【レバーを食べて魔力アップ!】〜実家にも勇者パーティーにも追放された初級魔法しか使えないクズ魔法使いは、幼馴染のレバー料理で史上最強の存在になってしまう〜
第18話 冒険者がいなくなったのでハードワークします
第18話 冒険者がいなくなったのでハードワークします
翌朝、俺たちは真っ先にブルットの冒険者ギルドへ向かった。
しかし、ギルド内はものすごく慌ただしい状況だった。
昨日捕まった冒険者以外にも共犯者が結構いたみたいで、かなりの数の冒険者が捕縛され連行されていった。
「ギルドマスター、大変なことになっていますね」
「ああ、ほとんどの冒険者が加担しているとは思ってもいなかったよ。俺も責任を問われて
新米冒険者以外はほとんど犯罪に手を染めていたらしく、ブルットのギルドは壊滅的だ。
ギルドマスターが監督責任で罷免されるのは可哀想だけど、仕方がないことなのかな。
「冒険者がほとんどいなくなってしまいましたね。これからどうするのですか?」
カルミーアはこの惨状を見てギルドがどうなるのか気になったようだ。
「ああ、他の街へ応援要請を出した。冒険者が揃うまでは新米冒険者を育てていくしかないな」
ギルドは閉鎖をすることはなく、なんとか継続していく方針のようだ。
俺はギルドの今後よりも、監禁されていた魔法使いの冒険者たちのことが気になった。
「監禁されていた方々は見つかったのですか?」
「ああ、なかなか口を割らなかったので拷問に近いやり方でやっと白状したそうだ」
ギルドマスターの説明から、かなりの魔法使いを監禁して虐待などをおこなっていたことが分かった。
女性の魔法使いは生気が全く見られないほど悲惨な状態だったらしい。
暴力や強姦されたりと卑劣なことが行われていたようだ。
中には亡くなっている人もいて、奥の部屋に死体を放置していて腐敗臭ですごかったらしい。
当然、主犯格は極刑でその他のものは犯罪奴隷として連行されるそうだ。
「そんなに酷いことが行われていたのですね」
カルミーアが深刻な面持ちでギルドマスターに話しかけた。
「ああ、俺も現場の検証に付き合ったからな。酷いなんてレベルじゃなかったよ」
ギルドマスターの表情を見たらとんでもない情景が広がっていたんだなと想像ができた。
そんな状況を見ても、俺たちは正気を保つ自信はないだろうな。
俺たちは王国の人たちを守るためにいろんな街へ行って魔王の侵攻を防いでいる。
誰が悪なのか分からなくなってしまいそうだ。
「辞めてしまう俺が言うのもなんなんだが、魔王のダンジョンを全て攻略してくれないか?」
——この流れからしたらそうなるよね。
「はい、構わないですよ。魔王のダンジョン情報を全ていただければ、片っ端から攻略していきますよ」
「片っ端から!?」
実際、俺たちのダンジョン攻略を見た人がいないのだから驚くのも無理もないよね。
受付のお姉さんからブルット周辺の地図をもらい、現在出現しているダンジョンの場所を教えてもらった。
SクラスからBクラスのダンジョンを区別なく本当に片っ端から潰していくことになった。
「それでは、私たちはダンジョン攻略に行ってきますね」
「ああ、全て任せてしまって申し訳ない。お願いする」
「いえいえ、もうこれが私たちのお仕事みたいになってますから、お気になさらずに」
こちらとしては、ちゃんと報酬をもらえればそれでいいという感じだ。
ギルドの好意で馬車は無料で貸し出してくれた。
「さて、どうしましょうか?」
「やっぱり、俺が魔法で凍らせて粉砕していくことになるかな」
「そうだよな。ブルット周辺のダンジョンは全く手付かずでかなり増殖しているからな。普通に攻略していたら1ヶ月以上はかかるぜ」
「クレマーチスさんの魔力量は大丈夫でしょうか?」
「ああ、平気だと思うよ。初級魔法だから消費魔力も結構少ないからね」
魔力が上がった俺にとっては、「初級魔法しか使えない」がかなりのアドバンテージになっている。
それは、超級や上級の魔法の魔力の消費量が激しいからだ。
大魔法を連発したらすぐに魔力切れを起こして倒れてしまう。
場合によっては命に関わることも……。
「それじゃぁ、今回は素材回収は無しでクレマーチスの魔法に頼ることでいいかしら?」
『了解!』
全会一致で、息もぴったりだ。
俺たちは弧を描くようにダンジョンへ向かっていく。
『アイスミスト!』『スタン!』
