第3話

 隣の席の、山下こころは、入学して、圭が隣でラッキーだと思った。そこそこかっこいいし、ボーッとしている。こころは自分がせっかちだからか、男の趣味は無芸大食だ。

 このクラスは可愛い女子が、比較的多いけど、彼は女の子を目で追ったりはしない。そんなところも草食系でそそられる。

 なんかいいな。ウフッ

 まあ、私の事も興味持ってないのは、見る目を育てなければいけないだろう。目移りしたり、女の子胸とか見てばかりのバカ男よりも好感が持てる。

 今日、一緒にスポーツクラブの見学誘っている。楽しみだ。念押ししておこう。

「クラブ活動見学忘れないでね」

 圭は眉毛上げて驚いている。

「本気だったのか」

「私が案内してあげるわ。感謝しなさい」

「ありがた迷惑だな」

「班長の責務。友情、努力、勝利」

「静かな学園生活を送りたいんだ」

「そんなこと言ってると彼女も出来ないぞ」

「いらない」

 困ったな。とりあえず下手に出よう。

「わたしが本当は迷って、悩んでいるの。だから一緒に回って欲しいの。お願い!」

「嫌だ、関係ないだろ」

「お礼はするわ」

 家の鏡で練習している、男心を揺さぶる、思いっきり可愛い顔で甘える。

「‥‥、どんな?」

「たこ焼き奢る」

 男を落とすにはまず胃袋だ。だが鼻で笑っている。

「いいよ!授業中居眠りしてても起こしてあげないから!」

「それは困る」圭は慌てる。

 意外な弱点があったんだ。まあ良しとしよう。

「放課後、待っててね」

「わかったよ」


 圭は昼休みすぐに携帯で樹里亜にLINEを入れた。

 用事できたから残ることにしたと。

 それから購買のパンを買って、食べてると樹里亜から来た。


 わかりました。どんな用事ですか?私もご一緒しましょうか?と。

 クラブ活動見て回るつもりだ。クラスの者と一緒だから、先に帰っていいよ、と返す。


 クラブ活動するのですか?

 見てくるだけだ

 お友達とですか?

 隣の席の者だ

 わかりました


 携帯を、片付け、お茶を飲んでいると、

 教室の手前のドアが開き、入ってきたのは、樹里亜だった。


 樹里亜は立ち止まり、見渡して、教室の生徒の一人を呼んだ。呼んだのは中学が同じだった女生徒だった。

 クラスの男子がざわつく。読者モデルの本領発揮だ。

 立てば芍薬、座れば牡丹。見渡して、圭を認めたはずだが、スルーする。

 呼ばれた女子と笑顔で少し話をして、バイバイと手を振って出て行った。


 隣のこころはは、キョトンとしていたが、

「綺麗な子だね」と圭に同意を求めた。

 圭はそうだなと言い、肩を落とした。


 すぐLINEで、放課後、お待ちしておりますと、樹里亜からだった。


 やっぱりだったわと樹里亜はむくれる。お弁当箱を乱暴に仕舞う。

 何が、隣の席の者だ?可愛い女子と行くと言えばいいのに。予感がして見に行って正解だった。

 私と言うものがいながら、女の子に頼まれればほいほいと!お冠である。

 ただの彼女ではなく、私は許嫁なんだからと。

 もちろん、圭が浮気のつもりとかでない事は、長い付き合いだ、理解してる。

 圭に愛されてることはわかっているつもりだ。誰にでも優しいだけだ。でもイライラする。

「佐々木さん」後ろの席から声が掛かる。

「はい、荒木さんどうしました?」

「佐々木さんはどんな男子が好みなのかなぁ」

「あまり、そう言うの興味なくて‥」

 フィアンセいますとは言えない。

「同じ中学だった男子から聞いて欲しいといわれて」

 結構そう言うのが多い。いつも適当にごまかしている。

「昨日、隣のクラスの男の子と、一緒に歩いて帰ってたんですって?」

「ああ、彼は中学同じで、家も近いから」

「彼、秋葉 圭くんだよね、かっこいいよね」

「そうかもね」

「佐々木さんも美人だし、見た人、嫉妬メラメラしたそうよ」

「私はモテないよ」

「樹里亜ちゃんの事教えろって、わたしつっかれていますわい」

「私は交際とかしないから無駄だと伝えて」

 笑って食事後の授業の準備を始めた。


 樹里亜の、頭の中は圭の放課後の行動が気がかりで、優柔不断的な圭に怒っていた。

 懲らしめてやるんだから!

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