テコンドー!!!!!!
「今日、部活に誘われたってぇ?」
セイロン選手電撃復帰という一面トップのスポーツ新聞から、道着を着ていた
「うん。セパタクロー部……って所でさ」
「せぱたくろう? なんだぁ、そりゃあ」
「球技でさ、足でやるバレーボールみたいな奴なんだけど」
「ほうぅ。よう分からねぇが、バレーボールみてぇってこたあ、チームスポーツなのか?」
「そうだね……」
「そうかそうかぁ。じいちゃん、八雲がまた誰かとスポーツしてくれる気ィになってくれて、安心したぞ」
カサリと
「どうした八雲。元気ねぇなぁ。ひょっとして、部活の友達と折り合い悪いんか?」
「上手くやっていけるか不安なだけだよ。今日初対面だし……」
「その辛気臭ぇ顔の理由は、それじゃねぇだろ」
「……。流石、じいちゃんだね……やっぱ分かるんだ」
八雲は茶碗をちゃぶ台の上に置いた。広い和室の中心に出来た小さい食事の席には、祖父と孫の二人しかいない。だからこそ、
「じいちゃんが、教えてくれたテコンドー……蔑ろにして、違う事するの……悪いなって」
「どういう事なんだ?」
「セパタクローってスポーツで、
「……なるほどな」
「ここまで嫌になる、つもりじゃなかったんだけどな……」
「無理するこたぁねえ。テコンドーの事は気にせず、八雲のやりたい事をやりゃあいい」
「でも……せっかく、じいちゃんが……」
「確かにじいちゃんは、テコンドーをやってくれると期待して、今まで八雲を鍛えてきたさ。でも……顔色悪くして怯える孫なんざ、見たくねぇよ」
「……」
猛生は、ちゃぶ台にある肉じゃがに箸をつける。二人がいる居間には、歴代の賞状や技を繰り出す豪快な白黒写真、『流武館』と力強い筆文字が書かれた
「ただ……一つ気がかりなのは、八雲は昔から、熱が入ると
「……?」
「本気になり過ぎない様にしてくれりゃあ、教えたテコンドーを他のスポーツに活かしても、全然気にしねぇ。だから八雲——前みてぇに、楽しそうに練習する姿を、じいちゃんに見せてくれ」
「じいちゃん……」
「何より、共に切磋琢磨する仲間がいるってのはいいもんだぞ。三年しかねぇ高校生活だ、忘れられねぇ青春を謳歌してくれりゃあ、それでいいさ」
ニカッと、
「……うん。実は、来週大学生チームと練習試合があるんだ。それが僕のデビュー戦に、なるよ」
「おぉお。そうかそうか! その試合、じいちゃん見に行ってもいいかぁ?」
「多分大丈夫だと思う。……じゃあ、練習頑張らなきゃ」
大好きな祖父が応援に来てくれる。それだけで、八雲のモチベーションになった。成り行きでやる事になってしまったセパタクロー。八雲は一つのわだかまりが混じった冷めたご飯を箸に乗せて、それを美味しそうに口に運んだ。
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