基本的にこの二つの魔法の連続だ。
ダンジョンごと凍らせて中の魔物ごと粉砕していく。
この方法に慣れてしまったらまともに攻略することはなくなるだろうな。
ダンジョンが崩壊した後はタフネスの仕事だ。
タフネスは、一番コア魔石を探し出すのが上手い。
それはいつも煽ててやってもらってるからなんだけどね。
「いつ見てもダイナミックよね。知らない人が見たら腰が抜けてしまうかもね」
「それもそうですね」
今回の作戦だとカルミーアとリリーアは手持ち無沙汰になってしまう。
なので、二人は交代で馬車を操縦することになった。
特に俺は負担がかかるので馬車の中でゆっくり休むことになっている。
「おーい、コア魔石を見つけたぞ!」
コア魔石を回収したタフネスが戻ってくると、また次のダンジョンへと移動する。
今日は20ヶ所のダンジョンを攻略した。
どのダンジョンがどのクラスかは全く把握していない。
ギルドで鑑定してもらえばわかるので、気にしないことにした。
日もかなり落ちてきたようなので、この辺で俺たちはブルットの街へ戻る。
冒険者ギルドによって、今日回収したコア魔石20個を鑑定してもらう。
「おかえりなさいませ」
「20ヶ所のダンジョンを攻略してきたわ。コア魔石の鑑定をお願いしますね」
「はい、かしこまりました」
カルミーアは20個のコア魔石を受付のお姉さんに渡した。
「では、『鑑定』……Sクラス4、Aクラス6、Bクラス10……」
受付のお姉さんは絶句しているようだ。
「お姉さん、大丈夫?」
「え、あ、はい。大丈夫です。あまりの多さにびっくりしてしまいました。報酬は金貨470枚ですね」
1日の報酬では最高記録だ。
お金がもらえるのは嬉しいけど、もっとダンジョン攻略できるパーティーが増えて欲しいよ。
宿屋に戻るとカルミーアから声をかけられた。
「クレマーチス、お疲れ様。全て任せっきりでごめんね」
「カルミーアが謝ることじゃないよ。こっちの方が早く済んで楽だからね」
「ありがとう」
いきなりカルミーアがハグをしてきて俺は驚いてしまった。
こんな感じのカルミーアを見るのは初めてかもしれない。
「ううん、カルミーアが俺を引っ張ってくれたから今があるんだ。こちらこそありがとう」
俺とカルミーアとのやりとりをタフネスとリリーアは温かく見守っててくれた。
仲間っていいものだね。
今日の夕飯はカルミーアが今まで以上に気合を入れて作ってくれた。
もちろんレバー料理だ!
でも、カルミーアがいつも栄養管理をしてくれたから俺は強く慣れたと思う。
今日は俺は今まで以上にカルミーアの料理をしっかりと味わって食べた。
「カルミーア、美味しいよ。いつもありがとう」
「なによ突然。照れるじゃない」
カルミーアの顔は真っ赤だ。
そんなカルミーアの表情を見たタフネスとリリーアが吹いてしまった。
「もうー、笑わないでよー」
本当にみんなで過ごす時間は楽しい、もっとこんな時間を味わっていたいな。
翌日以降も、ガンガン馬車を飛ばしダンジョンを粉砕してまわった。
10日間で200ヶ所を超える数のダンジョンを攻略することができた。
……そして最終日。
「お疲れ様です。これで最後の報告ですかね」
「はい、最後の鑑定をお願いします」
「かしこまりました。『鑑定』……Sクラス5、Aクラス7、Bクラス11……ふぅ」
流石にこんなにたくさんのコア魔石の鑑定は疲れるだろうな。
「お待たせしました。報酬は金貨581枚ですね。大変お疲れ様でした。それと、ありがとうございました」
流石に200ヶ所のダンジョンを巡るのは疲れた。
魔力には余裕があったけど、体力がかなりきつかった。
俺はかなりヘロヘロだ。
「クレマーチス、お疲れ様。だいぶ疲れているようね」
「うん、結構疲労がね」
「そうですね。馬車移動だけでもかなり疲れますしね」
「そうか? 俺は余裕だぞ」
タフネスだけはかなりタフで元気だった。
それでなければタンク役なんてやってられないよね。
「じゃぁ、もう1拍して次の街は明日にしましょう」
「おぅー」
俺とリリーアは弱々しく返事をした。
俺たちはかなりハードワークをしたので疲労困憊だ。
すぐにでも横になってガッツリ眠りたい気分だ。
案の定、俺はベッドに横になるなり、すぐに爆睡してしまった。
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