第4話

 放課後、圭はせっつかれて、山下こころと、バスケ部、バレー部、剣道部など見て回る。

 楽しそうに、汗まみれで駆け回っている。

「山下は中学何やってたの?」

「私はバトミントンだよ」

「続ければいいと思う」

「足痛めて、途中で選手からマネージャーになったの」

「そうなんだ」

 圭はバスケ部の練習見ながら言った。

 ムッとして、こころは圭に軽く体当たりする。

「私に関心無さすぎ!」

「そんな事言われても」

「だって、授業中でもほとんど私の事見ないもの」

「見た方がいいのか?」

 上目遣いに圭に擦り寄って、

「せっかくお隣同士なのだから、コミュニケーション取るべきだわ」

「休憩時間は時々話す事もあるし」

「私の横顔チラ見する男子、何人もいるわ。わたし可愛いから」

「横顔?」

 圭はこころをじっと見つめた。

 くりくりした大きな黒目はさらに大きくなった。見つめ合う形になる。少しして、こころは目をそらす。

「あんまり見ないで」

「どっちなんだよ!」

「とにかく、私は隣の住民の秋葉君のこと、もっと知りたいだけ」

 開き直りか?

「つまらん男だよ」

 肩を落として言う。

「何が感じるの。あなたは自分をさらけ出さない人だから」

「話すほど密度のある人生してない」

「私は知りたい。趣味は何、目覚まし時計はどんなの、朝ごはん食べる時は制服にきがえてからなのか、パジャマのままなのか、食べ物は好きな方から食べるのか、兄弟はいるのか、好きな映画はとかね」

 圭は開けたままの口を閉じ、

「その質問に答えた方がいいか?」

「色んなことが知りたいって言いたかったの!」

 面倒くさい女だな‥。

「今、面倒な奴と思っているよね!」

「そんな事ないさ」

 上目遣いで睨んでいたが、ふと、目をそらし、

「そんなの些細なこと。一番に知りたいのは、秋葉君がが今付き合っている女の子がいるがどうかよ!」

 圭はたじろいて固まった。考えもしてなかった。

 こころは深呼吸して、

「聞こえなかった?もう一度言えばいいのかな」顔真っ赤になってるのに強気なことを言う。

「聞こえたよ」

 彼女は、上気した顔で、答え聞かせて欲しいと言う。

 本当にこまったな。グイグイくるので頭が対応しきれない。助けてくれ‥。


 後ろから、コツコツと靴音が聞こえる。

 振り向くと、長い黒髪をなびかせて、樹里亜が微笑んで近づいて来る。

「あら、私をほっておいて浮気してたのね」

 こころは、圭と樹里亜見比べて、

「どう言うことかな」

「ただ見学していたんだ」

「可愛い同級生さんと?」

「いや‥‥」

「帰ったらお仕置きよ」

 笑顔のまま、圭は腕を掴まれ連行される。

「二人はどう言う関係!」

 こころがさけぶ。

「許嫁よ」樹里亜は、姉が妹に語り聞かせる様に教える。

「いいなづけ‥」絶句する。

「秘密にしてるので、他言無用でお願いします」

 お辞儀をして、圭の頭を下げさせて言った。

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