第17話 魔剣ゲットだぜ
僕は武器召喚レベル3を発動する。消費MPは15。これでMPは空っぽだ。そして僕の左手には、拳銃よりもかなり大ぶりな銃火器が握られていた。銃火器に詳しくない僕が召喚したのは、古いギャング映画で見た事のあるトンプソン・サブマシンガン。トミーガンとかシカゴタイプライターとかいう愛称で呼ばれている。円盤型のドラムマガジンは50発もの弾丸が装填されており、消費MPが大きい武器召喚スキルの割にはコスパはいいと思う。
僕はまず、サブマシンガンで敢えてヤツの魔剣を狙う。魔剣は剣の腹を盾代わりに、銃弾すらも防御してきた。これで僕の疑念は確信に変わる。この魔剣は絶対に奪いたい。
そしてスケルトンソルジャーが魔剣で防御している間に右手の剣で斬り上げ、ヤツの右肩を斬り飛ばした。
すかさず返す刀でヤツの首を狙うが、またしても魔剣がそれを阻止してきた。鍔迫り合いの状態になってしまったが、それはむしろ狙い通り。二か所を同時に狙われた場合は優先度が高い方を防御するようだ。この場合は首だね。
僕の剣を防いでいる、魔剣を持ったスケルトンソルジャーの左腕を破壊するつもりで、集中的にそこへ弾丸をブチ込んだ。カタカタと
だけど問題ない。スケルトンソルジャーの左腕にはヒビが入り、僕の剣圧に耐え切れなくなりバキリと音を立てて折れた。同時に、魔剣も地面に落ちる。素早く魔剣の刃を踏みつけた上でスケルトンソルジャーの首を落とす。
その頭蓋骨に剣を突き刺すと、足の裏でガタガタと震えていた魔剣はその動きを止めた。僕はその魔剣を時空間収納に回収し、その場に座り込んだ。
「おちかれ! だいじょぶ?」
「リオンさんこそ」
リオンさんも相当に疲れていたようで、僕の隣に座って大きく息を吐いた。
「うん、まあちょっと疲れたかな」
「今日はもう撤収しましょうか。また課題も見えてきましたし」
「そだね! またオーク肉を食べたいよ」
「あははは」
僕達はよいしょと気合を込め立ち上がり、離れた所に停めてある車を目指して移動した。車に辿り着き、発進させたところで漸く一息付く。
「てかさ、最後のトミーガン、あれ、召喚しなくても時空間収納の中にストックしてあるんじゃないの?」
「……あ」
すっかり失念しておりました。それもこれも、あの金髪君とメガネ君、おさげちゃんのグダグダに巻き込まれたせいだ。うん。
***
アパートに帰りつき、オーク肉をスライスして生姜焼きを準備した。白飯とオークの生姜焼きに舌鼓を打ちながら、今日の反省会だね。
「「かんぱ~い」」
アーケード街のコンビニから回収してきた缶チューハイを開け、ゴキゲンなリオンさんに付き合う僕。お酒はあんまり飲まないんだけどね。
「やっぱり槍術ってあんまり使い道ないのかなあ?」
「どうでしょうね? 武器の形状にもよるんじゃないですか?」
「例えば?」
今は、スケルトン戦で役に立たなかったリオンさんの接近戦スキルについてだ。
「う~ん、突きに特化しすぎてる形状だとさっきみたいな事になりますけど、斬ったり薙いだり出来る刃の形状なら?」
「ああ、薙刀みたいな?」
「そうですね……ほら、呂布の方天戟みたいな?」
「ああ! なるほど!」
方天戟というのは、槍の穂先の横に三日月型の刃が付いていて、突いてよし、斬ってよしの武器だ。斧と槍が合体したような、西洋のハルバードとちょっと似ている。ただ扱いは難しいらしい。
でもそんな武器を使っている敵は見た事がないし、ドロップで入手するのは今の所難しそうだ。
「合成スキルで何とかならない?」
「どうでしょうね? 合成スキルはアイテムのランクを上げるスキルなので……」
「ふーむ……」
ここでどうやらリオンさんはスキルを探し始めたらしい。
僕はそれを、缶チューハイをちびちびと舐めながらぼんやりと見ている。
「ああ、あるね。【錬成】だって。異なった二つ以上のカテゴリのアイテムを掛け合わせ、違うアイテムにするとか。うわあ、取得SPが50だよ……」
「それは面白そうですけど、コストが重いですね」
「うん、これは後回しだわ」
この『システム』の法則として、スキル取得ポイントの1/10が消費MPになる。スキルレベルが上がると倍数になっていくので、取得SPが50だと、レベル1ですらMPを5ポイント使う。レベル2なら10、レベル3なら15だ。
それにリオンさんは、魔法や僕がストックしてある銃火器での後方からの攻撃がメインだ。錬成スキルの優先度はそれほど高くないね。
さっきまでの戦闘でまたそれなりのSPを入手出来たけど、新規のスキルは入手せずに、手持ちのスキルのレベルを上げる事を優先しよう。
「ところでトウジくん、あのガイコツのヤツって?」
「ああ、あれですか」
元々は普通と変わらない個体でも、レア装備を持つ事でユニーク個体となる事を説明した。そしてあの魔剣の能力も。
「あの魔剣ディフェンダー、ランクはDなんですけど特殊能力を持つレア装備なんですよ。どうも、装備者の意思とは関係なく防御行動を取るみたいで」
「ええ~、なにそれ」
「だけど、関節の可動域を超えて動かす事もあるし、扱いどころが難しいみたいですね」
以上が解析で見た魔剣ディフェンダーの性能だ。しかも自分より低ランクの武器を破壊するとかもうね。当面は剣のドロップ品を集めて、魔剣のランクアップを目指してみるのもいいかも知れないな。
***
◎モンスター撃破数
小早川:ゴブリンリーダー×1、スケルトンソルジャー×19、スケルトンソルジャー(ユニーク個体)×1。
取得経験値:70
取得SP:63
立花:ゴブリン×18、スケルトンソルジャー×10
取得経験値:69
取得SP:69
小早川冬至
称号:ファステストキラー
生体レベル:5→6
HP:51→76
MP:51→76
SP: 9→27
経験値:7→2
所持スキル:万夫不当レベル3(武器召喚、治癒魔法、時空間収納、剣術、身体強化、取得経験値増加、取得SP増加、解析、解析阻害、セーブエナジー)索敵レベル3、隠形レベル3、合成レベル1→3
装備品:ゴブリンリーダーの長剣D 魔剣ディフェンダー(R)D
立花莉音
称号:ジェノサイダー
生体レベル:5→6
HP:51→76
MP:51→76
SP:16→0
経験値:0→1
所持スキル:火魔法レベル2→3、水魔法レベル1、槍術レベル1、身体強化レベル2→3、取得経験値上昇レベル1、取得SP上昇レベル1、隠形レベル1、洗浄(NEW)、時空間収納レベル1(NEW)
装備品:ゴブリンの短槍E スケルトンソルジャーの丸盾F
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