、そして櫻井奈々美。まだどうこうすることも、ないかもだが、悪い芽は早めに刈り取った方が良い。

 圭か、自分のモテ要素が向上してるのを、わかっていないうちにだ。

 ラノベ主人公の様に、鈍感であるくせにどんどん、美少女をはべらさせてはならない。


 幼稚園時代からの婚約者でも、キスすらしていない。最近、圭がしたがっている様子がある。樹里亜は圭にいろんな初めてをさざげるつもりでいる。でもどこでも、いつでもと言うわけにはいかない。2人の思い出、記念になるシュツエーションが欲しい。

 ため気がでる。他にも、圭のことをいいと想っている女の子を何人か知っている。

 その娘らが積極的なモーションかけて来たらどうなるだろう。

「もう帰ろうよ」樹里亜は思い詰めた表情で言った。


 帰ったのは圭の家だ。

 圭がジャージに着替えてベットに横になっていると、若草色の薄手のワンピースになった樹里亜な圭の部屋に入って来た。ベットに腰掛け、ためらったのち圭の傍に、添い寝する様に身体を横たえた。

「私、圭ちゃんのお嫁さんになるんだよね?」

「その予定だ」

「他の女の子すきになったりする?」

「‥‥」たじろいていると、樹里亜は圭の首筋に顔を寄せた。吐息がくすぐった。

「私は心配だよ。圭ちゃんモテそうだから」

「こっちのセリフだ。すぐナンパされそうになるからな、樹里亜は」

「私は圭ちゃん以外に関心ないよ」

「俺もだ」

 樹里亜は首を持ち上げ、じっとみつめる。

「なら、その証が欲しい」

 目をつむり、くちびるを近づけてくる。圭は

 抱きしめながら、少し触れただけのキスをする。

「うふふ」樹里亜が赤い顔して離れようとする。圭が引き寄せる。

「きやー」驚く樹里亜のくちびるを強く吸う。樹里亜は圭の胸やら頭やら叩いて必死に離れた。

「もう少しいいだろう?」

「ダメよ、まだおあずけ」

 樹里亜は恥ずかしげに笑って部屋から出て行った。

 廊下で息を整え、樹里亜はひとりニヤつきながら自分の部屋へ戻った。

 圭はベットで大の字になって目をつむった。

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